↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/134

第128話 選挙活動其の弍

 燐峯たちとの話を終えたぼく、真神雷哉は風見宙飛と共に自分の部屋に戻った。


「取り敢えず、傷代くんと鹿深くんを誘ってみようか」


「うん、そうだね」

 歩きながらそう提案するぼくに、風見は頷いた。


 部屋に戻ると都合の良いことに傷代と鹿深は在室していた。


「おかえり、ちょっといいかな二人とも、……生徒会選挙のことなんだけど、穂月先輩が立候補するらしくて、ぼくと風見くんも協力することになったんだ。それで二人にもその支持者になってくれないかと思って」


「状況は理解した。だが俺は選挙管理委員会だ。故に支持者としては参加できない」

 ぼくたちの話を聞いて、傷代はそう言った。


「手前も既に別の勢力から勧誘を受けている。残念ながら、君達の誘いは受けられない」

 鹿深も申し訳なさそうに言う。


「そう、それじゃあしょうがないね」


「悪いな風見、真神」


「分かった。時間を取らせてごめんね」


 ―――傷代苅砥 勧誘失敗

 ―――鹿深珪晶 勧誘失敗




 同室の二人を勧誘することに失敗した後、ぼくらは部屋を出る。


「次は誰を誘おうか……」

 ぼくの発言に風見は少し考える。


「……蒼茉を誘ってみようと思う。ちょっと待っていて」

 携帯電話を取り出すと、風見は連絡先に登録してあるらしい番号を呼び出す。


『もしもし、どうした宙飛』

 携帯電話から、そんな声が聞こえてくる。


「生徒会選挙のことについてだけど……その前に蒼茉の委員会って何?」

 風見は本題を切り出す前に、まず確認すべきことを尋ねる。


『オイラは選挙管理委員会だぞ』


「そう、じゃあ支持者にはなれないな。時間取らせたね」


『ああ、そういうことか。悪りぃな』


「駄目だったよ」

 そこで風見は通話を切り、肩を落としてぼくを見た。


 ―――漣蒼茉 勧誘失敗




「万策尽きたね」


「早いよ! まだ三人しか誘ってないじゃない!」

 風見の諦めの台詞にぼくは突っ込む。


「だって涼、楓、深林坊くんは錬次に任せているし……他に当てはないよ」

 風見がそう言って肩を竦める。


(そうだ。この少年、友達少ないんだった……)


「分かった、後はぼくの方で探しておくね」

 この先はぼく一人で交渉する他ないだろう。風見は他の生徒から敬遠されているから、一緒にいても逆効果にしかならない。


「悪いね、お願いするよ」

 風見が申し訳なさそうに言った時だった。


「ぐ〜〜」と、ぼくのお腹が鳴る。そういえば、もうそろそろ正午を回る。


「その前に昼食にしようか……」

 ぼくは顔を真っ赤にしながらそう言った。




 ぼくと風見は山子亭で昼食を購入して席を探す。


「あ〜、真神くんと風見くんだ〜」

 そこで、そんなぼくらに間延びした声が掛けられる。


「由密さん……と勿朽さん」

 声の方を向くと緑の髪をした少女、由密ざくろが四人がけの席に座っていた。向かいの席には焦茶色の髪をした少女、勿朽流華が座っている。


「席を探しているの〜? ここ空いているよ〜」


「いいの? 勿朽さんも大丈夫?」

 由密の提案を受け、ぼくはいつも通り不機嫌な顔をしている勿朽にも確認を取る。


「好きにしたらいいよ」


「ありがとう。ん、風見くん?」

 勿朽の了承に、ぼくは風見に振る。


「ああ、じゃあお言葉に甘えて座らせて貰うよ」

 風見は笑っているのか困っているのか、よく分からない表情で答えた。


(さて、これからどうしようか……)

 グラタンの皿を突きながらぼくは考える。もちろん内容は生徒会選挙のことだ。


 とそこでぼくは思い至る。ぼくらと共に食事を摂っている二人の女生徒、彼女らを勧誘するというのはどうだろう?


「勿朽さん、由密さん。お願いがあるんだけど、話だけでも聞いてくれる?」


「真神くん……」

 ぼくの言葉に、この後の展開を察したのであろう風見が不安そうな目を向けてくるが、ぼくはそれに頷いて返す。




「成る程ね……でも風見くん、そんなのに関わっている余裕あるの?」

   ぼくの話を聞き終えた勿朽がそう呟く。


「余裕は無いけど、こればっかりはね。僕も己を守らなくちゃいけないから」


「……?」

 風見の返答に勿朽が怪訝な顔になる。


「えっと、風見くんは自分を異端だと思っていて、だから他二人の政策が通るのを見過ごせないってことなんじゃないかな?」

 事情は知らないが、不穏な気配を察してぼくが釈明する。


「そういうこと……」

 勿朽が納得したように頷く。風見は相変わらず言葉足らずだ。


「ていうか〜勿朽ちゃんも意地悪だよね〜」


「どういうこと?」

 由密の言葉の意味が分からずぼくは疑問を返す。


「うちらを含めた保健委員の何人かは〜事前に北琴委員長から話が通っているんだよ〜」

 ぼくは思わず勿朽さんを凝視する。


「だから大体の事情は分かっているし、協力することは吝かではないよ。勿論、あなた達のためじゃないけどね」

 彼女は少しばつが悪そうにした後、そう言った。


「うちも〜」


「あ、そうなんだ」

 二人の返答にぼくは呆気に取られる。

 風見の方はどう思っているのか、その表情からは分からなかった。


 ―――勿朽流華 勧誘成功

 ―――由密ざくろ 勧誘成功

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。