表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
96章 夏は始める季節かもね。
821/832

810 夏の大事な日。その2 5/26

5月26日 土曜(夏、夏だけどギンギラギンとはならないよ)

行ったトコでで北方のことを気にしていたから、伝え聞いてたのを

まとめただけで僕はあんまり知らない。興味ないし。

そんなことより夏にね、嬉しいな、するんだよ。

 あっちっちな〜地域だと熱いってことだけで昼が一番長い日ってことをあ〜そ〜しかしない。聖国とかは夏はそこまで暑くないし、近年ずっとなかったから雪を見たことないって人は多い。

 遠くの山は上の方が常に白くて、きっと氷河っていうのがあるんだろう。

 (はる)か昔にはずっと寒くてこの辺一帯も雪が一面にあったっていう学者もいる。その時にはどんなだったのかな、人はいたのかな。ケモノはモサモサだったのかな。

 過去には降ったこともあるってだけで、きっとパラリってだけだったし、実は花だったとかありそう。そのくらい人の記憶っていい加減なもの。

 寒い地域だと夏は待望の季節。羽目外すくらい待ってましたって感じらしい。

 それでドバンドバン出来るようにって打ち上げ花火を売り込もうとしてるのは、とにかく営業がんばらないとたくさん出来ちゃう火薬がいっぱいあるから。

 少しずつ縮小はしているんだけど、オシッコの硝石作りは5年掛かるから出始めちゃったら止まんない〜ってヤツね。

 採掘できるところは見つけたし、製造量を高止まりしたままで販路を広げようとしてる。花火の火薬なら煙が少ない方がイイから黒色火薬は減らしていくけどね。

 火薬のノウハウなら聖国の研究にあって、こっちは兵器の研究。

 花火は隣町にとってはプライドみたいなものみたいだから特化する方向に転換するつもりで、精霊石を使うキケンじゃない花火も用意するよ。

 かつての聖国でやっていた商品作りまでするつもりで、僕を捨てた人達は元気でいるらしいけど、かつてのモノ作りはしていないみたい。

 売りやすいだろうってそうしただけで、あの人達がしたかったことではないんだろう。もう気にすることはないかなって準備してる。

 前のって在庫もサンプルも売り尽くして残ってない。元ネタは提供したはずだから、アイデアだけで面白味がないところを補ってくれて作ったんだと思うけど、背伸びして楽しませようとしたことがお付き合いだったってことだろう。

 里の時は感情が分からなくて、お仕事がつまらないってことを気づけなかった。

 今も分かっていないんだろうけど少し感情を理解して、イベントは成功しているのが多いし、活かすこともできてるって事だよね。

 製品は試作や製造中、もう少しでカタチになる。秋や冬の夜長に楽しんでくれると嬉しいし、製造のが間に合えば長い一日を楽しむひとつになる。


 オストワルドあたりではあんまり変化が無いから分からないことだけど、聖国で夏は夜10Hくらいでシルタあたりだと夜11Hくらい。今の西側聖国圏北限だから白夜のことはエルクだけのこと。

 そこまで一日が長いと何しようかってワクワクするから、春には1H早めてサマータイムってして楽しんでにした。気候も天気も良いし、じゃあ遊具をって考えたのは自然な発案だったと思う。

 東に住むところを変えて夜が7Hくらいになって、災害復興とか村興しとか、通貨を一新しようとか思っちゃったのはどうしてなんだろう。

 すごいイケイケにしたのは鬼さんのためって分かるし、住んでいるところを良くしたかったからなのかな。

 あるいは不明だった技術のモヤが晴れて試したかったというものあった。

 ずっと記憶して小規模の実験をするだけで、試せることも少なかった。

 一皿丸ごと作れる料理というものに()かれたのは当然のことだったんだろう。


 それで振り返ってみても何も無いの。ブツがあるだけで後は従業員なだけの人達しかいない。そんなつもりで村をつくったり、復興をがんばったわけじゃない。

 すっかり割り切ってお仕事として捉えるようにしてる。お仕事の中にだって楽しい事はあるし、それだけでもいいにしといた。

 でもそういう観点でするから、長い目で見た損得で判断してる。去る者は追わないことに当然なる。

 漁業を始めるのに用意した船は鋼製でアミとかは簡単には切れないナゾ材質で編んである。探知する道具でサカナの位置や怪しい集団も分かっちゃうよ。

 断絶した人魚村からは足を伸ばせばってところを主漁場にするつもりで海になぜかある浅瀬が広くあるところ。試験操業が終わって夏至からは本格的に漁をしてもらう。今までは近場だけだったけど、獲るところはばっかりでない方がきっといい。


 ずっと生産工場は練習してて、そっちの目処(めど)もたった。

 シルタがいよいよ表舞台に出て、食べられる肥料やイワシ加工品(アンチョビ、オイルサーディン)やツナ、大型魚の「エクセルシオール」に並んでくる。

 龍宮島が南国果実とお酒の方が知られちゃって人魚の島だなんて思ってない。

 北の大国からの農作物はもう通貨の違いで入って来ないだろうから、一気に市場に入り込こもうと砂の国とか聖国の北にできた地域や南地域にそれを知ってすぐに秋ムギを植えてつい先日に出荷していたり、春植えムギを作ったりしてる。

 ちゃんと種類として、強力粉、中力粉、薄力粉、パスタ用って大まか分けるようにした。それに適したものを使えば美味しいんだから、パンに合わないダメ粉って評価はもうさせない。

 僕は味で評価したいんだけど、世の中はそうなっていないから味についても分けて(グレードして)いるのは聖国からの製品だけね。


 それでも大国からの輸入不足は大きいから、砂の国の南や南方生産地やピレーヌやその上流地域に妖精の祝福をお願いした。今年だけはコメみたいにたっぷり実が付くと思うけど、次は元通りだから浮かれないでって念押しをしてる。

 シルタは今秋にはサカナ供給を始めるし、次年度はコムギとか野菜も出荷する。

 聖国の北側地域はこの秋は周辺の食料を(まかな)う役目で、たぶんそれより多くは無理だろう。報告を聞くとそれほどの熱心さは感じないんだもの。

 最適地域ってしている連邦の南、ランパート、ムートンのある構成国の生産性は微増なので連邦どころか周辺に出すのがやっとくらい。もったいないよねえ。

 新天地もいよいよなんだけど、自分のところで消費する程度。人力だけだし、体力がなさ過ぎて耕作面積を広げられない。土地改良に時間が必要なんだけどさ。


 南大陸の出荷はやっと畑作っただけで来年かなあだけど、ほとんど飼料用で食用のはまだ味が納得いかない。丸いのは美味しく出来たんだけどね。

 お砂場緑化はユックリだし畑作りがちょびっとずつ北進してド〜ンするまでには時間が掛かると思う。

 暑さが日常だし、一日の長短があんまり変化しない土地。

 オストワルド以上に夏至はどうでもいいんだろうねっていうか、暦を意識させるのに苦労してる。日常にしないと農作物の管理や生き物の育成とかにスケジュールが入れ込めないし、納期を重要に思ってくれないと生産地に組み込めないんだよ。

 それは人魚さん達もで教育が馴染まない。黒いおじさんの苦労がよく分かる。

 ただ言われるままで、生活を良くしようと動かないくせに不満を誰かのせいってパターンばかりだったんだけど、ここはそれすらもない。

 コマが思考しないなら道具にもならない。粗悪な粗鉄ってとこだろう。精錬し直すか砕いて道の基礎用に使うくらいしかない。


 夏を切実に必要にしてお祭りを理解・・一番昼が長いかどうかは観察が必要で、それには(こよみ)を持っていて時間を日時計とかを記録して経験で何月何日ってした。

 つまりある程度賢くないとお祭りに届かないということで、ブレがかなり起きてしまうから夏を祝うだけのもので、結局は星の観察をしている人達の研鑽(けんさん)があって日付が特定出来ている。

 せいぜい動かない星を知っているだけの極北のエルクの民は夏はウレシイけど、そこ止まり。時間が止まったようにワイルドな生活をしている人達にはそれ以上の文化が必要なのかどうなのかって問いかけている。

 知っちゃうと違うとは言えないよねえ。文化って毒だもの。

 チラチラと見せられると、ついつい言葉を知りたいと思うってことで、当然過程には未知のキラキラがあって誘ってくる。

 良いモノってどうやって作るって興味を持ったら手遅れで、理不尽な自然と一体になって生活するってことが出来ないと思う人達が出る。

 なぜかボイラーはそのまま受け入れられて、逆にビックリしたくらい。

 あれって文化そのものなのにね。


 僕はそこにある人達に選択肢を増やすふりして文化で汚染しているだけ。

 手を出した以上、自治区という責任の所在が曖昧なモノではなくて国にするつもりだったから、鬼さん達のやり方は取らないし帝国がやっていた保護のフリというのもできなかった。

 国ではみんなが税を納めて活動資金にしないといけないのに、保護する前提の種族や民族を抱えることはできない。

 何らかの収入になることをしてもらわないといけないんだけど、あの生活では自分達を養うだけで僕らにメリットはないんだよ。

 毛皮はすごいけど、そのために殺生してはいけないという単純な倫理感というより代用品を作る興味が(まさ)って言い訳に使った気がする。

 それは人が増えすぎたからを経由して先住のはずのケモノ達を駆逐してはいけないだろうという歪んだ言い訳に変わっていく。あくまでも森の上澄みを(すく)うだけにしないといけないってもっともらしい話。


 長い時間でみると、自然は平気で生き物が住めない環境をつくる。南の大陸には大きな砂場やジャリジャリや岩だけってところを作っている。

 それを僕は住めないからって緑化をする。今は実験段階だけど成功しそうな予感はある。そういう意味では自然破壊ってことになるし、新天地は文字通り破壊したんだったよね。

 海に囲まれていても雲を作ってくれないし、ちょっと良い感じに回してくれれば、どこにでも生き物が住めていいっていうのは人の都合なだけ。自然はそんなの求めていなくて、いくら拝んでもちょうど良くという要望には応えてくれない。

 下に大きなヘビがいて、その上にゾウがいて、カメに支えられて地面があるとかっていうのも人がそう思いたかっただけでしかない。

 北の森に比較的生き物が少なかった。それはよくないこと。

 極北の特異な生き物が少ない。それはいけないこと。

 ・・ということにして、南に誘導する理由にした。開発する人材が必要だったってだけで小国の人を使えないって判断して「追い出そう」にした。

 新天地に誘ったのはタマタマでしかないんだから期待通りに動かない人達を尊重することはないかな。


 多いなら駆除って人はするでしょう。生き物では当然のようにするそれを、どこでも増えて、そこの環境を圧迫するニンゲンを同じようにはしちゃダメらしい。

 極北にいても採掘をしてくれない種族は、毛皮をナシにすると税を納めそうにないんだけど駆除しちゃダメらしい。さらに東に追い出すってこともノーされた。

 じゃあせめて少なくして、他は利益を生む人達になるようにって誘導した。

 鬼さん達が去ってからに比べると激減している。

 南下して徐々にお金になるものを作っているんだけど、ほぼ僕の傘下。

 今は森を間伐しているだけで結構出る。植林もしてて本格生産の準備ということにしてる。あと鉱山とゆくゆくは製錬をして、ここ用に品種改良した野菜や穀物に肥料を使ってゴッチャン体制をなくそうとしてる。

 それと肉好きの人達のために合成肉を開発したり、虫を育てて原料にするというのをサンプルでは出してる。その過程でクズ肉を成形する方法が派生した。

 輸出して稼ぐってことが南下した人達の自慢になればいいし、工場だけなら極北にいても出来る。

 生活が安定して僕らの文化を知って、折衷案を作るのは住んでいる人達で期待してる。どちらかを選べって突きつけられたと思っているようだけど、僕は最初に言った通り選択肢を提示して、税を払うための仕事をしながら今までの文化もするという道でも良いの。

 毒なのは変わらないから、少しずつ慣れていけばいいんだよ。


 それで(こよみ)を当然にして夏至(げし)を祝うってことをしてもらいたい。

 ユールや花祭りや大好きの日や子どもの日もして季節を大いに楽しむ。

 白か黒かってだけじゃなく日々を楽しんで欲しい。

 そうしたら西の夏至祭を知って、西の人達は東の人達を知って「同じだね」って笑い合えたらステキだなって思うんだよね。

僕は平等に考えているというフリをしてる。

こう言われたらこうっていうのも準備済みだし、実績もしてて

カネカネ言ってるのに、聖人みたいな扱いをする人は多いみたいで

やっぱり悪魔だって、人ではないって言う人もいるんだろう。

サイを投げる前に止めれば良いのに、そういう行動はしないよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ