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悪役令嬢だと思ったら伝説の悪役になりました~ラスボスはアイテムに入りますか?~  作者: 繭式織羽


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69話 次に魔力をざっくり意識しますー!

「た、ただいま戻りましたー……ナギさん、もう教授の膝枕、じゃなくて魔術講義終わって……る……?」


 ホムンクルスメイドと召喚教授の膝枕を見せつけられて、気恥ずかしさで研究室を飛び出したニビがおそるおそる研究室に戻ってきた。


 長椅子の様子をどぎまぎしながら見に行くと、ぎらぎら光る不気味なリッチが、ぐったりした召喚教授の肩をつかんでガックンガックン揺らしていた。


「わーっ!?」


「あら、おかえりなさいニビ君」


「ハッ、ナギさんか……びっくりした。どうしたの? 教授がまた何かやらかした?」


 我に返った梛に放置された召喚教授は、ホムンクルスメイドに長椅子に横たえられて、そっと毛布を掛けられている。


「それが講義の途中から本気で爆睡して起きないのよ。私まだ魔力循環出来てないのに……」 


「あー、それは仕方ないよ。ここのところずっと大会用の水晶人形の術式確認してもらってたから……」


「そう言えば部活の顧問だっけ」


「人手不足過ぎて顧問の仕事量の範疇超えてるけどね。競技祭典の開会までには仕上げないといけない決まりだったから、無理してたんだ。眠らせておいてあげて。こういう時は東塔の生徒がうらやましいよ。水晶人形の専門家を雇えるから」


「プロがいるのね」


「特に同盟国は希少な結晶産出国だから、腕のいい職人さんをたくさん輩出してるんだ。以前は大会があるたびに学園が職人さんを招聘(しょうへい)したり、生徒が技術を学びに留学したりとかできたんだけど、今は実質国交が断絶状態だから……」


「えっ、仲が悪くなっちゃったの?」


「ううん、そういうわけじゃなくて、学園と同盟国の間の海域ってモンスターが多くて普通の船は航行できないんだ。それを可能にしてたのが競技祭典で行われる奉納試合なんだけど、他の国の貴族とかが利権目的で毎年奉納試合に横やり入れてダメにしちゃうから、もう何年も同盟国との交流が出来ない状態になってるんだ。奉納試合の事を知らない新入生も増えてきてるぐらい」


「奉納試合……何かどこかで聞いた事あるような」


「ほら、僕と初めて会って、西塔へ逃げる時に塔の中心にある吹き抜けで見た場所だよ」


「そう言われれば、何か大きなオブジェみたいなのがあったわね」


 ニビに手をつながれて逃げるという、アニメのボーイミーツガール的な展開に、うかれてスキップしながら走っていた記憶の方が強くて、奉納試合の会場だと説明されていたのをすっかり忘れていた。


「だけど教授が寝ちゃったら、魔力循環の続きが出来ないわ」


「どの辺まで教えてもらってたの?」


「体内の魔力を意識してこれを動かせるようになれば大会に出られるって」


「ナギさん大会に出るの!?」


「レン君が呪いの首飾りで強化選手にされてるのよ! 勝ってこっちのチームに引き込むの!」


「ええっ!? 帰って来ないと思ったら、そんな事になってたんだ……じゃあ、もしかして西塔の生徒も? 他の生徒は!?」


「レン君以外の人は確認できてないけど、その可能性はあるって教授も言ってたわ」


 ニビは拳を握りしめて梛に言った。


「……ナギさん、僕も魔力循環の練習、手伝うよ」


「本当? すっごくありがたいけど、いいの? もう結構遅い時間だけど……」


「元々大会の準備で徹夜するつもりだったから、一日ぐらい平気だよ」


「若さが眩しい! でも無理はしないでね。徹夜は命の前借りだってキーマたんも言ってたから……!」


 ミラーボールのように輝いている梛すら羨ましくなる生命力だ。十代って素晴らしい。


「コワいけど至言だね。まあ、それに明日……というか、今日は開会式と商業イベントがメインだから、仮眠をとる時間ぐらいならあるよ」


「大会っていつ始まるの?」


「本祭だから、三日後だよ。競技祭典は進行が開会式、準備祭、前夜祭、本祭、後夜祭、閉会式って、六つに分かれてるんだ」


「本祭までに何としてでも魔力循環してみせるわ!」


「じゃあ一度、動かすところを見せてもらってもいい?」


 ニビに頷いて、梛は試作の小さな水晶人形にリッチの手をかざした。骨の手から注がれる魔力で充たされていく。


 小さく振動し始めた水晶人形が両腕をゆっくりと持ち上げ――次の瞬間エビ反りになって床の上を跳ねまわり出した。


「こっ、これは……」


 勢いが増すとさらにブリッジ状態で四つ足になり、ガタガタとそこら中を蛇行移動していく。


「悪霊憑きみたいになってるね……」


「どうしてもこうなっちゃうのよー! 原因が知りたいのに教授が起きなくて困ってたの」 


「魔力量が多いせいもあるけど、多分引っ張られてるんじゃないかな」


「どういう事?」


「そのキーマたん? の体が持ってる闇の波長に魔力が影響受けて属性がついてるんだと思うよ。魔力そのものは高純度の波長だから、魔力回路で転換された後の魔力を意識した方がいいかも」


「こっちのピカピカ光ってる方の魔力ね」


「高位の神官とか僧侶は瞑想したり滝行したりして魔力の純度を高めるって聞いたことあるよ」


「あっ、今の説明でイメージがつかめたわ!」


「今ので!?」


 瞑想ぐらいなら梛もやった事がある。感覚がつかめた事で、見る間に水晶人形の動きが変わった。ブリッジ状態からちゃんと体を起こして立ち上がっている。


「やったわー! これで大会に出場よー!!」


 そして勝負に勝って、レン君を恋愛強化選手としてお招きするのよー!!


「……ところでナギさん、大会のルールとか知ってるの?」


「そう言えばどんな勝負をするのかも知らないわ!?」


「ええっ!?」

いつもお読み下さってありがとうございます! 初めましての方も数話ずつお読み下さってる方もお越しいただきありがとうございます!!

次回更新は11月10日頃更新の予定です。

近くに落ちた雷の音がとんでもなかったです……。

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