表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚してしまった件につきまして  作者: 七転び八起き


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/42

第25話 デート

 森川さんが拉致られた……

 じゃなくて、犠牲になったのか、何なのかよくわからない。


 あの会社に入りたいのは本当なの?

 あの場限りの嘘なの?

 勇哉さんならあとから何とかなるような気がするけど……。


 心配だった。

 巻き込んでしまった。


 ここにいても仕方がないから、私は家に帰ることにした。


 ◇


 ──帰宅後

 森川さんに連絡しようか悩んでいた。


 前手に書かれた森川さんの電話番号。

 あれを連絡先に登録していた。

 でも連絡するつもりはなかった。

 まさか、必要になる日が来るとは思わなかった。


 森川さんの電話番号にショートメッセージを送った。


『川崎です。生きてますか?』


 しばらく待っていると、返信がきた。


『大丈夫』


 その言葉に安心した。

 すると森川さんから電話がかかってきた。


「はい!」


『心配かけてごめん』


「いえ、こちらこそご迷惑おかけして申し訳ありません……」


『実はさ。元から辞める気ではいたんだ』


「え、そうだったんですか……?」


 全く気がつかなかった。


『川崎さんがいたから続けてたけど、辞めるならいる意味ないし』


 驚いて言葉に詰まった。


「あ……あの、心臓に悪いんで、そういうこと言うのやめてください!人妻なんで!」


『ごめん。まあそれは置いておいて、俺はもう引き返せない状態になったから、あの会社の社員になるよ』


 森川さん……私に関わらなければこんなことには……

 でも、森川さんが敵陣に居てくれるのは、正直助かると思ってしまった。


 森川さんと電話を切ったあと、風呂に入って出ると、スマホに勇凛くんからメッセージがきていた。


『電話できますか?』


 そのメッセージを見てすぐに電話をかけた。

 数回の呼び出し音の後にすぐに通話になった。


「勇凛くんお疲れ様!」


『七海さんもお疲れ様です。今日は大丈夫でしたか……?』


 うっ

 もう隠し事はやめよう。


「実は今日、勇哉さんが来たんだよね」


『え?何しに来たんですか??』


 勇凛くんが焦り始めた。


「ご飯食べに誘われたんだけど、森川さんが助けてくれて」


『……』


 勇凛くんが何も言わなくなってしまった。

 どうしよう。


『またあの人に……俺呼んでくださいよ』


 ああああああ


「違うの!突然森川さんが来て、あの会社に入りたいとか勇哉さんに言って、そしたら勇哉さんが森川さん連れてどっか行った感じで……」


『何ですかそれ』


 私もそんな気持ちだ。


「私も突然色々起こるから混乱してるんだ」


『……わかりました。兄が迷惑おかけして申し訳ありません。で……あの人は林に入るんですか?』


「うん。成り行きでそうなってしまったんだ」


 勇凛くんの深いため息が聞こえた。


『正直、悔しいです。でも、あの人は一応七海さんの味方ですから、あの会社に来るのは嫌な気持ちもありますけど、七海さんの安全面では少し助かる部分はあります』


「うん……」


 沈黙が続く。


「勇凛くん」


『はい』


「土曜日、一緒にお出かけしよう」


 この現実からひとまず離れたい。


 ◇


 ──土曜日


 その日は勇凛くんと駅で待ち合わせた。


 デートみたいなものだから、いつもより少しおしゃれして、勇凛くんと並んでも違和感がないように可愛めの服を着た。


 待ち合わせの時間を少しすぎた後、勇凛くんが走ってきた。

 全速力。


「すみません!」


「大丈夫だよ」


「こっちに来る途中、お婆さんが転んでるのを見てしまって、目的地まで付き添ってました……」


 や、優しい……!

 勇凛くん好青年すぎる!


「勇凛くんが来てくれてお婆さん助かったね」


「はい……七海さん待たせてしまいましたが。じゃあ行きましょう」


「うん!」


 今日勇凛くんと行くのは、私がよく一人で言ってた海だ。

 穏やかな波と静けさが私を癒してくれていた。


 電車で三十分くらい。

 だんだんと海が見えてくる。

 最寄駅で降りると潮の香りがする。

 冬だから肌寒い。


 そして勇凛くんを導く。

 私の見つけた穴場スポット。

 海が一望できる木陰。


「いいですね、ここ」


「うん。心が落ち着くんだ」


 二人で静かに海を眺めていた。


 ──でも

 寒い……。


「やっぱもっと暖かい時に来た方がいいね……」


 風邪を引いてしまう。

 その時、勇凛くんに包まれた。


「どうですか?」


 勇凛くんの温もりで一気に熱くなった。

 瞬間湯沸かし器状態。


「ありがとう……」


 これが、カップルというやつなんだな。

 こんなデートらしいことをしたことがないし、こういうカップルを横目に羨ましいと思っていた。


「七海さん、今日可愛いです」


 心臓がおかしくなる!


「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しい」


 顔を覗き込まれて、キスをした。

 ああ、ずっと続いてほしい。この時間が。


 ◇


「次どうしようかなー」


 ここに連れてきたいって思っていただけで、それ以上は考えていなかった。


「七海さん、映画行きませんか?」


 映画は最近行ってなかった。

 おひとり様の時はいっぱい行っていたのに。


「行く!」


 そのあと、また駅に戻って、一番近い映画館まで行った。

 映画館に着いて上映中の作品一覧を見ていた。


「何がいいかなー」


「俺、これ見たいんです」


 勇凛くんが指を指したのは、純愛の泣ける系ラブストーリーだった。


「勇凛くんこういうの好きなんだ」


 勇凛くんに合ってる!


「これ小説が原作なんですけど、作者のファンなんです」


「へー。勇凛くん小説読むんだ」


「時間がある時にスマホで読んでますね」


私も今度読んでみよう!


 チケットを買ってシアターに向かった。

 座席に座るとすぐに暗くなった。


 映画は、すれ違う二人のラブストーリーで、最後はなんとか結ばれるという、苦しくて切なくなる内容だった。

 胸に余韻が残って、私も原作を読みたいと思った。


 そして、勇凛くんを見たら──

 涙を流していた。


「すみません、我慢してるんですけど、涙出てしまうんです……」


 勇凛くん、ピュアだ……。

 いや、私の心が澱んでいるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ