第16話 銃に宿りし魂と、札に収めし魂達の協奏曲Ⅹ
「もう一方の戦い」
ジークルーネはリザードコングを前に、フィーネの言葉を思い返していた。
「――――具体的には僕等は敵の『闘札操師』、もう片方の三人は別に塞いでいるモンスター。 内『治癒術師』と『弓術師』の二人は記録珠とSSを利用した記録係といった『三・三・二作戦』で行きたいと思っています」
『何故だ?』
『思い返してください、貴女方のジョブが何と言われているか、を』
『――――不遇ジョブ』
『そう…だからこそ、です』
即ち、ボスとの戦闘動画と静止画を駆使して、大々的なセールスポイントを宣伝する、という。
撮影係は一人で撮影した方が、戦力的には助かるのだがフィーネ達の宣伝も兼ねている。
よって、どうしても三人で戦わざるを得ない状況となるのだ。
『それは理解した。 だが、何故だ? 伊予という伝手は解るが、恐らく、それだけでは無いのだろう? 他の『銃術士』でも良い訳なのだから』
ジークルーネの指摘は尤もである。
『そこまで言われてしまうと最後まで説明しないといけませんね。 えー…カードショップから銃製作工房宛に部品を送る…恐らく僕が推測するに『遊札銃』の類だと思われます』
『つまり、君は武具の『解禁』を明確にすると共に我々『銃術士』を中心としたこのPT所持するジョブの有用性知らしめたいと、そう言いたい訳だな?』
『はい。 魔導核の出現に際し…恐らくは『遊札銃』の解禁を皮切りに『魔銃』ないしは『魔法銃』『魔法弓』…等といったこれまでに無い物が生み出される可能性が高いです』
この世界は剣と“魔法”の幻想世界である。
が、或る種の幻想世界には“銃”が存在しているといった設定が存在しているのもまた、確かなものである。
それを見越した上で、フィーネは伊予を通じ、彼女の仲間であるジークルーネを召喚したのである。
そして、ジークルーネはそれに応じた。
故に、フィーネは或る程度構想として固めていた作戦をこうも容易く決行するに至れたのだ。
『いち早く攻略組である我々をこれに立ち会わせる事で、不遇ジョブの脱出劇を更に高めようと、そういう言う魂胆か…?』
『ザッツライ!』
『流石、ちゃっかりしているのは叔母さん譲りか』
フィーネの対応の仕方に、彼の母の面影を垣間見たであろうクルーガーが感嘆の声を上げた。
いや、普通の人でも魔導核を見ただけで誰でも思い付けるのは容易だが、それを“どの用に利用するか”といった運用法までは思い至らない。
ただの強化止まりだけである。
『褒めても何も出てこないけどね』
『非道ぇ…』
――――とにかく、と強気な姿勢を崩さずフィーネは集まったメンバーに視線を向けると
『運命に従って僕等は此処に集った。 そして僕はこの馬鹿げた作戦を貴女方に話した。 上手くいくかなんて今更解らない……でも笑い飛ばさずに真剣に聴いてくれた。 だから僕はこの場でお願いします。 僕等カードゲーマーの誇りと、ジークルーネさん達不遇ジョブ大脱出劇を掛けて、一世一代…一期一会の攻略作戦を…全員でクリアしましょう!』
と既に決まった様な口ぶりで、彼等に宣誓を促した。
他からすれば強引だ。
ジークルーネから見ても聴くだけ聴いて強制的に参加されられるのは不本意であり、理不尽というもの。
だがフィーネにとってはクリアできるか、本人にも解らない不安要素を少しでも軽減したいのだ。
それに、自分達を踏み台にしても、ジークルーネ達に晒されている好奇の眼を取り払いたいという想いも本物だった。
『……フィーネ』
『!』
『作戦の程は、宜しく頼んだぞ』
『――――はい!』
フィーネ・ジークルーネ両者の瞳に宿る決意の炎は、これまで以上に燃え盛り、輝いていた。
(あの時まで、PTメンバーを心配するあまり私は少し臆病だったのかもしれない……。 彼がもし誘ってくれなかったら私は一生あのままだったのかもしれない)
計らずとも、ジークルーネは彼女が慕う先代社長とフィーネが重なって見えたのだ。
「勇気を、有難う」
「……リーダー?」
「何でもない」
ジークルーネは目の前の敵――――リザードコングを見据え、銃を構えた。
既にフィーネ達は、自分達が担う領分の敵と対峙している。
「伊予、セーヌ…さぁ、行くぞ!」
「「はい!」」
こうして、二つのPT連盟による、八人の戦いが始まったのだった。
伏線回収っと。
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