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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
96章 夏は始める季節かもね。
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809 夏の大事な日。5/25

5月25日 金曜(夏、昼間が一番長い日って寒いとこでは大事な日なんだよ)

農業はお日様も大事。やたらバッチリの日に(こだわ)る東の人達なのに

政権は何してんだろう。

メリットを感じなくなるとど〜でもいいにしがち、だって興味ないんだもの。

今は何かなあ。スポーツ大会はまだまだ先だよ。

 ちょっと前に夏至(げし)(昼間が一番長い日)があったけど、きっちりより大多数が参加出来る方を優先するのが西の人達。僕もそう。

 参加出来ないことは、かなりツマンナイ。そのせいで企画は出すけど無視されるイベントには行かなかったりしてる。しないとやってくれない。

 今年は全部拾うのを目標にしてるから、気持ちどうのっていうのは置いといて、時期とか内容にチャレンジ入れたりして次に繫がるようにはしてる。

 蒼柳の3周年は内輪(うちわ)でやって、情報として出すだけで特別なことはしない。宿だから主役はお客さんの方なので料理や演出で感謝を演出。そろそろ期待のまん丸果実も試食してもらうために出したりね。

 湖の地域開きってこともあるかも、そんな細切(こまぎ)れ誰も喜ばないか。


 東雲(しののめ)の開村祭はした。お待ちかねって感じでまた(たこ)が増えてて、子ども達まで参戦していたよ。

 何人かで一つっていう単位が減った分、凧が増えたみたい。来る人の数はあんまり変わらなかった。

 で、僕はそれを遠目で見てる。画像を記憶して記録(色んなデータや分析)としてぎゅっと圧縮してタグを付けて仕舞(しま)うのが楽しみってことにしてる。

 あとアイドルな人達の行事絡みっていうのはグッズ的に大事でしょ。

 僕のはただの記憶だから「写真(まことをうつす)」ではないの。都合の悪いのは消しちゃうし、木の配置とか勝手に移動して付け足しする補正してるもの。

 下ばかり見てた人達が落ちてるお金を見つけることなく前を見る。楽しいの予兆を見逃さないために、きっとそういう感じに変わりつつあるんだろう。

 だからせっせと(つまづ)くものを取り払うことをしてきたけど余計だったかもって過保護をなくす方向にしてる。

 イベントのフォローはヤバイよってことだけにするつもり。失敗も活かしてね。


 百島のグルグルポーンはした。元々1人だけのつもりで始めたことで、もしかしたらって山積み用意することもない。

 火を点けてパチパチと燃える。グルグルしている間、色んなことを考えるつもりだったけど悲しいが少なかったなってだけ。ポ〜ンってソラに飛ばすとニャアニャアって散らしていく。

 今年も色んな事に挑戦した。偉いよって自分をほめた。最後のポ〜ンした時に楽しかったよ、ありがとうって、がんばって高く・・は上がらなかったけどバシャンバシャンってシャチとかサカナ達が跳ねてる。

 これからもよろしくって、僕も上を見るよ。

 

 これから治水工事も始まってお隣がドンドン町に近づいく。もうすっかり記憶にもないんだろうけど、僕くらいはおめでとうって言ってあげたい。

 安らかな温かい場所、帰るところがあるのはとてもステキ。家(部屋)は寂しさを強く感じるから僕には要らない。それでいいの。

 明日からは週末、土曜だから夏の大事なイベントをアチコチでする。


 面白い夏祭りで有名な北の地はもう聖国ではなくなって通貨が使えないから、見に行く人達が激減したんだって。それは大国の方もで夏の気持ち良い時期に旅行する人は多くて、歴史のある国は人気だった。

 食べ物のことは話題にしない国だけど素晴らしい街並みや田園風景、ステキな古城や最新の農法とか編み物に織物、細工とか魅力がいっぱいある。

 ヤバイ新紙幣っていうのは聞いていて、換金所で見たアレは持っていたくないって少額だけにして、後は金銀に交換って人が多かったらしい。

 だって(こす)ると色落ちする印刷だし、何かを誇りたいのかサイズが大きくて折らないと収まらない。カミがウチの汎用紙でアレって印刷ノリはどうだったっけ。

 紙幣生産や試験にスポーツ大会があって、そっちに優先で回しているから、印刷用のはまだ販売していないんだよ。それに取引が止まって今後どうするんだろう。


 北は前は通貨だけもらうっていうのが購入になって、聖国圏に入るかどうかを決めるになった時に前の立場通りにした。それで今は通貨を造っている。そこは硬貨だけで、良い鉱山があって備蓄があったし、加工技術もあったからね。

 王政だったしカタチだけでも傘下としたくなかったんだろう。発行には相当の費用が掛かって産業が一時期停止したし、今も足りていない。

 それに案外貢献していた観光の人達が急に減ってモノが余りがちだとか。

 一度にたくさんの国に出すことが出来た聖国のチカラを思い知ることになって、その判断が王侯貴族の傲慢(ごうまん)と責められているみたい。

 通貨はそれぞれの国が持つことになって商人達は、通貨発行で弱った国より鋼材の輸出も始めた聖国から買った方が換金の手間や輸送のコスト分安いし、街道整備が進んでいるからラクな方やチャンスがある方に流れる。

 商売上では聖国通貨での決済を指定されてもイヤとは言えない。

 オーダーすれば数日も掛からずに指定の場所に届けられるということは自分達がはるばる取りに行く手間もない。早いことは素晴らしいよね。


===

 通貨をもらっていた時に多くの恩恵があったではないかと論議されていて、異常寒波の時は困窮する前に大量の(まき)や燃える石が持ち込まれたとか、飢えそうってなった時には支援がもう届いていた。帝国が攻め込んで来た時にハネ退けたのは自国兵ではなかったはず。

 政府が動くより早く助けられていた。それに見返りは求めずに終わると帰って行くだけで感謝すべきなのに、公的には歴史に残してこなかったから知られていないんだけど、恩義を強く感じているから村では記録してる。ありがとうもできない民族だと思われたくないっていうのは普通の事。

 けれど今回ハッキリ関係ないってしてしまった。通貨製造の出費もかなり大きい。帝国・・連邦が弱体化しているのが救いだけど、巫女(みこ)がテコ入れしているそうだからすぐに脅威に変わるだろう。寒さに疲れて愚かな王朝を倒すほどの意欲はない。この先に破滅がないことを祈る。

 愚かな選択をして聖国庇護下にあった国がどう(そそのか)されたのかは分からないけど、大国共々抜けた。

 あっちはこっちみたいにそれ自体に価値のある硬貨だけならまだしも紙幣だけという。大量に刷る技術はなくて一枚一枚刷ってインクを足してだから、スタート時に必要な量をかなり前から用意していたんだろう。聖国紙幣レベルとなると彫刻や鋳造、箔とかにカミ製造の技術までだけど、潜入している諜報員からは聞いていない。カミといえば聖国の汎用紙が安価で出回っていて確かインクを(はじ)くから印刷には不適となっていたはずだが・・

 ウチの新造貨でイヤな顔をされるんだから、お粗末なカミのカネが国家間で通用することはないだろう。

 たとえ国印が押されてるとしても濡れてしまえばゴミと変わらない。

 で、さっそく偽造札が出てるらしくて信用がされる前に終了。とか言われてる。

===


 心配した通りで発行数が国の実力を越えているというウワサ(きっと真実)が不安を(あお)って、すごいインフレが起きているっていうのは名目上で、庶民は予想してて、冷静に協力し合う方法(物々交換にする)をニュース誌で学んでいた。

 街中はいち早く小さなインゴット交換に並んだし、地方は物納が多いから代表が少ない現金をまとめて焦って交換に走った。

 聖国がもっともらしいデータを出して、国のチカラ(総資産)はこれだけってしたのが許せなかった。自分の蓄財が廃棄するべきだった硬貨で交換したことにするという方法が通用してきたし、貴金属の交換を条件に出した一派(いっぱ)なのに、策謀を先行してて金銀を手に入れようを後回しにした。何より自国でオカネが作れれば無限に増えると思ったんだろう。

 何百年もうまく行った方法が今度も成功するって、(おろ)かな貴族達は思った。

 未返却聖国通貨は全ての手続きが終わった日から失色、カウントダウンして主張しなくなった通貨は国外では使えないとか、隠していただろう未処分の旧聖貨も何らかの異常をきっとしてる。

 脱退があっという間に完了したから、大慌てで作った紙幣の出来が悪い。

 たぶん引き止められて様々なことで良い条件を引き出して、大きな経済圏での地位を得ようとしたんだろうけど、脱退の準備がよくて手順や書類、撤退方法までマニュアルがあって、その時は大使館で全権大使(いちおういた)がサインをすぐしたって。

 それまでがネチネチと面倒だったらしく素晴らしい連携を発揮して、数日で全てを完了。たまたま来た僕が知って土地や建物の売却、人員や物資の持ち出しも済ませた。約束の貴金属納品の後に地方にも分散させていたのも庶民やウチ関係だけだったから、ちょびっと。また回収に来るのは面倒だし、もういいやにした。

 その気持ちが伝わって旧貨幣がASAP(一刻も早い終了)モードにたぶんなった。回収できなかった分は新規発行時に調整すれば良いだけでしょ。

 交渉に数年掛かると思っていただろうし、不満があったとしても抜けるつもりはなかったんじゃないかな。体面はともかく利点いっぱいだったしね。


 交渉では駆け引きする。最初に担当者をビビらせようと「終わり発言」したんだろうけど、ご丁寧に財務相の手紙まで付けてたから通牒(公文書)とした。

 本国に確認を取るって焦らせて走らせたり、扱いブツを安く提供さるようにするのがいつもの手口だったのかな。でもあの人達にはチカラ(能力)も無いくせにブンブンするハエみたいなキゾクは鬱陶(うっとう)しいってイメージしかない。

 役人は僕が動くようになってから存在を認識したし色んなトコにも行けるようになって楽しい反面、面倒ごとが多くなったというところだろう。

 王都の一等地に大使館って喜んできたのに、やっている事は商人と変わらない売り込みだけ。まだまだ旅行者は少ないし、聖国の行商人とか移住者はあまりいない。備蓄をそれぞれの国が持って、救済が必要な時に連携(旗振り)役とかカッコイイことは、めったに起きない。起きちゃ困るし。

 そろそろ冬になるから地元が恋しくなってて、ハイハイとサインをして3倍速で終了の手続きを進めた。マニュアルあったし終了セットっていうのもあった。

 行き来は海を越えなきゃで、ある海域を避けて遠回りする。それがメンドイ。


 強い国、大きい国なら尊重されるし、一介の役人なら貴族に(おび)えるものなのに、軽い申請のようにハイハイってサインされて、ファイルからピッと取って「これが契約終了までの手順です。日時は聖国歴なのでお間違えなきよう。あとこちらが脱退のパンフでよくお読みください。

 え〜とお望みは通貨の交換で金銀銅に鉄鋼材に指定の宝石、カミに布・・シルクがお望みでしたね。すぐに手配しますので当方が提供を完了して、撤去するまでに新通貨の回収お願いします」

 意気揚々と乗り込んでアレヨアレヨと手続きや説明で10Fもいなかった。

 それを王宮に報告したら大笑いされて、夢だったのかとも思った。


 これはどっちの国でも同じで大国ではニュース誌が「大ニュース! 当国と北の国が聖国圏から脱退!!」ってして、それとほぼ同じ内容(翻訳版)で北の国でも立ち売りが出て、それは地方でもパートを駆使して同時期に行った。

 サイン後わずか3Hのことで、久し振りの大忙しで子ども達が駆け回る。

 交渉テーブルに付いた時点から作業が始まってて、そういう記事が用意されているから日付や冒頭の国名部分だけ変えて、2国分だしいっぱい(さば)けるからってフル回転しても終わらなくて何度か交代して大量にあった在庫のカミやインクが終了するまで刷り上げた。

 それを北用にコンテナインして、残りは地方に送ったり街売りしたりだった。

 大きい国は何誌かあるから大変で、それらを全部買って見比べるのもいる。

 ちょっとずつ情報が違っていて「独自通貨が出るだろうけど粗悪品」「紙幣に頼るとインフレしてすぐ価値がなくなる」「対応策はこれで決まり!」「こういう時ほど冷静になって協力すべし」「新通貨が使えなくなるから、3日後の交換に走れ!」とかね。

 全部読めば記事の大小なだけで同じ内容が文調を変えて入っているんだけど、紙面が変われば理解度が上がるのは確かだもの。何誌買っても損ではないよ。


 売りまくって史上最高の部数を売り切った後にド〜ンって感じに打ち上げしたのは、もちろんここの地元料理ではなくて道具でチーンしたり、()でて()えたりしたものばかり、名物っていうのも骨を抜かないで揚げただけのものだもの。

 まだ調理に興味が出てくれる子はいないし、忍者な人達の携帯食に興味を持ってはいけない。美味しいものを食べてまず健康な身体を作る方が大事だよ。

 冷凍製品はレベルがグングン上がって調理室で使う刃物はハサミだけで2ヶ月は別メニューができるくらいのラインナップを用意してる。

 もちここの地元料理も調整して(僕が)美味しいものに変えてあるから、見かけだけでこれが地元の味ではないの。クリエイティブ性を期待しても無理だから、しょせん二番煎じなんだけど、コピー品が最上のものに変わることはよくあるよね。


 関係店の通知は翌日からだけど、街の騒動でだいたい知っているし、ニュース誌を買って読んだんだろう。

 分かっている前提で国外に行くか残るかって、家族までは連れて行くからすぐ決めてって言う。尻尾のあるおじさん達はあの子が来るまでだけど、そういう嗅覚が鋭いからそんなに時間がないって言ってたって。

 明後日(あさって)には持ち金を交換に走らないといけないし、サヨナラもしておきたい。

 きっともう戻ることはないって気がするのはアタチの予想で、いつも待ってくれないけど、それが悪い事ではないから怖かったら目をつぶってついていく。

 ちょっと前は明日のことも考えられなかったけど、最近は片目を開けて見ながら歩くこともできるようになった。街が態度を変えて優しくなったけど、大きな手が 護ってくれているからって知ってる。

 その姿は小っちゃくて可愛い子どもだったけど、アタチには(まぶ)しくみえた。


 翌日にはアチコチの町や村の広場に重いのが届いて、街のは特別大きい。

 衛兵には偽造の命令書が「新通貨と交換せよ」とあって子ども達が列を作るようにさせて混乱は起きてない。

 これは北の国でもで、ナゾ(偽造)の命令書に従って交換をしていく。

 事前にニュース誌で情報が入っているからで、殺到するようだったら中止して二度と交換はされないだろうって強調して書いてあった。

 そういう理由をこじつけるようなヤツラだって過去に何度も経験していたから、納得してじっと並んでいる。そういうの出来ないのがやっぱり出るんだけど、今回のはほぼ全資産の交換だもの。おとなしく並べって叩きのめすくらいはする。

 それでタイムリミットっていうか、伝達が遅いし信じてないせいで市内のニュース誌が持ち込まれるのは昼頃で、広場で交換会してるっていうのが来るまで(まず自分達が交換してからだから)には早くてオヤツ時間か、日没近くだろう。


 全員の交換にしては早かったのは、ニュース誌で何を用意するかって分かっていて、大人しく並んでいて計算は道具に放り込むから、すぐ終わってハイ次が出来たからだろう。欲深さで奇跡的に全部の交換が終わるんだけど、また明日になったらいつも通り混乱して終了するんじゃないかな。

 大急ぎで城から偉い役人や兵士がやって来た時にいるのはタダの見物人達。

 いっぱいあるのが全部重くて、がんばって載せたものの車軸がポキン。周りは大笑いしている。

 下っ端達はもう自分の分の交換が終わっているから、あんまり熱心ではない。

 ダラダラしてると時間が掛かるよ。

 夜中かかって、ねむ〜いで脱落して朝になっても終わらない。途中で抜かれるとかやりそうって監視だけのが多いせいもある。

 お城では「まだか」って眠れない。心配なら城から出てすればいいのに、貴族な兵隊は体力がなくて、夜ふかしも出来ないってウマもアクビしちゃうよね。


 城の前庭まで運び込んで門を閉じたのは昼過ぎ。どれどれって貴族のエラいのとかが来て「中に運べ」って言ってもみんな寝てる。

 そんな感じで運び込みが終わったのはその2日後。

 その間に僕が来て撤収が完了。王様の会見の時の席にペロンと「全完了」とだけあって、フトコロから砂が(こぼ)れていることに気が付く。

 旧貨幣が崩れていて、摘まむとパラパラと細かく散っていく。それでパッと新紙幣の方を出すと色が抜けてグレーになって少し(かす)れている。硬貨は何年も使ったように黒ずんでいた。

たまたま来たら、脱退するって聞いたから処理をサッサとした。

貴金属とかと交換にしたって。

送ってされたから送ったんだけど当然今後の展開に利用した。

これは去年の秋だったんだけど、送った先ではみんなすっかり溶け込んでいる。

ちゃんと抜けた国を確認しとかなきゃってことはしない。

もう興味がないからどうでもいいんだろうね。

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