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第170話 奪われし御霊


「まだやるの? 付き合ってあげてもいいけど、無理をしない方があなたのためよ」


アシーナは苦痛に顔を歪める少女を見下ろす。


「くっ・・・」


ミンテは突然飛び起き後方へ下がった。


「な~んてね♪」


木に成るザクロの実を口に放り込む。


腕の先が光に包まれ光の腕が生成される。


やがて元の形に戻り再び青い血の鎧を纏った。


「やっぱり・・・ あの木から微かに女神デメテルのエーテルを感じる。どうして・・・?」


「でめてる? そんな人知らないけど、とっても便利な力でしょ? どんな傷も回復するんだよ♪」


どのような方法で移植されたかは分からない。


しかし、アシーナにはただ一人思い当たる神がいた。


ゼウス。


彼ならばそれも十分可能だろう。


何よりも神や人々、自分の娘さえも駒として扱うような神だ。


その非道徳的なやり方に、次第に怒りがこみ上げてくる。


あどけない少女にではなく、生命を弄ぶ堕落しきった愚神に。


「お姉ちゃん、何でそんなに怖い顔してるの? あ、もしかして私の傷が治っちゃって振り出しに戻ったから?」


ミンテは新しく生えた腕を回して見せる。


アシーナは静かに目を閉じる。


(こんな純粋な子に・・・ 何も知らない子供にまで手を出して・・・)


「・・・・・」


「私が全てを背負う。私を恨んでくれて構わない。せめて痛みがないよう、一瞬で片を付けるわ」


「え・・・?」


アシーナの左腿の紋章が金色に輝く。


凄まじい圧力に圧倒されミンテは腰を抜かした。


「待って!!」


ガイアはミンテの前に立ち両手を広げた。


「ガ、ガイア様! どうして?!」


「命までは取らないであげて。お願い」


「この子達は本来得る事のない神術を強制的に植え付けられています! きっとゼウスのせいなんです! もう元にはっ・・・!」


ガイアは静かに首を横に振る。


「もちろん、分かっていたわ。あなたの言う通り、この子達の中に流れるエーテルに本来のものではない異物が混じっている事。原因はゼウスだって事もね」


「だったら!!」


「アッシー。私ね、子供が大好きなの。だって可愛いじゃない? 元気があって、無邪気で、純粋で。この子達の将来は可能性に満ちている。子供は国にとってかけがえのない宝物。国の未来を担っている」


「そんな未来が詰まった宝物を壊すなんて、あまりにも可哀想じゃない。あなたには、そんな悲しい王様にはなってほしくないな。アッシー、私はね・・・」


「ガイア様・・・」


アシーナが術を解いた瞬間だった。


立ちはだかるガイアの後ろに、巨大な青き悪魔がその大きな手のひらを広げていた。


「『悪魔の戯れ(メガロス・フィリア)』」


青き悪魔はガイアから伸びる光の糸をまとめて絡め取り、光の玉をその手に手繰り寄せ凝縮させる。


「ガイア様!!」


アシーナは駆け寄ろうとするが、何かに掴まれた感覚を覚え足元を見る。


「こ、これは?!」


地面には黒霧が広がり辺り一帯を覆い尽くしていた。


「闇の力だと?! くっ! 身動きが取れん!!」


アポロンは離脱を試みるが、うまく体に力が入らない。


「へへっ!! 奥の手はここぞって時に出さないとな!!」


ザグレウスとアドニスは地面に手を当てていた。


「ガイア、様・・・?」


アフロディーテは突如、どうしようもない不安に襲われた。


必死にもがくが纏わりついた黒霧のせいで動く事が出来ない。


「アシーナ!!! お願い!!! ガイア様を・・・!!!」


大量の光の糸を手繰り寄せた青き悪魔は、糸が切れる鈍い音を響かせガイアの体から無理矢理糸を引き剥がした。


そして大きな口を開き、漂う数多の光の玉を残らず食らい尽くした。


ガイアは糸の切れた操り人形のように、静かにその場に倒れた。


「あはははっ!!! 子供だからって油断するからだよ♪」


ザグレウスは巨大な黒いゲートを開く。


「おい! 用は済んだ!! さっさとここから脱出するぞ!!」


「は、早く行こう? あのおばさん怖いよ」


アドニスはオドオドした様子でザグレウスの影に隠れる。


「任務完了♪ 案外簡単だったな~。まあいっか♪」


「それじゃ、またね♪」


ミンテはウインクし、三人はゲートに消えていった。


「ガイア様!!!」


アフロディーテは、ガイアを支えるアシーナを突き飛ばし小さな体を抱きかかえた。


「ガイア様! ガイア様!!」


必死に体を揺するが目を閉じたまま。反応がない。


「そ、そんな・・・」


アフロディーテは呆然と座り込む。


体に力が入らない。


頭が真っ白になった。


「・・・ごめんなさい。私が油断したばかりに・・・」


アシーナの声は届いていなかった。


「一度、アース神殿に戻ろう」


アポロンは優しくガイアを抱え階段へ向かった。


「私達も行きましょう・・・」


アシーナは呆けるアフロディーテを何とか立たせ、寄り添いながらアポロンの後を追った―――。



ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


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