第18話 銃に宿りし魂と、札に収めし魂達の協奏曲Ⅻ
「完全決着!」
ひとつの戦いの終了と共に、決闘場が解除されるなりフィーネは叫んだ。
「フリッグは直ちに録画を終了、ロビンと共にジークルーネ達三人の援護及びリザードコングを“仕留め”ろ! クルーガーとガーフィールドは録画の継続を」
「は、はい!」
「りょーかい」
フリッグは今まで隠れた居茂みから身を乗り出すと、杖を「八双」に構え突っ込んで行った。
フィーネはその動作にぎょっとした。
確かに仕留めろとは言ったが、それは“PT全体で”の事であり個人で仕留めに掛れという意味では無い。
それ以上に此処に向かう道中に杖を持つジョブにしてはやけにAGIが高く、良く杖を振り回していると聴いていたが、まさか“薙刀”経験者だとはこの時は予想もしていなかったのだ。
ロビンにしても、クロスレンジで動いている。
この時初めて、彼女等がトッププレイヤーとしての実力が本物であるというのをアンソニー含め、戦いを終えた一同は目の当たりにしたのだった。
「何なんだ、あいつ等…」
「実力派の冒険者集団、で間違え無いと思うよ……多分」
「何だ、そりゃ」
フィーネの言葉に、アンソニーは最早呆れるしかなかった。
「動きを止めます。 顕現せよ『式神降臨・青龍』」
伊予が覚えたての『第一の式神』である青龍を召喚すると、青龍はリザードコングに巻き付き、動きを止めた。
「ギャァォォォォォォォォォォォォ!?」
今ので、HPがデッドゾーンに入ったのだろう、リザードコングの叫び声がフィールド全体に響き渡った。
「う…ぐ…け、けど、確実に削れて、る」
ボス特有のスキル『咆哮』。
HPがデッドゾーンまで減ると発動するスキルで、嵌まると一定の間混乱やスタン状態に強制的になってしまう定番中の定番スキルである。
しかし、青龍が蒔き付く力を全く緩めていない様に、“全員”バッドステータスには至っていなかった。
――――いや、瞬時に治ったと言った方が正しいか。
「ふぅ…伊予ちゃんの『護摩符』が、無かったらどうなってた事か…」
セーヌが戦々恐々と言った感じで、リザードコングを見据えた。
冷汗は止まらない…が、伊予の意外な活躍により活路を見出せたお陰で皆、恐怖を脱ぎ捨てる事が出来た。
「攻め込むなら今だ!」
ジークルーネの指揮により一斉に畳み掛ける事が出来きたお陰で、リザードコングが倒れるのに時間は掛らなかった。
「流石冒険者、といった所か…」
全ての戦いの幕が閉じ、暫く経った後アンソニーは頭を掻きながらフィーネ達PT連盟一同に視線を向けた。
「正直、お前達が来た時は良いカモがやって来たと思ったが…リザードコングの出現、そして予想だにしなかったそれぞれの戦いで俺はお前達を真の強者と認めざるを得なくなった。 まぁ、言うなれば…好敵手って事だな」
恥ずかしそうに視線を反らし、頬を掻く。
「あんまり、強さを求め過ぎてまた今日みたいな事になったら許さないよ?」
「ああ、解った。 けど俺は此処に居続ける…後から来るだろう『闘札操師』のために、な」
「ほらあれだ、一種の力試し的な守護者として」と言っている様なものだったが、それでも改心したなら良いだろうと一同は放っておく事にした。
彼に勝てない様では次の街に到達する事が出来ないのは周知の事実だからだ。
「そうだ、忘れる所だった…ウザル、タージ、例の物を」
「へい!」
二人からそれぞれ渡された物は済んだ純白のメダリオンだった。
「これはアムファムトラ領主の屋敷への通行パスだ。 たまには家に遊びに来てくれないか?」
「領、主?」
フィーネは耳を疑った。
今の彼の台詞が正しければアンソニーは…………。
「ああ悪い、俺の正式の名を言って無かったな。 俺はアンソニー・ペテルギウス=アムファムトラ、領主デヴィット・デネブ=アムファムトラの…ドラ息子だ」
「え…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
その時、誰もが大声を上げた瞬間だった。
ええ。
構想の時からこういう展開にするという事実を温めていました。
また何かありましたら削除&修正していきます。




