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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
97章 楽しみたい夏にしようよ。
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815 お休み前は試験だよ。6/6

6月6日 火曜(夏、テストって聞くとイヤな顔する人が多いのは何でだろう)

まだまだ雨期だけど、聞いていたようなドバ〜っていうのとはここの辺では

違っていて、シトシトっていう雨が降りやすいってだけの時期。

嵐が来るのは秋になってから。この時期は情緒があってステキだし、農業に

とっても大事な時期。集中して学ぶにはいい気候だと思うよ。

 週頭から始めないのは猶予ではなくて、気持ちをそういう風に持って行けてるか確認ってことだし、そうじゃないならそれを補助するお節介(せっかい)をする。

 その時点での実力を測るのがテストってことだから一夜漬けは必要ないけど、そういう時用の気持ちのモードチェンジが必要かなって。

 僕みたいな超不器用だと研究しながら問題を作るというのはできないし、テスト作りながら物語のプロットもムリ。料理はながらが出来るんだけどね。

 今まである事象や理論から、新たな可能性を仮定して実験によって答えを証明するのが研究だから、答え出していくだけの作業な問題は同じようだし簡単な作業のようにみえるかもしれない。でも僕の作るのは最初に苦労して後に楽する作り方なので、問題と差分データと偏差を設定するという作業になる。同じ気分でいたら(くじ)けるよ。

 それぞれに合わせた問題で難易度や範囲が少し違う。全体としての理解度を求めるならひとつの問題にして順位を付けるものなんだろうけど、到達して欲しいところはみんなそれぞれ違う。僕の学校ではそんなつまらないことはしない。

 各人に通過ポイントのような目標をいくつか設定して、順番にそれを超えてみなはれってしている。

 なので点数を比較するのは無意味でカンニングしたら確実に間違える。アンダーな気持ちを僕がスルーすることはないんだから、やろうと持ち込んだ時点でアウトにする。そこまでしてやっと取り組むっていうのが人だもの。筆学所はそういうことが普通だったのかな。

 8割正解できていれば文句なしなんだけど、夏は平均点が95点前後。

 戻されたのをみんなして教え合うし、出る杭に合わせようとしてくれる。この状態がいつまでも続けばいいな。

 新しい着想や美しい字、正確な作図には加点がある。実際の点数に記録されないのは僕が加えているからでごほうびという形で表彰する。主に新作お菓子かな。


 研究者としての興味がこんな面倒しかない問題作成システムなんだけど、カリキュラムが定まりつつある今の学校でなら、突然ヤルってしても対応出来るよ。

 でも心の準備は必要だよね。

 これがあったから多種多様な試験を同日に同じ場所で出来るようになったってことだけど、実技はそうもいかない。それで限定日しか実施できない資格もある。

 意外だろうけど薬師の実技は毎日できた。今は(すた)れた感じだけど、研究者はまだまだいるし、これから増えて前のように(にぎ)やかになっていくだろう。

 複式簿記は聖国発祥なので基礎知識みたいなもの。読み書きの次に当然のようにするし、特別な計算方法もあって本が読める子は暗算も出来ちゃう。

 免許制度はいくつかある聖国復活の手みたいなものだもの。自然に優秀な人を集められるし、閉じ込めないように繋ぎをすれば、感謝されて忠実な聖国の使徒になるよってゲスいことを考えている。菌糸は隅々まで入り込んでいくんだよ。

 鬼さんの道造りの援護射撃があって菌糸とかじゃなく動脈みたいだけど、うん気にしな〜い。

 いくつかの行き来が難しかったルートが一応だけど繋がって、迂回しないでも来られるようになったみたい。今度は遅刻する国や地域はないかもね。

 前の時は鼻息が荒い自信のあるところ、大国とか好戦的な国が意気揚々と早めに出発したんだけど、あの国って戦い大好きだったでしょう。守りのためにルート偽装とかを当然していて僕らが用意した案内看板とかは見ないの。

 思い込みで突き進んであちこちで迷子になるし、長い列って戻るというのが出来ないんだよ。

 オレエラいがなければ看板をちゃんとみるし、横柄でなければ村人もウソを言ったりしない。攻めて来たって時にアッチするというのは当然の手順で、武器チラつかせているのを敵って思うのは当たり前だのクラッカーでしょ。

 それも何度も繰り返して、さすがに泣きが入った言葉をやっと聞いた。

 あの連中はプライドしたんだろうけど帰ってから、みんなが知ってて子どもとかに指を差されて笑われたらしい。いい大人が集団迷子ってネタありがとね。


 アレコレと変遷してきてて、里のやり方は専門パートなら良いけど初めの人達には効果的ではなかった。

 旧ルミナリエでしていたおじさん達のは思いのままして、助言を与えるというものでそれはウケて知りたい派を形成した。それに加えて料理に興味を持った人達が今のルミナリエってことになってる。

 最初伝達に苦労したっていうか、いちいち全部の場所を回らないといけなかったし、記憶力が怪しい人達には個々に確認して、周りにもそれを言ったってするのが面倒だったんだよ。

 それで文字を覚えさせようとした。そういうのメンドイ。かといって教えるのもしないにしたんだよね。

 僕が出かけたいっていうのはあったし、好かれていないっていうのは薄々感じていた気もする。一番の問題は長くしゃべれないことだったかも。

 その頃ドリルって方法は編み出してなかったし、モノとか先にやるってパターンで人前で話すのを避けていて、あんなに大勢がこっちに関心を向けてくることはなかったんだもの。誰も意識を向けてこないっていうのが僕の普通だったんだよ。


 逃げて来て、村を作って、そこに商会があるのは分かっていたことだけど、今後を考えるとやりたいことが出来る人材が要る。

 里でもあちこちに行った時に分かったのは、親とか大人のボンヤリとした知識や技術を維持はできても、それを越える(変える)のは突然変異みたいな突出する何者か頼みだってこと。

 なのに出る杭は打たれちゃう。ツマンナイ。

 みんなが満足しているのを当然だと自分も思い込んでいたって気付いた。

 つまんないしているのは自分だけではなかったことにね。鬼さん達は何でも器用にしてしまうし、入れ替わりをしても平然とお話ししてる。

 僕はモノゴトのナゾを解明するだけで楽しいだったけど、外の、みんなを楽しいにする方にちょっとだけシフトするとウレシイもあった。

 無視されるのが当たり前だったけど、それがカナシイする。よく分からなかったし前は平気だったのにって目から水が出るの。ちょっとしょっぱい。

 新しいプラスの感情を手に入れたのにマイナスが豊かになっている気がする。


 楽しませたい、驚きのある変化する生活がきっと楽しいよって、自分の気持ちはままならないから分かりやすく変化している鬼さん達を作り物の表情ではなく、笑顔にしたいなって思った・・はず。何かや誰かを忘れている気がするんだよ。

 ある時から膨大な聖国の知識やデータに答えを得たり、結びついたりして方向性が出来たり、奇跡のような成果がいっぱい出たし、やり方みたいなものを手に入れたんだと思う。

 東に住むことになって、当然知識は求めるし欲しい人材は手に入れたい。

 それにはもっともらしい場所が必要だし、あの人達に必要なのは表現力だし会話力って決めつけて先生をやってにした。

 着想だけじゃあそれで終わりになる。僕がすごいってした論文は優秀って聖国に贈られて来た王都からの方じゃなくて、辺境の方でスペーサーみたいに突っ込まれていたその他の方。文章は散漫で字は汚い、実証実験データはなくて「たぶん」とか「きっと」ばっかりだけど可能性はとっても感じたから覚えていた。

 里の時は何にでも答えは付けられていたから、エレキっていうナゾエネルギーやイオンっていうのもスンナリ。先時代文化の解明はライフワークだし、知られている言語は知ってる。クイズは得意だもの。

 脅威的に字が汚いっていうのにも慣れていたから、スラスラ読める。


 でもそれじゃあダメ。

 研究ができたってことは、そういう環境があったってことで、小汚いけど悪いものには感じないし知性が(にじ)み出てる。

 実家が裕福なんだろうし、自分のことも出来ないのにハラペコではなかった。

 庶民からっていうのはムリ。まず自分の環境を良くするだけで埋もれてしまうだろうね。庶民は生きるのに精一杯だし寿命はそんなに長くない。

 設備を整えただけでは「過去になにかした」ってだけ。闇雲に興味のままして成果を目指さないのでは意味がないし、すごいって気付かれたら奪われる。実現不可能な着想だけを抱えて夢想を続けているだけという不遇な扱いの人達がいっぱい。

 基礎研究って言われる分野とか、リアルごはんな品種改良には昨対って意識しかない会社や人は興味を示さない。

 僕は逆にそういう方こそ興味があってワクワクする。

 真理を標準にすれば夏がなぜ暑いってお話しできるし、いつかお日様が地平から生まれなくなるとか月が落ちてくるのを心配することはなくなる。

 おそらにペタンされているたくさんの星を説明するために架空の何かを持って来て、すごいからすごいって言わなくても済むし、大きなヘビとかカメが世界を支えているとかが大真面目だったって驚いたりしない。

 冗談みたいなことに多くの人達が惑わされて、たくさんの血が流れているから結構待ったなしだと思っているんだけど、標準器はなかなか浸透しない。


 知らない人が知らないままでいいから、正しく伝わるようにしたい。最初は伝えるための手段だったけど、残すってことを考えたりマニュアルにしたり計算するのにとても都合がいい。なので標準にさせるのは僕らのためというのをちょっとだけ覚えておいて、ちゃんと慎ましくして、良かったら使ってって程度にしておくの。

 コロコロ変わっていた単位を統一したのは、僕らが商売し易くするための規格化ってことで、いちいち各国やそれぞれの地方や有力者には合わせないって宣言でもあって、今までは個別対応をしていたから、値段が高止まりするし上がる原因でもあったんだよね。

 ずっと馬車を20年近く売ってきたから僕らのが事実上標準化してる。優秀で剛性も高いから、それをマネしたくなるしオプションで色々付けられることが部品(パーツ)屋や仕上げ(デコ)屋という仕事を生むことになった。

 台車とかを一新して、新しい仕様に僕らは変えたけど、旧来の仕様は生きているし、新しい方もそれに準じているから馴染みやすい。それはプラスに働いて新しい方も売れていて、旧来の方を荷車や長い台車用に設計し直してそっちも売れていて、パーツ屋やデコ屋の仕事を(つぶ)すことなく移行出来たのはやっぱり規格が統一されているからだと思うんだよ。

 結果的に規格を作ったってことで、じゃあ最初に宣言して材料を作ればいいんじゃないかってしたんだよね。

 何でも揃っている方が収まりはいいし、それが他でも共用化しているんなら事務を効率よく進めることができる。そして計算方法とか文字とか用語とかバラバラだったのを翻訳しないでも使えるならとても良いことじゃないかな。


 新たに配布する時には押し付けにならないように注意したけど、資格とかは別。

 命や安全、食に関わる可能性が高い免許や資格が裏付け(勉強や経験)のないものはキケンって東の街で思ったし、実情はとてもヒドい。

 王都の方や伝統ある西の国々ならそういうことはないだろうから、形式上ってな感じで聖国がお墨付きを与えて、他の国でも尊敬されるとかイイヨねって。

 誇りに(こだわ)る人達だもの。言われなくても研鑽(けんさん)をして高め合っていると思っていたんだけど、それは僕の勝手な思い込みだったようで門前の小僧の方が良い点取れるんじゃないってスコアだった。

 気を使ってまた名前公表は避けたけど、来年落ちたエライ人達が受けに来なかったら公表をする。落ちたって事実もね。

 結果的に免許を取った人達のほとんどは僕の商会入り(密約って人も)か聖国に残っていて、認定資格の人達も3割程度は商会で確保したし、その他の多くも関連の良心的なところに紹介というカタチにできた。その他の人達はたぶんスキルアピールをして給金を上げろ交渉をしたと思うけど、価値が分かっていない人達だからホンのちょっとってとこだろうね。

 あんまり人気がなかった字のうまいよ検定がベースアップアピールでは一番って知らないのかなあ。対外的の文書作りはどこでもあるんだけど、誰もが字が汚なくて、暗号って間違えるくらい下手。時間を置くと自分でも読めないとかね。

 寒村と鬼さん村を繋げて復興を推進しているし、近くのニンゲン村の懐柔も進んでいる。なぜか道造りを熱心にしている一群とかが繋げてくれるだろう。

 やっぱり道って経済の動脈って思うよ。


 夏の試験は基本のと強化したい科目に選択くらいで早めに終わるからだいたいはプールに流れて行く。

 来週は恒例の記録会があるし、今回はすぐスポーツ大会があって新競技として水泳も入っているし、選抜された人達に学校の子達もいるからね。

 テストは日々の確認でしかないし、テストのための勉強じゃあ本末転倒で一夜漬けした学びなんてスコ〜ンって抜けちゃうだけで意味は無いの。

 みんなもテストモードに入るだけで変わらずプールに行って練習をしてた。

 これが僕の学校の普通。

 どちらかというと研究室の方が大変で、しっかり休むためにはある程度の成果を出さないとお小遣い分が出ないって、今頃やっているようじゃ間に合わないよ。

 前の時はみんなに忘れられて置いて行かれたみたいだけど、きっと格好つけていたんじゃないのかな。ノルマっぽいスケジュールはあるけど、研究なんだから予定通りにいかなくても文句は言わないし催促もしない。何かしら成果があれば上乗せは当然ある。

 でもね。直前で巻きを掛けられるなら余力いっぱいってことだもの。秋からの要求度はずっと上げちゃうんだよ。


 僕が良いにした埋もれた論文や研究が製品になって、枯れたはずの意欲や発想がよみがりしてる。自ら掴み取った成果ではないし教授にしているのはポストが空いているからなだけ。

 補助が必要な授業だし台本ありきなんだから講義でも不足しているんだけど、ぼんぼんの環境や学びや研究に費やした日々は本物だから内容には重みがある。

 生活破綻者だし対人に問題ありなんだけど、僕ががんばっても出来なかった笑いがここにある。

 お笑いの人達の台本も実はまだ僕が作っていて、あの人達はそれを笑いに変えてくれる。でもあっちもこっちも僕がやったら、どっちらけの沈黙になるんだよ。

 教授たちは介護されて、何でも自分でやるようにされて少しずつマトモを獲得していった。

 何でか子ども達には受け入れられて、最初の踊り祭りに出ていたし次のもそう。

 駅伝にも参加して笑いを()(さら)っていく。

 それにつられて周りも上がっていく。この掃きだめのような末端の街ではこんな人達ばっかりでそれを周りが何とかしてる感じだったけど、今では中心のような感じがするかなあ。教授はロイヤリティで小金持ちだし知性が元々ある。最近はカッコ良くなって言動も異常さがなくなって人気だよ。

 いまのところ最上級生は全員持ち上がりみたいで、この辺りの成人年齢になったはずのシンシアの子達がどうするのかは分からない。

 でもね。誰にも悪くはならないし、きっとイイコト。そんな気がするんだよ。

無くした大人の初級コースって、すごくいっぱいいたし楽しそうだったけど

来ることが目的になっている感じだった。

授業の時にボンヤリしているのばかりで寝てるのとかいるって。

何しに来ているのだよねえ。

テストがジャマものになっていて、カンニングとかして爆沈。

経理の人達の大半は良かったになったし、教育の悪いところも検証できたから

ムダにはなっていない。テストを目的にさせないようにしてる。

ステキな人材にしたいからね。

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