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悪夢の円環の外側

 私の脳裏を一つの物語が駆け巡る。

あり得たかも知れない仮初めの記憶。明らかな捏造の記憶。

それに耐えることができず、私は物語に封印した。悪夢として。

ゆえに仮初めでしかない。繰り返される捏造の記憶から逃れるために。

悪夢の円環に閉じ込めたのだ。繰り返される悪夢の中に。

誰も知ることはないだろう。思い出したくもないものに。

私は物語に封印することで、蓋をしたのだ。古き地平線になぞらえて。


 私はそうして生きている。距離を取った相手に対して。

見かけることは無い。近づきたいとも思わない。

遠くに離れているだけ。それだけで良いのだから。

私のやり方を誰かが何かを言うとしても、それは届くことは無い。

その言葉は私を変える力は無い。有ると思い込んでいるだけ。

その力は無いことに目を背けている。私は物語の中に封じたのだ。

私の内にある負の感情を。表現者のやり方として。


 誰も傷つかない物語なんてものはない。読むたびに人は傷ついていく。

気づかないだけ。自己修復があるのだから。それがどんなに亀の歩みだとしても。

悪夢に誘われた者は円環に閉じ込められていく。結末は分かっていても。

自分に当てはめていく。勝手な解釈を広げていって。

傷口から細菌が入っていくように。悪夢に侵されていく。

ただそこに在る。それだけの悪夢の物語の中に――。

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