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蒼き叡智の魔導書 ~エロゲの嫁キャラたちに転生した悪友どもがいる限り、俺がヒロインと結ばれるのは難しい~  作者: 二上圭@じたこよ発売中
6 内ゲバ合戦

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47 誤認逮捕

「やはり雑魚ではユーリアたんと小太郎をどうにかすることは無理だな」


 台覧戦、その一試合目。


 佐藤チームの結末を見届けた後、すぐに自分たちの番がきた。


 カノンを大将として仰ぐ、その一試合目。


 他の試合が同時に進行されている中で、誰もがそっちのけで俺たちの試合を見ることとなろう。


「もっと試合に時間がかかると聞いていたけど、速攻だったわね」


「観客側もわけがわからない濃霧ステージなのに、ユーリアたちだけが全てを見通しているかのようだった」


 鈴木と田中が背後に控えながら、そんなことを漏らす。


 これから命のやり取りが行われんとしているのに、二人は武器を顕現させていない。最初からやる気がないし、別にそれでいいと告げていた。


 台覧戦に出場したのは、ダーヴィットを勝たせるため。先に佐藤がダーヴィットと当たる時点で、勝ち抜く意味など端からない。


 それでも、折角辿り着いたこの世界。待ちわびた神イベント。自らが出場し楽しむのも悪くない。俺TUEEEE系なってしまうが、魔法を存分に人間相手に叩き込めるのだ。色々と試してみたいこともあるゆえ、数合わせでいるだけでいいと、このまま付き合ってもらってる。


「探知魔法だ。ソナーのように広がるそれは、魔力を纏うものに反応し、距離、方角を探ることができる。ただしそれに備えられていれば、探知魔法が使用されたことを感知され、居場所が感づかれてしまう」


「じゃあ佐藤たちの相手は、それに備えていなかったってこと?」


「台覧戦は始まるまでわからない、ランダムステージだ。定石でいえば、最初の五分は状況確認、準備といった作戦会議。奴らがそれに備えていなかったのも仕方ない。なにせ探れる距離は一流の魔導師で、広くても半径五十メートルほど。こんな空間で、最初からガンガン索敵をかけて魔力を無駄にする奴などおらん」


 俺の言葉に釣られるよう、二人は周囲を見渡す。


 目の前に広がるは渓流ステージ。雑木林を切り開くように、その岩場は上流へとゆるやかに続いている。遠くからは滝の音が聞こえ、そこを水源とする川がぽちゃぽちゃと心地いい音を鳴らしている。


 空は晴天。まさにハイキング日和といったところだ。


 まあ、そんな場所で今から行われるのは命の取り合いであるのだが。


「ただし佐藤は違う。あいつには蒼き叡智がある。エーテル還元のデタラメな魔力量なら、力づくで高範囲の索敵ができる。ユーリアたんの水源を確保次第、念話で敵の位置を知らせながら、一気に攻め込んだというところだ。ボス級キャラ二人を両手にしている今の佐藤は、まさに俺TUEEEE系を地でいく転生もの主人公だな。ダーヴィットなど瞬殺だ」


「えー、折角佐藤を上手くハメれたと思ったのに」


 唇を不満そうに尖らせる鈴木。


「なんとかならないの渡辺。もう首輪まで買ってあるのよ」


「鈴木の執念はもう病気。雅ちゃんの件込みでも、佐藤が可哀想すぎる」


「計画立案実行までやっておいてなんだが、佐藤には同情するな」


「クソッ、誰だ。鈴木をこんなになるまで放置したのは」


「俺たちだ」


 ちょっと前までは誰もが憧れる半神だったのに、今となってはごらんの有様だよ、だ。精神科に連れて行ったほうがいいのではと、本気で不安になってきた。


「まあ、手は考えてあるから心配するな。佐藤を潰しながら、エステルをタダで救う一石二鳥の作戦がある」


「流石ね渡辺、頼りにしているわ」


「ただの萌え豚だった渡辺が、鈴木に頼られるほどに有能な姿を見せるとは。やはり人間、一度は死んでみるもの」


 田中のそんな悪口など既に気にならない。


 なにせ死んだおかげで、愛した世界へ辿り着いた。


 異世界転生トラックは、都市伝説ではなく実在したのだ。転生先の触媒となったのはやはり、蒼グリアニメの再放送か。それならソフィアが新品であることにも納得行く。


 死ぬのが後少し早ければ、悪徳営業マスコットに契約を迫られるハメとなり、後少し遅ければ、敵の本土に巨人となって攻め込むハメになっていたかもしれない。


 どちらも待っているのは地獄である。トラックが突っ込んで来てくれたのが、あの時間で本当に良かった。


「そういえば渡辺、今回の台覧戦だけど、こんな話アニメであった? 覚えがない」


「台覧戦はファンディスクである、蒼き叡智の協奏曲(コンチェルト)で追加された話だ。黒の賢者の声がカノンに届かなかったイフの世界。魔法学園ものとして青春を謳歌する物語になっている。エステルたちはその追加ヒロイン。原典のような命を切った張ったはないが、それに準ずるような戦いはある。


 その一つこそがこの台覧戦。セレスティアの魔導技術と、地球の科学技術。その粋を集められ生まれたのが、俺たちが立っている場所というわけだ」


 魔物を簡単に葬れる魔法は、人の命を簡単に奪うことができる。


 命を賭けた決闘は誉れではあるが、流石のセレスティアでも、近年それを問題にするようになってきた。


 一度失くした命は二度と戻ることはない。しかし安全を配慮され、ルールで縛った決闘を誉れであると言えるのか。


 命を奪いながらも命を落とさない決闘。魔導技術でどうにかできないかと研究されてきた。


 そして地球への扉が開いた。


 二つの世界の技術交流がついにそれを可能としたのだ。


 サロゲイトドール。


 魂を同調させたことで、自らの分身となるその人形。


 見た目だけではなく肉体能力も再現され、魂を通じもたらされる魔力や特性によって、魔導師としての自分の力を従来どおり発揮できる。もう一つの自分の身体として、齟齬なく自由に動かせるのだ。


 その身体が死んだどころで、本来の肉体に意識が戻るだけ。それならば命を奪い合うような決闘をしても、命を落とすことはない。


 命を失う必死さこそないが、特殊な性癖がない限り誰も痛い思いなどしたくはない。まさに死闘を行うのに相応しい傑作なのだ。


 そんなサロゲイトドールも、どこでも動かせるというわけではない。それを動作させる環境構築が必要だ。そしてその環境構築には莫大な予算がかかる。


 学園のそれは山を切り開いてまで環境構築された。その広さはセレスティアを差し置き最大級だ。


 そこに予め用意された、自然環境を構築するプラグラムが走ることで、森林や砂漠、山脈、そして今回のような渓流など、擬似的なステージが構築される。フルダイブVRの環境を、現実に用意したようなもので、台覧戦のような集団戦を行うことに相応しいと言える傑作だ。


「なるほど。そうやって雨後の筍のように、次から次へと設定を生やした結果がこの世界観。ツギハギだらけで整合性がまるで取れてない。蒼グリはまさにクソゲー界のウィンチェスターハウス。神ゲー罪はやはり誤認逮捕だった。特高警察の横暴を許すな、無実の罪で囚われた蒼グリくんを早く解放しろ」


 そんな素晴らしき世界を、またも揶揄する愚か者に拳を振るった。もちろん狙うは腹部である。


「ふっ、甘い渡辺」


 それを片手で難なく防がれた。


「仮にも今のわたしはサクラ。来るとわかっている拳を防ぐのは容易――があぁ!」


 黒き黎明の力で、雷撃を田中へ落とした。


 転がる田中の腹部へ追い打ちとばかりに蹴りを入れ、その頭部を踏みにじる。


「やはりリョナは素晴らしい」




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自殺を止めてきたオタク青年の話。そのまま隣人にオタクへ染められた話。そんな彼が死んだ話。(仮)
一巻完結ものの新作で、女子高生に蒼グリをやらせたりする話です。
某キャラも出てきますので、こちらのほうも応援頂きたく願います。
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