表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何度死んでも、俺は人間側じゃないらしい  作者: 東海林


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/19

19話

朝。

チャイムが鳴る。


「おはよー」


「眠っ」


いつも通りの教室。何も変わらない日常。


「……」


一ノ瀬 雫は、席に座る。

静かに、前を見る。



そこには、空いた席がある。

机と、椅子。ただそれだけ。



「ねえ一ノ瀬」


隣の女子が声をかける。


「昨日さ、なんか騒ぎあったらしいよ」


「……そう」


「警察とか来てたって」


「……」


「怖いよねー」


「……うん」


それだけ。

それ以上、何も言わない。


「……あれ?」


別の生徒が空席を見る。


「この席って、誰だっけ?」


「んー?最初から空いてたんじゃない?」


「だよね」


軽く終わる。


「……」


雫は、何も言わない。

知っているのは、自分だけ。



授業。


ノートを取る。板書を書く。

でも、


「……」


何も入ってこない。



視線が、横にずれる。

空席。


何もない。分かってる。



昼休み。屋上。

風が少し強い。


「……」


フェンスにもたれる。

空を見上げる。


青い。静かだ。


「……」


ポケットから、ノートを取り出す。

少しだけボロい。開く。


5回目、6回目、7回目、21回目


雑な文字。増えていく数字。


「……」


指でなぞる。


「……ほんとに」


小さく笑う。


「……ちゃんと数えてたんだ」


「……黒瀬」


名前を呼ぶ。風が吹く。

返事はない。


「……終わったよ」


静かに言う。


「……全部」


怪異も出ない。夜も静か。


「……」


少しだけ沈黙。

それから、


「……ありがと」


小さく言う。



放課後。


教室に残る。

人はほとんどいない。


「また明日ー」


声が遠ざかる。静かになる。


「……」


立ち上がる。視線が向く。

あの席。



ゆっくり近づく。

机に手を置く。

冷たい。


少し迷って、引き出しを見る。

空。何もない。


「……」


分かってる。残るはずがない。

それでも、少しだけ期待していた。


「……ばか」


小さく呟く。笑う。

少しだけ、震えている。



帰り道。夕焼け。

オレンジ色の空。


「……」


一人で歩く。隣は、空いている。

ふと、思い出す。


――またな


足が止まる。振り返る。


誰もいない。


「……」


少しだけ笑う。


「……うん」


小さく頷く。


「……またね」



夜。


あの場所。何度も立った場所。


「……」


静かだ。何も来ない。

何も起きない。


それでも、そこに立つ。


「……」


空を見上げる。星が少し見える。


「……黒瀬」


最後に、一度だけ呼ぶ。


返事はない。

でも、


「……」


目を閉じる。


「……またな」


風が吹く。それだけ。

何も起きない。

それでいい。


もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ