アンダータウンの四天王!?
ガシャンガシャンと金属の音が鳴り響く
今日もトレーニングにより俺様の筋肉が躍動している
一通りのウォーミングアップが終了し、更なる追い込みにかかろうとする所に思いきり扉が開かれる
「アニキ!例の件の女が見つかりました!」
弟分の息を切らした報告を聞いた俺はニヤリと笑いダンベルをそっと地面に降ろした
「へっ!随分と手こずらせやがって」
「待ってやがれェこの俺様が居る限り好き勝手やらせねえぜ!」
ハッハッハッと部屋に大きく笑い声が響き渡った
【アンダータウン_星の雫(飲食店)】
ざわざわと昼下がりながらも賑わいを見せる繁盛店、もちろん味の保証は折り紙付きとの説明を受けた
その中で1つ距離を周囲から開けられながら美味しい食事に舌鼓を打つ
うむ、食事とは身体を創り精神力を高めるためにも必須であろう
目の前にはオドオドとしながら食事を共にするこの世界でワシの従者と言えるオナゴがいる
「あの…リアンさん?この町になにかご不便か何かありますか?」
「メシは美味い、だが言っておった程の強者には中々出会えないことがな…」
そう、雑草共に絡まれることが少なくなったが思っていた程の強者に相まみえることがない
「この程度であれば森の獣相手にしていた方が」
まだ血沸き肉躍る戦いができた、と言いかけた所で店の扉が強く開かれた音が聞こえた
「おおおおう!失礼するぜ!」
みるからに鍛え上げられた筋肉を誇示しているバカみたいな男が仁王立ちしていた
「この中に!『無法者のリアン』って奴は居るか!」
ワシをわざわざ名指しで呼び出すとは、面白い
「ワシがリアンだが、何用か?」
バカがニヤッと笑いながらズシズシとこちらへ歩いてきた
「テメェが無法者のリアンか、へっ思ったより細いんじゃねえか」
「お前はあまりにも暴れすぎた、ここで叩き潰すのが俺様の流儀だ」
「無法者…か、この町に碌な実力も持たない軟弱者が多いだけではないか?」
「なんだと!この筋肉を馬鹿にしてんのか!?」
周囲がざわつく、ここで暴れたら美味いメシにありつけなくなるかもしれぬ
「おい、筋肉ダルマここでは他に迷惑がかかる場所を変える」
【アンダータウン_大通り広場】
「おいリアン、お前なかなか良い奴じゃねえか」
「ふん、あのような啖呵を切っておいて命乞いか」
「馬鹿言ってんじゃねえ、オマエ俺様の事を「筋肉ダルマ」って言っただろ」
「気に障ったか?」
「フフフ、この鍛えた素晴らしい筋肉!力!パワー!全てを素晴らしい表現でまとめてくれたことに感激した!」
筋肉をこれでもかとアピールしながらポージングを決める馬鹿男
「…本物の馬鹿であったか」
少し呆れた表情をするリアンさん、その横でまた小柄な男が叫ぶ
「さっすがアニキッ!アニキの筋肉に敵う奴なんていませんぜ!」
「そういやアンタ誰?」
「聞いて驚くな!俺はあの”四天王”スルガのアニキの弟分カッツだ!」
「そっすか、私はリアンさんの同行者のユーバルです」
「あっどうも」
私たちも挨拶を交わすと一方で戦いが始まりそうな雰囲気が出始めていた
「改めて名乗り上げておこうか、”無法者”リアンじゃ」
ニヤリと口角を上げながら構えをとる
「俺様は”四天王”スルガだ!」
男の方も戦闘態勢をとる
先に動いたのは意外にもリアンさんの方だった
相変わらず目でギリギリ捉え切れないほどの速度で攻撃を仕掛けるも
「フハハハハッ軽い軽い!」
男がそんな攻撃を何ともないような態度をとっていたのである
「ふむ、確かに鋼鉄のような肉体ではあるか」
軽く手を振るいながらステップを踏んでいる
「ならば、さらに撃ちこむのみ」
と言うのと同時に嵐のような連撃を仕掛ける
「くッ!無法者と言われるだけの事はある攻撃ッ!」
「だがな」
不敵な笑みを浮かべるスルガはタイミングを合わせたように身をひるがえし
「こちらと攻撃を受け続けるほど我慢強くねェんだよ!」
蹴りを繰り出したリアンさんの足を掴むと振りかざしそのまま力任せのまま地面に叩きつけた
ドゴォンと強い衝撃が響く、流石に私も心配が勝る
「さっすがアニキ!」
「フンッ、流石にこの一撃じゃ終わらねえか」
粉塵の中から構えをとっているリアンさんの姿が見えるも”この町で”初めて見るダメージを負った姿
しかし笑みを浮かべるその口で血を吐き捨てると口角を上げたまま又攻撃を仕掛けた
今度はスルガも応戦するもさらに速度と攻撃の鋭さが増していく
直感的に分析すると「耐久力があるがゆえに戦闘が成り立っている」のではないか
「ハァハァ…ットレーニングよりか少しキツイって程度か」
「ぬしの一撃は果てしなく重い」
「まともに直撃したらさすがのワシでも持たんだろうな」
「ならば喰らわなければいいだけの話」
というとさらに攻撃の容赦のなさが強くなる
「ギッ…まだまだァッ!!俺様のフルパワーはこんなもんじゃねえ!」
「フンッ!ならば次の一撃で終わらせるだけ」
再度掴みかかろうとするスルガは全身全霊の最高速度で突撃する
「壱点集中『牙突』」
躱されたスルガの肉体の中心に肘鉄が食い込む
「グッ…」
グラリと肉体が崩れ落ちそうになるもまた仁王立ちの姿勢をとる
リアンさんが追い打ちをかけようとするがそれを止めて息を整えた
「見事なり、その戦いへの執念」
ドサッと地面に座り込むリアンさん
「紙一重だった、掴まれれば致命的であったろうな」
私はその日この町で初めて闘いに満足した笑みを浮かべるリアンさんを見た、とても可愛らしかった。




