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名探偵・ザ・グレート  作者: 真山砂糖
13/19

13 取り調べ2

取り調べは続きます。

「じゃあ、君は苺さんが受け子をしていることを、どうやって知ったんだ?」

「……」

 岡村は、少し言いにくそうにしていた。

「……位置情報……です。……苺は、スマホを持ってなかったから、僕が使ってたのをあげたんです。で、そのスマホ、現在地監視アプリをインストールしてあるんです。やっちゃいけないってわかってたんですけど、苺のことが心配で……。苺とは、急に連絡が取れなくなったから、それで、アプリを使って、苺を見つけようとしました。そしたら、苺が詐欺の受け子をしているところに遭遇したんです」

「なるほどな」 

 係長は腕を組んで天井を見上げた。

「今、苺さんがどこにいるのか、わかるんだね?」

 岡村はスマホを取り出して、私たちの見てる前でアプリを起動させた。

「あれ? 信号が消えてる。たぶん、電波が届かない地下とか、トンネルの中とかだと思います」

「そうか、じゃ、そのままの状態でここに置いといて」

 岡村はスマホを机の上に置いた。

「二日前だったかな、君は道で中年の男と口論になって、刑事に止められただろ。もうちょっとで殴り合いになるところだったらしいが。なぜそうなった?」

「それは……アプリで苺のいる場所を調べて、そこに行ったんです。そうしたら、苺が男からキツく当たられてるみたいでした。苺が去った後、その男が僕が近くで聞いていたのに気づいて、イチャモンをつけてきました。それで、言い合いになったんです」

「その男、君の知ってる人物か?」

「いえ、知らない人です」

 私は岡村の顔をじっと見ていた。彼はとても嘘をついているようには見えなかった。

「じゃあ、先週のことだけども、君は女性を追いかけている男に足をかけて転ばせたことがあったよね。その時の追いかけられてた女性は、苺さんだね?」

「はい、金髪のウイッグをつけてましたけど、苺で間違いないです」

「追いかけてた男を転ばせたのは、なぜ?」

「それは単純に、苺が追いかけられてたからです。苺に捕まってほしくなかったから……」

「追いかけてた男のことは、知ってる?」

「いえ、知りません。初めは刑事だと思ってましたけど、違ったんですよね。オレオレ詐欺の被害に遭われた方でしょうか……」

 岡村は少し肩を落として申し訳なさそうに言った。

「そうか。じゃあ、今朝、百貨店で火災報知器を押した理由は?」

「……苺を助けたかったからです……。僕がフードコートに着いたら、苺は席に着いてドリンクを飲みながら、ある老人をチラチラと見てました。その老人のことを見てるスーツ姿の人が何人かいて、ドラマで見るような感じの刑事っぽい人たちだったから、きっと、受け子が来るのを見張ってるんだろうなと思ったんです。だから、騒ぎが起きれば、苺は何もせずに帰るかもしれないし、もし、苺がお金とかを受け取ったとしても、騒ぎに紛れて逃げられるかもと思って、それで、火災報知器のボタンを押しました」

「ほらねー、自分が犠牲を払ってでもー、惚れた女のためにー、行動したのよー、カッコいいー」

「おう、磯田、カッコよくても犯罪だ」

「わかってますよー」

 京子はムッとした。

「苺さんがバイトしてるガールズバーのオーナーってのは、どんな奴?」

「僕は直接見たことはないんですが、ネットで調べて見ると、半グレみたいなヤバそうな見た目の男です。ロン毛で鼻ピアスしてて……」

「店の名前は?」

「中央区◯◯アーケードにある "パイナップルバー" っていう店です」

 私はパソコンで検索して、店のSNSを見た。その通りのヤバそうな人物が載っていた。

「係長、見て下さい。この男です。バーは雑居ビルの地下にありますね」

「おう、こいつか。マジもんの反社にしか見えねえな」

「係長、この男が詐欺グループのボスでしょうかね?」

「可能性は高いだろうな」

 その時、 "ピコン" という音とともに、現在地監視アプリの地図上に矢印が現れた。地図がどんどんズームしていく。

「あっ、苺がいる場所がわかったみたいです」

「おう、あれ、ここって、中央区……今言ってたパイナップルバーじゃねえか」

「ええ、そのようですね、係長」

「受け子が詐欺グループの本拠地に戻ったってわけか……」

「どうか、苺を救って下さい」

 そう言って、岡村正義は頭を下げた。

「……君は、苺さんに直接会って、受け子をやめろと言わなかったのか?」

「……はい」

「どうしてよー! 苺ちゃんはー、あなたに言われたらー、やめてたかもよー!」

「……苺と急に連絡が取れなくなって、そういうこと言うの、怖くなったんです。苺との仲がギクシャクしてて、別れようとか言われそうで……僕がもっと早くにちゃんと言っとけば良かったんです……」

 岡村はうつむき加減で顔をしかめていた。辛そうだった。

岡村の言うことは今のところ本当っぽいのかな。

さあ、どうなるのやら。

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