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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
96章 夏は始める季節かもね。
811/831

803 いよいよ出発する。*5/14

5月14日 月曜(夏、盛り上がりイベントはこれから)

スポーツ大会の人達は前入りして最終調整をする。

前の時は着いて翌日から予選会というのもいたんだけど、それは道に迷ったから

というお間抜けな話。

確実に勝ちために場所に慣れておくはずが、真打ちは最後に登場になったって

ことらしい。前座で終わったけどね。

 初日のパレードはとても良かった。古くは感じなかったし汗臭さもなくて、でもピリッとした緊張感があったよね。

 春に植え替えをした枝垂(しだれ)(やなぎ)の街路樹とか街灯の変更まで総合的に考えてっていうのは十数年先まで考えてあるなら問題ない。

 楽曲の依頼も決まる前からして、ダメ出しいっぱいだったね。

 でも工業ギルドが企画書出さないって決めつけて巻き込んだのはよくないよ。

 僕もそうなるだろうとは思っていたけど、言い訳にされるかもしれない。

 お祭りの主体がそれぞれのギルドのものっていうのがきっと壊れた。建前を維持しやすいはずの「工業」や「不動産」のところが出してこない。

 そうすると何とかのがなくなるってことで、僕としては広く人員を使えてちょうどいい。元々は地域を盛り上げるためにしたことなのに商会支援の依存がいつまでも取れないんじゃ意味はないんだよ。

 何十年したんじゃなくて、たったの3年で4回しただけでよく分からないけど自分達でした3回目はたぶん失敗してる。それの詮索(せんさく)はしない。

 どんなに隠しても調べたってことは、どこかで分かってしまうものだからね。

 お祭りだけ元気になる大勢の人がいないんだから勝手には盛り上がらないはずで段取りしてようやっと動くんじゃ意味は薄いかな。


 いろんな曲で違う楽器を演奏させられたのに文句ばかりだったけど、僕には肺活量もチカラもないから、いくら力強くって言われてもムリ。

 正確な演奏は出来るけどそれに感情を入れる・・が分かんない。演奏している人のサンプルを分析して揺らぎを入れて何とかOKにしてもらった。

 出来うんぬんより便利だからって知ってる。(はず)れの街にこれだけの奏者はもういないんだもの。出て行った西地区になら一通りいたんだけどね。

 それにホンモノと鳴らす音もちょっと違うかもしれない。

 絵や解説を見て西の楽器や近隣の国で見たのを参考に造ったものだからで見かけと素材が合っているってだけ。そういう意味で制作者なら弾き方も分かる。

 縦書きの譜面も僕は読めるよ。

 それを音の道具に入れて調整すれば大人達がいっぱいで演奏したように聞こえるというわけ、出力道具の距離で反響したようになる位置を計算して配置してる。


 去年は場面場面にちょっと入れただけだけど、最初からテーマ曲のようなものがあって流れているっていうのがとてもいい。

 さすが極めた人は違うなって思った。保険ギルドのギルマスは去年成人したシンシアの女の人で保険用に設定した資格を唯一全部合格してる。

 一番知っていて、行動力も看板としての魅力もあるんならトップに据えるべきだろうってそうした。これはお金の方もそうで失策して吸収したギルドの看板をすげ替えて、トップも見目麗(みめうるわ)しい同じくシンシアの男性を据えて商業から銀行ギルドに看板を変えている。

 それで続ける意志があるんならってシンシアも辞めてない。まだ始めたばかりなんだし、ようやっと地盤を固めたって段階なんだから続けて欲しいよね。

 それにこれはみんなの目標や希望にだってなるんだよ。

 企画書は去年の報告書を踏まえて、前年度に僕が書いたものを調整して出されていてルートは坂の上までいかずに中腹の繁華街までになって、街路樹や街灯の変更や観覧者や演者に持たせる提灯(ちょうちん)、演者に鈴を持たせるとかまでは良かったんだけど、曲作って演奏してって無茶振りをしてくる。

 はたしてコレが奏功してとても良いものになった。

 僕だとキリのいい上までってしちゃうけど、これは歩みが遅いパレードだから時間が掛かり過ぎる原因だったのは事実で、繁華街がよくないイメージだったのを来てもらって解消することもできた。

 どちらかというと芸能を強化していて、大御所と一緒にどっか行った人達の抜けをがんばって埋めてきたのが、ようやっとカタチになった。

 きっとそれを見せたかったんじゃないのかな。


 初日は昼にして、女の子が(すこ)やかに成長していくというシーンが次々とあって、森の動物達や村人と交流するというストーリーに沿って、ゆったりとパレードをしているんだけど、それを知らなくてもキラキラでステキだと思う。

 子ども達をいっぱいにしてそれがたった一人を表現する。

 去年は人数の都合があってここまでは出来なかった演出でステラとかアイドル同好会やその他にもきっといる。それぞれは1シーンだけして交代。観ている中に前のシーンの衣装の子がチラチラ。

 場面ごとに音楽が切り替わっていって、別なシーンの音が遠くに聞こえて調和するって効果が予想以上で音に厚みを付けている。

 他の、他所(よそ)の国のお祭りとも違ってこのお祭りの観客は静かにいる。遠くの一音も聞き逃さないって誰もしゃべらない。


 翌日は夕暮れにスタート。諦めさせるつもりの無理難題をこなしていく男達って設定で大勢いて勇ましい・・はずだけど、ここも他とは違っていておよそ戦いとは違う(みやび)な衣装でゆったりと踊りながら進む。

 チラッとシンシア達がいて、違いが際立っている。(ひそ)かな興奮が観客から伝わってくるのを感じる。

 ソラに帰るというのを阻止するための大勢の軍勢は動きを止められて、姫がソラに昇っていくラストシーン。去年はここで琴の音を差し入れたんだったね。

 パレードは長いから、昨日は大勢でして交代をした。時間になったらトントンされて観客に(まぎ)れていく。前を通り過ぎる人にはわずかな時間だけど、出発からエンドまではかなり時間がかかるから、ずっとは大変だもの。

 登りと下りに分けてするんならって、こういう演出をしたんだけど僕では集められそうもない人数を調達してきた手腕というか人望はさすがだと思う。

 翌日のは交代をしない人がほとんど。重そうにみえるけど、なんちゃって重ね着で軽いし、アクセもね。

 髪はヅラにして調髪の時間はかからなかったし、帽子とかは見えている部分しかなくて軽々でしっかり留めてあるからズレる心配もないよ。

 それでも出来るのは準備までで夜の部はクオリティを求められる緊張もある。

 山車(だし)の中に避難所をして、途中の水分補給とかちょっと休憩をできるようにしてある。二日目の夜のは観客が多いと思うし服がふわりしてて人を抜けて行くのは難しいだろうってね。


 歩く人や山車でダンスだけする人も重さは意識してくれないと困る。

 本当ならズッシリの衣装やヅラ(飾り)の重さで自然としゃなりしゃなりするものだけど見えている部分しか生地がないし、軽い生地を使っているから激しいダンスだって出来る。だけどそれしたら台無しになるので重さを体感してもらって、そう見えるような動きを演じてもらう。

 出来ないと本物の生地でヅラも飾りもリアル。手に持つのだって軽くはないんだからってすると、本物ばかりなのに喜んではくれない。

 昔の人達って、だからスローだったし重いけど微笑(ほほえ)みは絶やさないが出来ていたのってすごいでしょ。

 儀礼に使っていたのは本物の金で、それは超重いし、重いけどゆっくり(おろ)さないと純金は柔らかいから(へこ)んじゃうってこと。


 ミラクルな音響や光の効果は、材質や材料をどうやってどうするっていうのが完璧に出来て、それの定義をして製作することができないと奇跡は起きない。

 だから当然リアルで作ることはできる。例えば建材としての透明の板とか飛行の道具の外装素材とか鬼さんに提供してるナゾ素材とかのは理論で定義しているのみで、製造方法が構築出来ていないだけ。

 何かを経て変化するのもあるし、出来るけど今はムリっていうのもある。

 それにものすごくたくさんいる妖精さんはそれぞれ違う個で情報を共有していないと思う。この前お願いしたからっていうのは通じない。

 僕が標準器した事のみが共通にあって10KMとかシオが塩化ナトリウムという素にして新たなものを生み出す。みんなのためというのは建前で僕と妖精さん達がコミュニケーションするための言語じゃないかなと今では思う。

 妖精さん達はどちらかというと意識のようなものという認識でいた方が近いんじゃないかな。

 見える人は一握りだけど、いると誰もが確信しているから妖精さんの存在は疑わない、物語の設定上の「魔力」とか「オド」とかにすると分かりやすいよ。

 僕は前から見えていたんだけど、それが言語化したのが物語ってことみたい。

 魔女は何のチカラを使って魔法を起こすかってことがあった方が今の人達は理解しやすいし、物語にワクワクするみたいだよ。


 感動のフィナーレをしてお祭りは成功した。どうやらパターンは確立出来たけど如何(いか)んせん必要人数が多すぎるからプロモーターの手腕に依存することになる。人数ごとの配置や演出が必要ってとこかなあ。

 これで気分が最高になって、スポーツ大会の先行隊のフットボールやバスケットボールの強敵がワンサカいる種目が出発した。(オスティンした)

 同じように前入りする国がいるから、親善試合をして現状の自分達を知って調整をするようにするの。さすがに前回みたいにどれも楽勝とはいかないっていうか、慢心してサボっていたから早々勝てない気がする。

 ふたつの統合ってことになる大半の優勝をかっさらっている超強豪地域なはずだけど、勝てそうって予想がつくのが新競技とかだけなんだよね。

 前大会は目論見(もくろみ)通りに僕らで完全に勝利をした。後はしょぼしょぼで良いなんて思ってたけど、やっぱりイヤだもの。

 ()き付けて相変わらず短期で特訓をしてて、ヒソ〜感すらあった。

 それは僕の見込みで大会の後に奮起して、慢心していたのを反省して運動方法や食事に作戦を取り入れてやってれば、今はこのくらいになっていたってプレゼン。

 今のこれじゃあ正直、勝てないんじゃないって。


 花どうぞではそういうのも見てて、鬼強かったグルンワルドでは競技場が草ぼうぼうで設備にはホコリが積もっていたし、シオーネやエルクにも誰もいない。

 プラコでは造っただけでシルタは素人しかいなかった。他の国は分かんない。そういうゾーンには入れさせてくれないってことで、ヒミツ特訓なんだって。

 一所懸命やるかどうかはそこの人達の自由だし、状況だけ伝えてちょびっと焦らせただけ。前の時は予選の最初だけしか観られなかったから、今ひとつ競技を楽しむ気持ちは薄かったりしてて、大会が維持出来ればっていう興行者の感覚なだけ。

 いちおう危機感したし、また新競技を入れるから傘下の参加を増やしたのかもしれない。盛り上がりの実感はあるけど大会を維持するには弱いっていうのもある。

 今回は準備したから当然出場の国や地域が決まっていて、それぞれの種目で出来るゲーム数はあって、それに合わせてチーム数の制限を掛けてある。

 そのための予選会を地域ごとにしたんだけど、混乱なく試合を消化できた。

 前の時は足たまやカゴたまって昔からある競技を2チームOKにしていたらほぼ全部から2チームずつ出してきてたし、北の大国は連合王国だからってそれぞれの構成地域からにしてて、やたらチーム数が多くなって時短のための暫定ルールして、システムでピチピチに予定を組んだ。

 掛け持ちの選手が多くてね。別の競技で同時にはプレイはできないでしょ。それでパズルみたいな計算をしたってわけ。


 なのに問題が起きた。

 メンバー来てないよって「偽名」「入れ替わり」が発覚してね。ファール量産に乗っかってニュース誌が売れたし立ち売り物販も売れた。

 事実が背景までとか詳しくなると面白いし、ためになるものばかりという認識になると、応援してくれたり護ってくれるようになる。

 行けるときには販促も入れたりウワサを流したりして、人員が足りなければどっから持ってくるとか最大限にゴーゴーする。

 僕らはしないけど、チャンスってときには借りても大きくやるべきだし、良さそうな人材がいれば弱みに付け込んで確保もする。

 ある程度の規模になれば維持は出来るから、そこからは慎重に、でも虎視眈々(こしたんたん)と狙うことはする。

 バリバリ稼ぎたいってことは実はなくて居場所を確立するには注目されて、必要とされることが大事でしょ。なのでそこそこで十分で、手広くすると人を増やさないといけなくなって問題ごとも起きてヤだったから、正式採用はそれぞれでは出来ないようにしてる。


 任せたら破滅の危機になっちゃったから商会の全部が僕のモノってして、重要な契約(正社員昇格とかも)させないよってした。

 採用の人達が問題を起こしたときに(採用に関わった者たち)がフォローしないどころか一緒になって(なま)けたりしてた。不始末を知らんぷりしたよね。

 お世話を(マネージメント講座を受けた)子ども達に実地訓練って押しつけたんだけど、汚い大人の隠れた動きまでは分からなかった。

 小国店舗の日報にウソを書くとは思わないし、口裏を合わせて全体でやっていたせいで僕も内容を信じちゃった。

 それを知ったのが年末で、春に会議した時には知ってた。弁明とか期待していたんだけど、あっさり新天地視察(契約会)に乗ってくるってことは自国の開拓していないか、本気でやっていないって想像はつく。

 侵攻するっていうのは可能性としては考えていたってだけで、森しかなくて畑とかもなくて集会する広場もないんだから不審に思っていたんだけど、いちおう秋から冬に掛けてどうするかをみてたってことで、親睦会であっけらかんと何もしていないことをゲロッたんだよね。

 それじゃあ契約違反ってことだから優遇や尊重する必要はないただの難民って扱いにした。だって知識も意欲もない、口ばっかりなんだよ。

 抜けた土地は捨てたってことだから何も持っていないってことを認識してね。


 でね。その土地を南下して入植した人達が開発して、小国の人達が経済圏を短期間で構築するように計画したのをゆったりとしてる。

 同じように何も知らない人達だけど、この土地で生きていく決意が明らかにあって、ちゃんと活きるように土地を知ろうとしてるから応援したくなるし、連邦のお荷物だった地域がこれからお金を生み出す場所になっていく予定で、僕らが投資したことがムダじゃなかったになって利益も出してくれるってこと。

 新天地の人達に(あき)れてはいるけど、コラ〜ってしないのはオトナな期待をヨチヨチレベルにしたことで、うまくいってるだけだから新天地の関心が薄くなるのは仕方ないの。

 アチコチに投資したのを借金取りよろしくオラオラって催促しない負債を債権証文化して、雪だるまを作る前にまたドンドン大きくなって重すぎて持ち上がらない。

 待っていてもいつまでも返すことは出来なさそう。それで仕方なく錬金してるってわけで、やるなら楽しく働いて僕らのためにお金作ってね。

どうせ搾取するんなら楽しく豊かにして発展させれば、内部でも消費して

新しい需要も作る。目先の2、3程度の利益じゃ僕は満足しない。

そんなのより未来の10とかだし、それが足し算じゃなくて掛けるになったら

きっとみんなもうれしいから、いっぱい働いてくれるんだよね。

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