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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
96章 夏は始める季節かもね。
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808 スポーツは街おこしになるよ。5/23

5月23日 水曜(旧暦夏、西と東ではお日さまの傾きも気候も違うよ)

前に来たときは、準備が後回しにされててコラ〜ってした。

大変なら頼れば良いんだし、何も自国だけで何とかしなくてもいい。

砂の街は全然人がいないところから始めたし熱意が来た人達を動かした。

今回もそれを期待っていうのは甘すぎなので、しっかり準備と練習をして

楽しいよって評価をもらえるようにしようね。

 まだ開催日はずっと先なのに先入りして練習しているところもあるし、予選会はもう少し後でする。その間の宿舎をいっぱい建てていてイベント後には、そのまま移住者の住居になるんだよ。

 去年の試験期間には少ししか来なかったけど、おみやげがいっぱい売れて、今年は周辺からもたくさん来て受け入れ態勢が整った施設の練習にもなった。そこでスカウトした人達でまた優秀な人材が加わっているし、他の国々でもしてて僕ら関連がそこかしこになったし、この期間のためにまとめて応援に来てくれてる。

 スカウトで勤務地を限定しないし、地元でなら設備建築とか開業資金とかも用意するにした。それで目の届かない場所にも診療所や何かの事務所が出来る。

 そこまでの道がケモノ道っぽいところはあるけど、追々(おいおい)してそれがそこの事業としてお金を落とす。公共事業ではないところが残念なんだけど、私道だからそれも周辺も僕らのものになって、それはクモの巣のように広がって行く。

 場所ができれば連結するから、そこに定期便が必要になって先ずは駅馬車って仕事が出来てそれぞれに産業が(おこ)っていく・・といいな。


 スポーツ大会の効果は開催中だけではなくて、その前から慣れるために僕らのように先入れをして集まって来ていれば代表選手で対戦が出来る・・という情報を流したりしていて、古くからの競技の選手団をもう送り込んでいるよ。

 ここでは早々にトレーナーやコーチって業種が出来て、そういう意味でも受け入れできる。その人達のためにも優秀な選手達に接する機会は大事だしね。

 資格は作ったものの、その試験を受けてくれたのは聖国の人達だけだった。

 すっかり慢心してた僕ら関係の人達は練習も続けていない人ばっかりだったから秋に焦らせたぐらい。ずっと真剣に続けていたところは他にもあるし、当初の予想と内容は違うけど結果は想定通りになるかもしれない。

 キーになる人達は技術書や入門〜上級書作りのために修練方法の構築、新しい技術や作戦のためにずっとアレコレしてくれていたから、誰よりも身体は動くし作戦や技術を理解している。

 けど他の人達は先行競技に慣れていない(すき)を突いて()えある初回優勝をかっさらうという計画が成功したってだけ。

 そりゃあ、予選会が初心者へのレクチャーになるくらい出来ない人達相手に修練のショートカットをしたのが負けることはないんだけど、それだけのこと。


 勝つのは難しいと思っていた昔からの競技は相手の自滅があったけど、終盤は僕らの中で争うってことになっていた。人魚さん達や鬼さん達が(おも)いの(ほか)仕上げて来てて圧勝と予想した東の辺境の2つの団体が苦戦することになってた。二つで半分近くって程度で作戦を熟知しているアドバンテージで勝てたようなもの。

 ウチは大砲と呼ばれる聖女と動きに切れがあるデブおじさん達に陰から差し込む忍者な人達がいて大半は勝てると思っていたんだけど、一般人がいる僕らは穴だらけで大事な所でミスが出てた。

 異種族で固めた彼らに地方忍者が加わっていて強力この上ない。大砲がなくてもスルッと勝ちを持っていってたんだよね。


 ウチは強かった二つを統合して最有力と(もく)されているけど、内情は全員の怠慢(たいまん)というか全く練習をしていない状態だし選抜すらしていなかった。

 優勝チームは予選リーグ免除というので慢心したみたいだから、次はそういう特例を止めようと思うし、やってるだろうした僕もきっと悪かった。

 ニンゲンの中で生活を目指した僕らは、エンジンの掛かりの悪いニンゲンをずっと見ていないといけなかったんだろう。日常に修練がある忍者な人達や身体を動かすのが大好きなケモノ族、相変わらずマニュアル作りに使われているお姉さん達やおじさん達みたいに身体が温まっているわけではない。

 同じようにスポーツをしていなくても海は全身運動だし、大海は命の危険がある緊張する場所だからブヨンなのはいないし、海を嫌っていた人達もサメを食べてからは避けてはいない。

 心配なのは鬼さん達なんだけど、マニュアル通りというのが出来るし無理なく期日までに仕上げてくるのかもしれない。


 他の国々はどうなのかは()えて調べないでにして、外から見えるだけで記事を作成してもらってるのは手の内が分かっちゃったらツマンナイからね。

 運動に熱心だった国は考えを改めて再編をして勝てる体制を一応しているらしくて、本練習とかは非公開。

 今まで関係の無い世界だったスポーツが身近になって、ニュース誌で詳しくなったニワカ達が押し寄せている。

 市民の関心が高いし1回外れたタガは何度でも外れやすくなっているから、今までのような横暴な態度は鳴りを(ひそ)めたし、モノが売りやすくなって街がだいぶ暮らしやすくなったみたい。

 僕らは街から撤退したけど(おろし)はしている。騒動を経て立場が逆転して店を選抜できるようになったし、経営の方法や接客にも注文を付けてる。

 それでも従ってくれるのはそうした方がお客の評判が良いし、リピーターや他の客を呼ぶから・・だけじゃなく品物が良いからってボクは言いたいんだけどね。

 ワザと店舗を限定して特定のモノだけを卸して、その他のコントロールもする。

 勝手に他所(よそ)に流したり、接客マニュアルと違う横柄な態度したら取引は終了してモノはもう入ってこない。

 他の店がピリッとして何年かは保つだろうけど、いつかは全部がなくなる。染みついた横柄さをガマンは出来ないだろうから、馬の足を出してくるまでね。


 元ストリートにいた子ども達って知っているし対等な態度が頭にくるっていうのが偉ぶりたい人達の考えなんだろう。

 ニュース誌を配布するようになって、こじゃれた服を着て元気に走り回っている姿に元気づけられて護ろうとしたし、大臣の家とかにも突撃した。記事で少しだけ賢くなったし、文字も読めるようになった。立ち売り姿は可愛いと思っただろう。

 けどそれだけ。服で荒稼ぎして孤児院が一新したのは聖国の後ろ盾があったって納得しようとしてて、街のムードを変えた一所懸命な子ども達の姿に励まされて、ただ流れに乗っただけってことに気付きたくないのかもね。

 街では、いつまでも孤児という差別は取れないし、他種族を下にしたい気持ちを急には変えられないというのは感じていた。

 街売りで可愛がられたのはあくまでも下という気持ちがあったからで、もし対等になった時に受けるだろうイヤなシーンに出会わせたくなかった。

 取引停止は少し理不尽にみえるだろうけど、店舗には証拠を揃えて「だから」は納得させてる。

 経緯をニュース誌に書かれたくはないだろうし僕らも載せるつもりはない。

 そのまま善良に商売をすればずっといい目をみられるし、僕らの信用を得られれば小さい店もすぐに大きくなっていくっていうのを見ているのに、(すき)だらけにみせてる子どもマネージメントを(あなど)って悪い事を誰もがする。

 大きめの子達は、そういう現場に出会って、それを共有しているだろうから気付いて黙っている。

 (だま)されることや差別に慣れているからといって傷つかないことはないの。

 それが自覚していない気持ちでも心にあればボクは知ってしまう。それで外に村を新しく作った意図は大義に覆い隠されて知ることはないんだよ。


 今回は国や地域に戸籍登録を必要にしているから、助っ人を大会の時だけ持ってくることが出来ない。まあそれでウチの地域はオストワルドって名前で(くく)って、みんなも承知してる。その真意はナゾだけどね。

 それでもボクはどこにも登録できなかった。裏切られることが決まっているとか名前がやっぱり付けられなかったとかで、どうしてかは分かんない。

 スポーツ関連の街は大会の話題でいっぱい。

 ちょっと前は試験の件でギスギスしていたんだけど、結局免許や認定資格を取ったのは退職を選んだ。それで路頭に迷うことはなくて僕らが待ってましたってして、揃えたカードの中からエイヤって選ぶことになる。

 地方の事は分からなくても王都なら歪んだ仕組みのことは情報があったし知っていて、それもあってスカウトの自信はあった。

 なのに断られた人達がそういう感じのところで、資格を取ったことでウマく行かないのがザッと聞いただけでも展開は予想できてた。

 きっと医師なら患者だろうし、そこを気にする人なら信用できる。

 みんなが家に着く前までには契約とか状況を忍者さん達に調べてもらって選べる選択肢が増えるように手配してた。

 永年契約が多いけど師の方は試験に落ちているし、国は認定した手前どうしろとは言わない。看板を取り下げるか資格を尊重してよっていう選択ができないだろう。

 伝統を何より大事にするって聞いていたから称号を引き継ぐ人達は人一倍努力をするものって思っていたんだけどね。基礎をじっくり教えてもらえるし、隠されている知識を簡単に手に入れられる環境って恵まれているよねえ。

 そうなってないってことはもう分かっていて、事を荒立てるとどうなるか分かるよねってしただけで(おど)しでも何でもない当然の事。

 先祖の知的資産とか長年の経験が自身に蓄積されていないし、そもそも実務していないんだから経営者になればいいんだよっていうアドバイスはしない。

 成功者が出て、それを(たた)えられない職場ならボクは付け込むだけ。


 去年はスッカスカで失敗した気分だった資格や免許設定だったけど、ウチの街では勉強して間もないのに取得できた人達がまとまっていたし、資格は基礎的な内容にしておいたし国が能力を認定しているものだから、従来の人達が箔付けのために取ってそのままスライドのつもりだったんだけどね。

 心配のまま今年もして、受験者を増やせば何とかなるってビラをさらに広い地域に綿密に撒いたっていうのは通貨供給が一段落して、カミの手配ができるようになったのもあるよ。

 前年がダメだったのにさらに拡大してウェルカムしたのは人材確保のためもあって、また(かす)ってもパート要員くらいはだったんだよ。

 砂の街でうまくいったのは偶然と民族性がピッタリしたし、選手達が敗退した後も残ってお仕事してくれてたから。

 でも今回やるのは無職してきた聖国の人達だし、アテにはできない。

 砂の街というかアソコの一帯の道路整備をしてて仮だけど分かりやすく幅広の道に整備して、今はそれを整える工事をずっとしてる。

 それで南北の物流が通るようになったから、その先にある聖国にも人がやって来るようになっただけ。今までは大きく回避しないといけなかったから南の食料品や綿花が流通しなくて、(はる)か南のスパイスが高くなる原因でもあったってワケ。

 今も南の食料品や綿花は来ないというか、手前の地域や国々が慢性的に不足していて聖国を通さないで供給が出来るようになったところ。聖国でも増産にしているけど人口が増える予定だし、これから大会するし、回す余裕はもうないよ。

 どこも資金は欲しかったから、各国が貯めていた備蓄分を全開放させて秋までは乗り切る予定。みんながしてると変に安心しちゃうっていうナゾ心理というか、大国が抜けたから不安だったというのはあるんだろう。

 この辺の地域が大いに改善されるし、砂の国も売れるとなればセッセと作ってくれるってことで、秋は大丈夫になる。

 シルタもいよいよ始動するからお楽しみにしててね。


 こんな感じにスポーツ大会は長期間人を留めるし、人を集める理由にもなる。

 来てもらって良い印象を持ってもらえれば移住だって進むかもしれない。

 勝って長く注目してもらうのが良いのはモチロンだけど、いい試合っていうのは好感度を持ってもらえるから、それを目指したいね。

 防犯体制とか誘導とかまだまだ考える事はあるけど、今までの経験を活かして基本となるものを構築したいな。

 それでこの機会を活かしたいこともある。準備をしっかりして大会に望もうね。

僕が関わっているところは平等に考えているから商会の街だからといって

特に贔屓ひいきはしない。

明らかに避けられているし、いくらイベントを楽しくしても無視だもの

好意が上がることはないよねえ。

だったらって思っちゃうのは仕方がない。好意を求めるつもりがなくてもね。

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