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うちの聖女様は怒らせたらマジでヤバイ  作者: うる浬 るに
聖女様の自称元カレがポジティブすぎる件「ウォークガン帝国編」
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30 知らないうちに自分でもやっていたらしい

「ここ最近マルセル様はずっと具合があまりよくなかったそうなの。症状を聞いた感じだと、あれはたぶん自己免疫疾患だと思うわ」


 これから過酷な船旅が待っているというのに、病気を患ったままではつらすぎるということで、ルル様がマルセルに聖女の癒しを施すことになった。


「自己免疫疾患ってなんですか?」

「免疫系が過剰に働くことで自身の身体を攻撃してしまう病気の一種なのよ。いろいろな症状があって痛みを伴うものも多いの」

「そんな病気があるんですね」

「ええ、それでね、そのことについてローザに話があるわ」

「お話とは?」


 ルル様が改まってなんだろう。

 その自己免疫疾患の治療を私に任せてくれるとか。だけど、病気自体が抽象的でよくわからないから、私には治し方がわからない。完治できるだろうか。


「マルセル様の身体がああなったのはローザのせいだと思うの」

「はい!?」


 思ってもみなかった言葉がルル様の口から飛び出した。


 どういうこと? 私何かしましたっけ? 身に覚えがないんですけど?


「ローザがマルセル様に手を上げたときよ。ローザ自身も気がつかないうちに、聖女の力を使ってマルセル様の免疫力をあげてしまったのだと思うわ。それが行き過ぎて逆に身体を壊してしまったのよ」

「そんな……」


 たしかに、拳に力は込めた。もしかするとあれがいけなかったのか。


「そんなことするつもりはなかったんです。聖女の力で人を傷つけるなんて、神様がお許しになりませんよね。私どうしたらいいんですか」


 私が神様から授けられた力は人を助けるものなのに。()()()()()が下ってしまうかもしれないと思ったら、恐ろしさで私は身体の震えが止まらくなった。


「気にしなくても大丈夫よ。それを駆使している聖女もいるもの。ローザがコントロールさえできるようになれば問題ないわ。と言うより自分のために使えるようになった方がいいでしょうね」

「はい? それはどういうことですか」


「そうしたらローザも()()ができるようになるでしょう。それができる聖女が増えることはゼ・ムルブ聖国にとっても喜ばしいことなのよ」

「祝福って、まさか……」


『うふふ』と笑うルル様。

 私は意図せず、そっち側に行くことになってしまったの?


「でも、使った時に自覚がなかったのだから、習得するまで大変だと思うわ。わたくしと一緒に、これまで以上に頑張りましょう。その治療方法もね」

「はい……お願いします」


 考えてみれば、ルル様もちょっと人には言えないようなことをしているので、私がそこまで怯える必要はなかったのかもしれない。


 でもまさか自分がマルセルに神罰を与えていたとは。あの時は本当に許せなかったからだけど……。


そういえば、ファーガス皇帝が、

『聖女を傷つけられた神は怒り心頭のようだ。だから神罰がくだったのだろうな。それは犯人だけではなく~』って言っていたな。


「どちらかの聖女様はそれを使っているんですよね、それはご自分で判断しているんですか」

「その場合が多いわ。『聖女を傷つけたら神罰がくだる』そのことを全世界に周知させるためにね」


 ルル様だけではなかったんだ。


「でも例えば道を踏み外した聖女が、悪いことに使ったりしたらどうするんですか。身体を蝕むことができる力なんてとても危険ですよね」

「そんな聖女からは、神が力を取り上げてしまうのではないかしら」


 ああ、クロエのようにですか。わかりました、ルル様。


 でも、あんな無意識で使った力なんて、私が本当に習得できるんだろうか。そしてそれを自分で治せないと、私も相手も絶対に困ると思う。

 今はルル様と一緒にいるから今回みたいな事故があっても大丈夫だけど……。


 はあー。

 思わずため息が出てしまった。


 私が聖女の称号を授与されるまで、前途は多難のようだ。


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