表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚してしまった件につきまして  作者: 七転び八起き


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/42

第24話 は や く に げ ろ

 家に入って私たちはすぐにお風呂に入った。


 二人で……。

 この前はすごく動揺していたのに、勇凛くんから一緒に入ると言いだした。


 狭い湯船に二人で浸かる。

 勇凛くんの肌が心地よかった。


 お風呂の中の勇凛くんは色っぽい。


 張り付いた髪。

 滴る水滴。

 まるで頑張ってきたご褒美のようだ。


 でも勇凛くんの表情は曇っている。


「勇凛くん、どうしたの……?」


「……あの人、七海さんのこと好きですよね」


 ──あの人……?

 森川さん!?

 いや、そうなんだけど。


「違うよ。私が世話が焼けるから色々してくれるだけだよ」


「好きでもない相手になら、そこまでしないですよ」


 なんて言えばいいのか。


「勇凛くん。例えそうだとしても、私はあの人のことを恋愛対象としては見てない」


「……そうだとしても、悔しいんです」


 勇凛くんの綺麗な顔が歪む。


「あの人にも、兄さんたちにも俺は敵わない」


 勇凛くんのこんな姿、見たくなかった。

 こんな思いをさせたくなかった。

 どうすればいいんだろう。


 私は勇凛くんにキスをした。


「勇凛くん!あの人たちがどうであれ、私にとって一番の男は勇凛くんだよ!」


 私の気迫に勇凛くんがやや驚いている。


「年齢も肩書きも関係ない!私が欲しいのはあなたなの!」


 風呂の中に大きく響く私の声。


 しばらくすると勇凛くんの腕の中に包まれた。


「ありがとうございます」


 勇凛くんの表情が優しくなって、嬉しかった。

 流石にのぼせそうだ。


「もうそろそろ出ようか」


 私が立ちあがろうとすると、腕を掴まれてキスをされた。

 深く絡み合う。


 私は混乱していた。

 勇凛くんがこんなことをしたことに。

 心臓がおかしくなりそうだった。


 離れたあとに、私は硬直していた。


「すみません……ちょっと今日は余裕がないです」


 そう言う勇凛くんの表情は、どこか(なま)めかしかった。


 お風呂から上がって速攻で布団の上に寝転んだ私たちは、二人の温度だけで溶け合っていた。

 この前は受け身だった勇凛くんが別人のように求めてくる。

 本当にあれが初めてだったの……?


「七海さん……最低なこと言ってもいいですか?」


「え……?」


「本音を言わせてください」


「うん」


 何……?


 勇凛くんは深呼吸したあと、呟いた。


「七海に触れていいのは俺だけ。七海に近づく男は許さない。七海は俺だけのもの。」


 その瞳が真剣すぎて、息を呑んだ。


「……引きましたか?」


「ううん。嬉しい」


 驚いだけど、独占欲剥き出しの勇凛くんも好きだ。


 ──そのあと


 何かが溢れたように、勇凛くんは何度も何度も求めてきては同じ言葉を囁き、私はそのたびにその喜びに浸っていた。


 ◇


 ──翌日


 私は森川さんに謝罪した。


「昨日はご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」


 森川さんはいつもと変わらない表情。


「旦那さんとは話し合えた?」


「はい」


「……大変だな。二人とも」


「そう……ですね」


「心配だ」


 そう呟いて森川さんは戻った。


 ◇


 仕事が終わって、ビルから出ると勇凛くんからメッセージがきた。


『今日はゼミの集まりがあるので連絡が遅くなります』


 今日は勇凛くんに会えない……。

 寂しさを抱えながら駅に向かおうとすると──

 路肩に見たことがある車が。


 私は引き返そうとした。


「あ!七海ちゃんお疲れ〜」


 ──勇哉さんが待ち伏せていた。

 今日はお前か!!


 ほぼ毎日ローテーションで誰かとエンカウントするのなんなの!?


 私は逆方向に歩いた。


「何でそっち行くの??」


 追いかけてくる。

 私はやや小走りに。


「待って〜」


 勇哉さんは追いかけてくる。


「私に関わらないでください!」


「なんで?俺たち家族じゃん!」


 家族!?


「家族とか言わないでください!!」


 そりゃ私も一応戸籍上は林家の人間だけど!

 この人と家族というのに抵抗感がある。

 勇輝さんもそうだ。


「あ、こっち向いた」


 勇哉さんが笑う。

 弄ばれてる……


「あなた何しにきたんですか……?」


「暇だから七海ちゃんとご飯食べたくて」


 は?


「私は一応あなたの義妹ですけど……」


「それだとダメなの?」


 ダメというか……この人は何かが欠けている。


 私が絶望の淵に立たされていると肩を叩かれた。

 振り返ると──

 森川さんが立っている。


 なんでまたいるんだよ!


 勇哉さんは森川さんを見てキョトンとしている。


「え、七海ちゃんの彼氏?」


 なんでそうなるの?


「会社の先輩です!」


「イケメンだし。七海ちゃんやるね!」


 聞いてない?わざと?


「勇凛くんのお兄さん?」


 小声で森川さんが聞いてきた。


「はい。二番目のお兄さんです」


 私も小声で答えた。


「初めまして。七海さんにいつもお世話になってる森川と申します」


 森川さんは勇哉さんに対して突然腰が低くなった。


「そうなんだ~森川君よろしくね~」


 相変わらず何考えてるかわからない笑顔の勇哉さん。


「七海さんがそちらに転職すると聞いて。俺も転職を丁度考えていて、そちらに行きたいなーって思ってたんです」


 何を言ってるの?

 本気で言ってるの……?


「え、マジで?いいよ~おいで〜」


 いいよ?


「いいんですか……?」


 私はつい言葉にだしてしまった。


「うん。なんか仕事できそうだし森川君」


 それはそうなんだけど!

 なぜ林ホールディングスに、その場のノリで!


「本当ですか!?嬉しいです!これからよろしくお願いします」


「うん、宜しくね!森川君~」


 え、これは、どういうこと?


「じゃあ森川君これから一緒に飲みに行こうよ。いい店あるからさ~」


「はい!ありがとうございます、是非!」


 勇哉さんは嬉しそうに森川さんと車へ……。


 私は空気になってしまった。


 森川さんが振り返った。


 は や く に げ ろ


 そう口が動いた気がした。


 そして勇哉さんは森川さんを乗せて、行ってしまった。


 森川さーーーん!!


 なんでこんなことに……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ