13,再生
今回辛いです。あと短めです。
虫が苦手な方はご注意ください。
ややグロテスクな表現が含まれます。
「グッ………ゥァァァァアアアアアア!」
食いしばった歯の隙間から、耐え切れず悲鳴が零れた。
耳障りな音が、煩い。
煩いそれをはたこうとしても、手が動かない。
否。手だけではない。足も、胴体も、首すら動かない。
いや、無いと言った方がいいか。
何せすべて、俺に群がる蠅共に喰い散らかされているのだから。
俺を殺さぬように、頭だけは残したまま。血は、出ていない。意識も、はっきりしている。
それだけに、気が狂いそうだ。
自分の身体が、少しずつ消えていく感覚。黒く小さな虫が、次々に体の中から溢れてくる光景。
そして、体を食われるたびに脳に走る、この快感。
恐らく、蠅が脳にそういう成分を流し込んでいるのだろう、痛みは、無い。
だからこそ、恐ろしい。
一切動かない自分の指が、少しずつ黒に侵食されていくのに、一切の痛みがないこの状況が。
狂いそうなほど脳を犯し続ける、快楽が。
「ッァァァアアア………――――――――――――!」
叫ぶために開けた口に蠅が入り込んだ。蠅を、噛みちぎった。まだ入ってくる。奥に逃げ込まれた。
歯が、消えていく感覚。
止めろ、これ以上俺を食べるな。
これ以上、俺の身体を壊さないでくれ―――――――。
そんなことを祈ったところで、蠅が止まるはずもない。
半ば諦めて、目を閉じる。
するとふと、蠅の動きが止まる。
俺が今まで散々悪あがきをしたからか、俺の一挙手一投足に敏感に反応して警戒する蠅。
バッと蠅が俺の身体を離れ、一瞬の平穏が脳に訪れた。
そして、気付いた。
俺の身体があった場所に、魔力が漂っていることに。
そしてそれが、俺の魔力であることに。それが、何を意味するのかは分からなかった。
殆ど無意識の行動だった。
空気中に漂う魔力を、集める。
唯一残っている頭付近に。
何をするでもなく、只々魔力を集め続ける。
ひたすら魔力を圧縮していく。
見る見るうちに、可視化していき、紫電を纏う球体へと変化していった。
途端に、蠅が俺から離れていく。何故だ?
だが、そんな思考をしている余裕もない。
唯一分かっているのは、このまま放っておけば俺は死ぬということだ。
「状況は最悪だが……やるしかないよなぁ」
死を覚悟していた中唐突に逃げた蠅のことも気になるが、今はそれよりも光魔法だ。部位欠損を治すしか、今俺が生き残る道はない。本当は万全の体制を整えてからのつもりだったが、そんなことを言っていられる時でもない。
もしかしたら、再生する横から蠅に喰われるかもしれないが、そこはもう賭けとしか言いようがない。
再生能力が、蠅の捕食速度より速いことを願って。
脳内に浮かぶ文言を、口に出して告げる。
快楽が脳を支配していて、集中力などない。だから、詠唱に頼る。
「魔力よ、代償よ、糧となれ。私が求むものを創り出せ―――――四肢創造」
軋む身体。
次の瞬間――――――――脳を蹂躙する痛みに、俺は耐えきれなかった。
「―――――グァアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
叫ぶ。只々痛い。
痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいタイいたイイタイイタイイタイイタイ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――!
首のあたりから、傷口を突き破って骨が生えていく。そしてその周りに筋肉が、肉が、皮が作られていく。
神経を直接撫ぜられるかのような不快感と痛み。
心臓が、少しずつ作られていく怖気ましさ。
無理矢理に体をつくる、代償。
余りの痛みに、凝縮していた魔力を制御できなくなった。
魔力の弾が、弾ける。
魔力の弾は、四方八方に小さな雷を走らせ、次々と蠅を打ち落としていく。
俺が剣を何度払おうと死ななかった蠅共が、見る見るうちに数を減らす。
無差別に攻撃するその弾は、当然一番近くにいる俺にも、何度も雷を落とす。
が、そのたびに光魔法が回復させる。終わらない苦痛のループ。
再生していく四肢の痛みと、感電の痺れが脳を壊しにかかる。
意識は、まるで俺を守るかのように、障壁を閉めた―――――――――――――――――――――。
<ベルゼブブの群れを殺害しました>
<過剰経験値を貯蔵しました>
ということで、主人公君が全身を治す羽目になった理由でしたー。
主「やっぱりろくでもねぇ!」
主人公君がキレてますので全力で逃げます。
ザシュッ
バタッ
……
コメントを頂きまして、ステータスボードの表記を少し変更いたしました。
これでもうちょっと見やすくなっていればいいなと思う所存です。
他にも意見等あればジャンジャンコメントしていってください!
お願いします。
総合評価が50ptを超えました……!!
調べたところによると、どうやら なろう で評価ポイント(つまり星)が10pt以下の作品は全体の75%ぐらいにまで登るらしいです。この作品がそれを越していることに吃驚!読者の方々のお陰です、ありがたやありがたや~!
今回は少し辛い回でしたが、次回からは主人公の面目躍如!となるといいですね。
あ、いや多分なりますが。
いきなり活躍するかはちょっと……神の味噌汁です。
あ、間違えました、神のみぞ汁ですね。……ん?まあいいか。
感想、レビュー、ブクマ、評価待ってます!




