第19話 銃に宿りし魂と、札に収めし魂達の協奏曲ⅩⅢ
「そして一つの物語が終わる」
「確かに、届け物は預かったぜ」
【アムファムトラ】の工業区の一角にある『銃制作工房銀の弾丸』に辿り着いたフィーネ達一行は魔導核が収められた小箱を渡した。
「お前ェ達、ちょっくら見ていくかい?」
「良いんですか」
「おう。 此処ン所めっきり人が少なくてよ、お前ェ達さえ良いなら見てけ」
そう言うと一行は作業場に案内されて行った。
「此処が銃作る工房だ」
其処には一人でも作成できるような巨大な機械が置かれていた。
「この機械さえありゃよぉ、工場で作る時よりも時間は掛っが、ぜってぇ良いモンが作れるのは俺っちが保障すっぜ?」
『銃術師』には嬉しい知らせである。
これまでは強化という形で銃の威力を向上させて来ただけだが、作成ができればそれまで築き上げられた不遇というレッテルがはがれる事は間違いが無かった。
では何故、銃の工房【ファルシオン】ではなく【アムファムトラ】に存在するのか。
理由は、兎にも角にも不遇のレッテルのせいであった。
嘗ては【ファルシオン】に工房を構えていたのだが冒険者がより効率の良い物を求め過ぎた結果、銃にいちゃもんを着けられるようになってしまい、そのまま勢い余って工房を潰してしまったのだが、それでも銃への愛着と未練によって、こっそりとこの【アムファムトラ】に構える事となったそうで、もし冒険者がいざこざを起こして居なければ未だに【ファルシオン】に工房を構えていた訳である。
「全く。 何時の世も冒険者、冒険者。 …申し訳ない、同郷の者がとんだ無礼を働いてしまった」
「いって事よ。 おめぇさん方が悪ぃってぇ訳じゃねぇ、あくまでも無礼な冒険者が悪いんでぇ」
「……そうだね。 でもこれで『銃術師』の冒険者の環境が良くなった訳だし、取敢えずの心配は無くなったって前向きに考えた方が良い」
「ほぅ…良い事言うじゃねぇか」
「僕等も『闘札操師』として、日々他の冒険者達と闘ってる最中ですから」
にっこりと微笑むフィーネ。
「カードゲーマーの誇りに掛けてっていう理由もありますけどね」
「あたぼーよ。 冒険者なら真っ直ぐ貫き通してみろってんでぇ」
「そろそろ準備ができた頃だ。 おぅ、でぇじょーぶなんだろうなぁ?」
「へい、親方。 何時でもいけますぜ!」
其処には不思議な形状の銃と、先程フィーネ達によって運ばれた魔導核が運ばれていた。
「よっく見とけー? これが最後の仕上げって奴よ」
それぞれが機械にセットされると、慎重に魔導核がセットされていく。
そしてカバーが、取り付けられ二つの銃がひとつになった事で遂に完成したのであった。
「よし…『試作先行型札銃』が完成した!」
試作先行型札銃 Int+15 Dex+25 高品質 評価7
どの武器よりも先駆けて魔導核を使用した札銃。
二丁一対で使用し、取り外して個々での使用も可能。
札種は問わない。
また先行試作型なので高威力になりがちで、且つ初心者ではメンテナンスは難しい。
「凄い…。 これが、札銃なのか!」
「そうでぇ。 これが今までの常識を覆す、俺等銃職人の最高傑作でい!」
親方はどん、と胸を叩き自慢げに誇った。
手に持ってみると、その凄さが解る。
確かに金属の弾丸は小さく、札である以上はかさばり易いが、コスパの方はこれで心配無くなるだろう。
「そうでぇ、これァおめぇさん達にくれてやるわ」
親方の言葉に皆驚く。
「今回こうしておめえぇ達に巡り合えたんでぇ、その礼だ。 そうさなぁ…能力を十二分にて帰る奴といやぁおめぇさんぐれーなもんだ」
「え…私?」
「そうだ。 おめぇさん、見た所『遊札操師』だろ? なら、それで十分でい」
「良い…んですか?」
「べらんめぇ! 男に二言は無ぇ! 持ってけ、冒険者であるおめぇさんが使ってこそそれは真価を発揮つんでぇ」
「有難うございます」
『Tutorial Quest Mission Clear!』
ピンポンパンポン
『冒険者の皆様、この度は『MYTHOROGY ONLINE』をプレイして頂きありがとうございます。 チュートリアルクエストのクリアにより【アムファムトラ】への道が開かれ、同時に『札銃』が解禁されました。 今後とも『MYTHOROGY ONLINE』における冒険者の皆様のご活躍を願い、期待しております』
ピンポンパンポン
「良かったな。 これでちったぁ制作者も浮かばれるってもんよ」
親方は何時に無く上機嫌である。
「何時でも遊びに来い。 『銃術師』でなくても何時でも銃を使い方を教えてやるからな!」
「はい、有難うございます!」
工房を出た八人は一旦ゲートを潜り【ファルシオン】のカードショップに報告しに行った後宿屋の前でこれからの事を語った。
ジークルーネ達五人は準備を整えた後【アムファムトラ】の周辺でレベリングをするとの事。
曰くフィーネ達も【アムファムトラ】のカードショップに立ち寄った後、寄るべきと事が在るという。
「闘技場?」
「そう。 βでもその存在は今の所僕しか知らない。 でも【アムファムトラ】の地下に存在してるから寄って見ると良いよ。 プレーヤーレベルは上がらないけどスキルレベルとお金はたんまり入るし、テクニック向上と資金集めするならお薦めだよ」
「そうか、ならばその内寄って見よう」
「僕達もそれについては楽しみです」
「それと闘技場には一定レベルであれば転生・転職・サブジョブが解禁する場所が在るから一石二鳥ならぬ三鳥、四鳥…ま、今の所こっちの方は伏せて置いて闘技場に行ってからのお楽しみって事で」
「……そうだな。 貴重な情報有難う」
「寄った時に情報家のPPCに売れば、後は勝手に広げてくれると思う。 あそこは需要が在るから」
「そうする事にする」
「じゃあ浮上開始するから一旦お別れだね」
「大丈夫。 僕等はプレイヤー、また会える。 その時はまた宜しくね」
八人は互いに握手をすると、宿屋に入り、浮上開始した。
ストック、切れた…。
また何かありましたら削除&修正していきます。




