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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
96章 夏は始める季節かもね。
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805 商隊(冒険者)が来た。5/19

5月19日 土曜(夏、季節に関係無くいつも暑〜い場所に来たよ)

まあソロソロかなあってアヤフヤなものではなくて、少し前にオトモダチから

大陸に入って、どの辺にいるって情報が来てる。

いつもっていう15人くらいではなくて200より多い数みたいだから

予想は当たってたってことなんだろうね。

 どの土地にも行商人はやって来る。どこにでもいる盗賊やパートタイム野党とかそういう価値あるものを持っていそうな人達に出会うと(なご)やかに・・とはいかなくてクレクレってなるの。

 将来のことを考えると遠方から運んでくれる人達はありがたいものだから安全に通して、売れそうな物をせっせと用意した方が良いに決まってる。

 自分達のところではどうしても作れないものはいっぱいあるよ。

 なのに奪うってことをする。そうすると物資の道は途切れて衰退は必至。

 キケンを押してするほどの利益はないし、あったとしたら次は武力を整えて討伐する側だろうね。でもそうなったらきっと総取りってされる。全員がそうではないけど、キケンを承知でやって来る人達は冒険者っていうんだよ。


 チラリ参加したアサガオ市はとても楽しかった。

 お祭りは準備して迎えて、やってくる人達がいて完成する。そこで最大の満足を双方でして満足を得る。

 この国では異常気象前には、かなり縮小をしていたからそういうことがなくても終わっていたと思う。オラオラの資金源になるくらい利益率が高くて「お祭り価格」にしても財布の紐はユルユルだった。

 かつてはお祭り専門の人達がいて、高く思われない絶妙な価格設定をして美味しいを作っていた。それがいつしかオラオラになって価格が上がっていくのと反対に味が落ちていく。お祝い事では普段カツカツでもケチケチはしない。

 儲かるとなれば津々浦々(つつうらうら)までとなるものだよね。

 何もしない土地は痩せていくものだし、段々と先細りになっていくのは必然だろうね。一子相伝(いっしそうでん)ってことじゃなくても子にしか伝えなかったら、検討もされないんだから間違った方法ほど伝わるし、面倒な(良い方法)のは失われる。

 畑ごと、野菜ごとに好みは違うし、連作が出来ないとか虫避けとか口頭では伝えられないし、覚える習慣がなければ記憶したそばから失われ変質するだろう。


 僕の方法は受け入れられないって人は多いけど、それで良いと思ってる。

 意思は必要だからヤレってしたら色んな悪い場面で、もれなく責任転嫁するって知ってるよ。だからもうおせっかいでお仕事を指示したりはしない。

 誰かが欠けると立ちゆかないって組み方はもうしない。やらなくても他の人、他のトコでするから構わないって体制にしたら、ごねることはなくなった。

 イヤって素振りをみせたらスッパリ外す。商会のある街は人口比を下げたいこともあって、僕ら関係の退職は簡単になっていて転職のお世話も出来る。

 みんなが幸せというのはどっちにしてもムリだから公的にはもうしないし、開墾(かいこん)をしたら所有になるなら喜んでする。新しいギルドは土地も買う。

 チマチマしたって効率が悪いし、みんなが同じものばかり作るしチャレンジもしない。ギルドでは災害があって収穫がナシでも全体でカバーするし、それはもっと広い地域でもする。未知の出来事はあるものだから助け合おうね。


 お祭りには浴衣(ゆかた)にした。かっこいいのは僕の髪色(半透明の水色)では似合わないから生成りに金魚柄でこれは隣街の製品。

 綿と麻の混紡をグルンワルドに大量発注して糸染めもしてもらってる。隣街からはシルク、天蚕糸(てぐす)の納品が始まっていて取引でお金をみないのも一緒。

 元々は寝巻きだから肌触り良く着付けも簡単になるようにずっと改良をしてた新仕様。ゲタをカラコロさせて小物入れも髪留めも可愛いでしょう。

 チラチラみられている怖い視線はカットして気にしない。

 買い食い屋台はなくて、お花は2種類だけでカラフルなアジサイが玉のようになって可愛くて、アサガオはまだ咲いていないツボミだから色を想像して選んでね。

 僕もちゃんと選ぶ。タネを供給するためにいっぱい作ったけど品種改良は色チャレンジした。そう思うとそんな変化をよくするみたい。定着したのかは5、6回程度では分かんなくて、アジサイは土が影響するという試験場の観察記録からの仮説で土壌の調整と品種改良で狙いの色をほぼ作成している。

 ちなみにアジサイの変種らしいものに甘茶があって、葉をとって乾燥させてから湿り気して1日発酵させてモミモミすると出来ちゃって、こっちもどうぞしてる。

 みんな甘味大好きだもの人気出そうって商材にしていて、ポロポロ増えちゃっているの楽しいよね。


 あけぼの寮に最新の浴衣(ゆかた)をどうぞしてる。ケモミミ達は楽しそうなイベントを必ずするから、それに連れられて他の人達も行くだろう。

 食いねえがないお祭りはチャレンジだったけど、出だしは良い感じだった。

 この浴衣でパシャリしてあって夏のブロマイドとかグッズを作っていて夏が始まる前に間に合わせる。

 なぜか売れる僕のもあるよ。

 みんなは成長するから新しいモノをコレクションする意味があるんだけど、ちっとも変わらない僕に変わらない悪意を込めて厚紙を貼ってメンコとかにしたり、キャラ部屋のように引き裂いたり、投げ矢の的にしたりするんじゃないかな。

 なぜか海綿のように悪意を吸ってしまうんだけど、それをカードが肩代わりして僕に向かってこないならいいんだよ。


 たくさんいる冒険者の集団の狙いは交換材料に登場した鉱石でそのうちの金だろうくらいはあからさまな態度で村のみんなにも根掘り葉掘りしていたらしい。

 黒いおじさんが懸念していて、あっさり僕らを受け入れた理由だと思う。

 技術や物資を見せつけたつもりはないんだけど、大いに期待されたみたい。

 僕は違う思惑があったし尊敬できる人達だとして協力する。それは僕のためでもあって、気候的に育つものや主食実験や砂漠改良とか研究対象が次々に出てきてワクワクしてる。

 防衛ラインとして林を厚くして行き先を誘導するために密と粗を使い分けたり方々(ほうぼう)に磁鉄鉱をぽろんしたり、トゲトゲの草を植えたりとかね。

 倒木とか地面の凹みとかもミスディレクションに使っている。

 トゲトゲの草は神経毒とか、美味しいけど蓄積する毒の草とか色々植えてもらったのは区域を絞ってあって、終わったら根っこから抜いて駆除しないといけない。

 暑いものだから肌を出していて、スッと毒を埋め込まれる。

 僕らの林歩きは長袖長ズボンに手袋も着ける。暑いより危険回避の方が大事。

 最近は温度調節機能生地が出来てファン付きとか、だいぶ快適になった。


 これが間違いって事はなくて、持っている物資に売り物がなくて全部食料と謎の箱・・捕縛や拘束するものを見たって報告が来てる。

 重要としたのが偵察で三月前から留まって発見したら後退して、安全なところから観察するというのをしていて、今回は予想通りの経路だった。通り過ぎた隠れ場所から撤収をしていって防護のための村の人達が増えていく。

 元々過剰だった村なので、畑広げようはアリでとりあえずの試験栽培を何人か借りてしてて、他は偵察という名の青空キャンプ楽しいねをしてた。

 もちろん土や草のサンプルを採って、生態系や気候の記録とかを(たいてい文字を書けない読めないだから)絵で分かるようにしてる。

 何もしなくていいのは、つまらないだろうから採取やその植生調査してもらってたけど、それは僕基準でノンビリ生活ステキっていうのはもちろん知らない。

 広々な畑にはやり方の注文が付いていて、どれだけの大変さになるかっていうのは黒いおじさんくらいしか気に留めていない。リーダーするには大変さを知っていないといけないって、僕らの持ち込んだものの説明は必ず聞いていて実際に作業も率先しているから一番働いている。

 のんびりがデフォルトの人達を動かすには有効で、尊敬している人に(なら)ってすすんでやるって雰囲気を作り上げていたんだよ。


 見張り役用に、絶賛オススメ中の主食ゴハンとかアレンジレシピを覚えてねしてて、あれこれに快適なふかふか床のテント(日差しをカットして上にクルクル風車があって涼しいよ)なだけ。与えて過ぎてもやれる気がしない。

 主食としてオススメしているのは僕には味も種類も足りないんだけど、今までの生活からしたら問題ない。シオも貴重なんだから食べ物が行き渡るまでは味の贅沢(ぜいたく)は覚えさせない方がいいと黒いおじさんと決めた。

 当分は量を重視。そのうちに品種改良が成功して量と味のバランスが取れたものができるだろう。

 生産物が全部、みんなのゴハンになる事は当然ない。それでは取引が出来ないから僕からのオーダーもして物資を買ったりして少しずつ豊かになっていく。


 まずは教育にチカラを入れていく。話を理解できるのが数人しかいない状況では難しい事は出来ない。本当にエ〜ンヤコ〜ラだけすることになりかねない。

 何も出来ない人達を効率よく働かせるには、龍宮島でしたみたいに一定期間ドレイ扱いするのが良いんだけど、そういうことに甘んじてもらっては困る。

 あの時はあのノリが有効だったからで、考えないドレイに慣れてしまうと発展や文化を求める意欲が育たない。

 考えて行動させるためには文字が必要で、覚える過程で豊かな心を育てて、自ら知識を習得する。そうなっていけば作業を理解して器具を使い、道具を操作してもっと良いものをたくさん作れるし、文化を楽しむこともできるって人魚さん達の変化を見てきて思うんだよ。

 元々、文化を持っていたし読み書きどころじゃない高い知識、遊びで策謀を仕掛けることもしてきた。運動能力も高いし興味の方向付けをすれば仲良く出来る。

 ただ普通な生活をしてて、決まりを(わずら)わしくしながら汗を流してビールを飲む。

 収穫に喜び、隣と肩を組み笑い合う。売れ行きデータを見て生産を調整したり、最近では祭りというのも楽しいって感じになっているのをここでもする。

 時間は掛かるだろうけど意志を持ってしていけば、いつかは近づいて来るよ。


 前までは原っぱにポツリと群生してる場所があったり、高い木、大きな岩、窪地とか目印になっていたものが見当たらない。

 それどころかやたら木が生えていて馬車が使えなくなった。目的地に近づいているはずなのに遠ざかっている気もする。明らかに植生が違っていて別な場所に迷い込んだじゃないかという不安。

 磁石はクルクルと位置を変えて林に入ると木が高くて日の位置が分からなくなる。

 ボ〜ッと歩いていると列から()れて散り散りになってしまうようで荷物係で遅れていた何人かが付いてきていない。

 草が尖っているのか足や腕に細かい傷が出来てしまった。

 林が切れて平原で休憩して軽く食事を取った後、何人かがボンヤリしていたり、手が痙攣(けいれん)したりしていて、そのまま休むことにした。

 熱を出した者、意識を失う者が出て帰る話が出たが、幹部連中は続行を強硬。

 倒れたものをそこに残して進んでいく。自分達もボンヤリしていたんだけど金の誘惑だけで前に進む。それでも何日もは持たずに全員が意識を失った。


 見張りの人達とは別に後から追いかけていく集団も用意して群れから離れたらスリングショットで仕留めて物資を頂戴する。

 盗るのは食料とクスリくらいかな。かさばるのは追いかける人達の荷物になるから軽いもので、食料は食べちゃえばなくなるよ。

 ゴムの改良が進んで、狩猟武器として実用化してるけど売らないのは、結構命中精度が高くなっちゃったから。僕を狙う人が増えるのはイヤだもの。

 植えた軽い毒草は単年度で枯れるように改良したから残っていても大丈夫。

 軽い効果とはいえ、判断が甘くなるのはここでは危なくなる。

 原っぱがあれば休憩して湯を沸かしたり食事を作るだろうって想定して、燃やすと毒を出す木をバラ撒いていたんだけど、よく燃えるマツ(この大陸には生えていない)とかあっていちおう気付くようにはしていたんだけどね。

 数を減らすために弱らせて迷わせて追い返すだけのつもりではいたんだけど、好戦的な人達はそれではすまなかった。目的がアレだろうし憎むべき敵だものね。

 ()りてくれて、資源のことだけ黙って「あそこはキケン」って言いふらしてくれれば冒険者(危険な商人)は来なくなる・・いや逆効果かなあ。


 かなり準備して訓練もした。実際やったのは黒いおじさんだけど、資材は提供をして苗とかタネにその配置図とか作戦、訓練方法とかね。

 それで僕はお願いをオトモダチにしたの。雨期はもうちょっと北の方に分散して、乾期は作らないでほどほど雨を降らせてねって。

 原っぱな地域だけど、ミミズのいない土地(水気がない)だったから、保水物質をずっと大量に作って都度土とマゼマゼしてて、林っぽくなったとこに堆肥とかミミズを投入する。

 木を植えたのは最近で、ズルはしたけど土をちゃんと作ったのは確か。

 ずっとお砂場してて、やっと原っぱに来て十数日で着くってときに、急に植生が変わって緑がちになって林になったらビックリする。

 ひたすら平坦だったのが、凹凸してて古い森のように倒木まである。馬車の車輪は大きいけどウマに負担掛けたら帰りが心配になるよ。

 ここにはウマっぽいのはいるけど気性が荒くて、ウシはスイギュウっぽいのとかカモシカぽいのとかは肉なだけ。

 林ができれば生き物もいるってことでそれを捕食するのも登場する。

 待ち構えていたんだけど辿り着くのはいなかった。


 収拾した情報から想像すると僕の予想通りなら豊かなこの辺りの土地の人達を総取り、奴隷化をして金鉱を掘る役割をさせようとしてた。それで運搬とかもさせるっていう王様気分をしたかったんだろうな。

 総取りをするつもりだったみたいだから、同系の仲間がどこかにいてそれがまた来るかもしれないけど、今回侮っていたみたいだし、ほとんどを投入したと思う。

 用心はするけどひとまずは大丈夫かな。

 やっぱりあの切れ込みのとこから来たってことは戦争をずっとしている人達でそこの通貨の金銀貨を持っていた。他にもいくつかあって旧聖国貨もあったけど使い込まれていてかなり古そうだから聖国圏ではないだろう。あの土地の武器商人に近いものなのかもしれない。

 ひとまずの心配は済んだから次は僕の方をしてもらう順番。

 畑をせっせとしてから、いずれ北方面の緑地化もよろしくね。

かなり心配して気合いを入れて準備してきたんだけど、馬車という移動手段を

潰しただけで、あっさりと瓦解したね。

まあ、原っぱだけの平地だからずっとラクチンだったはずがアレ〜って。

それで引き返せば良いのに、よくばっちゃったよねえ。

抵抗しないとでも思っていたのかな。そんなことないのにね。

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