079 初フライト。*
空に浮かんだのは、ミコが初めて成功した。
次に紙で折ったのが飛ぶから、それを人が乗れるようにって、
ミコや色んな人が研究したけど実現できた人はいないの。
これは世界初。見ててね。
天気が安定していて、飛行日和な筈なんだけど、まだ飛行の道具を作ってないの。空なんだから、暗い時に作って大事な事を見落としたら怖いって思ったりしたんだよね。
昨夜やっぱりお姉さん達が休みの朝食は作らない宣言をした。僕は休みは食堂も、で毎朝無し予想だったので、あれ?って思ったんだけど、どんどん増えて、そうなるって気がするよ。
家の周りを掃除していたら「ごは〜ん」って来た、ぐ〜ちゃんとき〜ちゃんの分を作って朝ごはん。
食堂の前をウロウロしているのが結構居るねって横目で見ながら、真っ直ぐお風呂を通り過ぎて、道を渡る。この辺で良いかって集中する。
飛行の道具はものすごく複雑なの。大きいし細かい部品がいっぱいあって一度にやると時間かかりそうって思って、外形を作る。
それから外回りの部品を足していってドアを付けて開けて階段を伸張させる。階段を上がって中に入って動作させる機構を加えていく。
操縦席に機器を設置して部品の機構につないでつないでっと。椅子を出して座って細かい部分を整えてね。計測結果がいっぱい並ぶ感じ。
数値はべ〜姉に決めてもらったものでこれからの基準になる。数値が変わらないものじゃないと表示に意味が無くなるから大事な事。うん、かっこいい。
操縦桿とか要らな〜いって言ったんだけど、いつか操縦したいって言う声もあって作ってあるの。この辺は、き〜ちゃんデザイン。
不思議素材の透明部品を二重で二層にして嵌めて、各パーツの動作を確認。客室に戻って、カード王が考えてくれた快適空間のための配管をして床や内装をつけながら、大きい窓を嵌めていく。窓は強度を増す構造物にもなってるの。
トイレは2箇所、真ん中6室で後ろは4室に長い部屋があって、まだ開発出来てない鏡付き。洗顔とかお化粧とか髪型直しにどおぞ。その奥に簡単な調理室や食べ物なんかを置く所がある。ゆ〜姉が凝りまくった快適椅子を設置して細部を整えていく。座席の上に荷物スペース。考えてくれたデザインに沿って調整していく。窓にはカーテン付き。周りながら実物大で作って気がついた細部を調整していく。主翼の上に細い筒にしか見えない推進用の道具を片翼4つずつ付ける。下面には上昇用の吹き出す道具がたくさん。精霊石は小指の先くらいで小さいから、海で岩にべったり付いてる山みたいな感じのなの。推進具は小さい。大きい方がカッコイイって言われたんだけど、風の流れのじゃまになるからねえ。出力的には1本ずつで十分なんだけど、安定と、もしもに備えて多めに付けてみたよ。
良さそうなので、銀に考えてもらったデザインで塗り塗りして、先っぽに回って、結界具をカチッと付ける。
ずっと見ていた、ぐ〜ちゃんとき〜ちゃんはカッコイイとか言ってる。これ作ったから、きっとすぐ小っさいのもだよね。それも操縦したいって暗に言ってる。作るのは慣れたので早く作れそうだけど、それを簡単にだよね。
この大きいのも、もっと早く作れたんだけど空って考えて慎重に作ってある。かなり頑丈なの。というのも最初に僕が想定した速度よりも速く飛べるのと、ドラゴンに襲われて囓られても耐えられるようにしたから。ドラゴン怖い。
「もう良いよ」って言って、荷物の運び込みが始まる。まあ、今日はご機嫌伺い見たいなものなので、お土産はお酒くらいかな。あと服。町長さんに似合うアレこれと、水着の追加。みんなで着回しより一人1着欲しいかなって。
昨日のクジは凄かった。今の町は250人くらいだから当たる確率が、かなり高いの。残ってもご飯作る人がいないから、食堂、浜やお城やってない。おなか減っても作る気が無いのばっかりで、食べ物のため当たりたかったような。がんばって簡単なのを揃えたのに何で作らないのかなあ。
時間になったので、そろそろ。クジに誰が当たったのかは知らないし遅れたのは知らないよ。
「出発しまあす♡ お外が見たい時はカーテンを開けてねぇ♪」
アナウンスは、ぐ〜ちゃん。当然のように二人とも操縦室にいるしね。
かなり上がってから、後ろが騒がしくなった。まあ、上がるときに振動とか音とか無いし、すう〜って上がるの。動作音が出ないようかなり頑張ったから、今度ボートを改良するときに付け替える予定なの。出力にタイムラグが無くなってる良いものなんだよ。
「行くよ」って行って、推進具をスタート。スピードが出て、上昇具を停める。スピードはバビュ〜ンなんだけど、周りが遠いから、あんまり速さを感じないかな。今10勇車くらいなんだよって計測具を指して言う。き〜ちゃんが、もっとって言うのでスピードを上げていくよ。
「現在の速さは10勇車。12、14・・・18勇車で〜す♪」
ぐ〜ちゃん楽しそうにアナウンスしてるね。後ろがうるさい。12を想定してたんだよ、これ。22までは出せるんだけど、安全のため遅めにしておこう。マージンは大事。河で15がやっとだったし、すぐ減速になってた。これだとずっと速いままだから相当早く着く。空は良いね。王の力はスゴイね。
「雲は綿じゃなかったんだ。ざんね〜ん」
雲の中を通るときにぽつりと。ぐ〜ちゃんは可愛いと思う。
「美味しそう・・」
き〜ちゃんも可愛いよ。
「今度、雲みたいな、おやつ作るね」
二人は約束だからねって言う。楽しいな。
腹ペコ多いみたいだしって、いっぱい作ってきたパンに卵と野菜とハムを挟んだものと飲み物をべ〜姉の弟子〜ズに配ってもらうの。もちろん、新作の制服を着てもらってね。カッコイイ人達が制服にエプロン姿ってすごく良いって思ってね。
お腹の音うるさい人多かったし。この人達って着いて人魚さん達にごはんをせびりそうなんだもの。「働くべし」の人魚さん達に嫌われないようにって。
あと、外の景色は雲だけだし、座ってるばっかりじゃ飽きちゃうと思うからね。
もう、海が見えてきた。早〜い。
「もうじき到着で〜す。降りる準備をしてくださ〜い」
目配せをすると、アナウンスをしてくれる。いつもいきなり来てゴメンネって思う。浜のとこに役所や食堂やお風呂があって、その後ろが広場にしてあったの。お祭り会場ってつもりだったんだけど、丁度良かったよ。浜に着水だと、水の中にいて気がつかなかった練習人魚さんを潰しちゃうかも。なんだもの。
推進具を停めて滑空中。ちなみに結界で覆ってるから,下からは見えてない。まあ空を見ている人は、まずいないんで平気だと思うけど念のため。それと町の結界を通るためでもあるの。上は主にドラゴン避け。
推進具を逆噴射させて停止させて、上昇具を始動。すす〜、ふわって着地。
急に大きいのがウラに現れたって、騒ぎになってるぅ。ヤスを持った人がいっぱい集まって来てる〜。
た〜って行って、手をパタパタして僕達、また来たのって。
「驚かしてゴメンネェ。今日は飛んできたの」
ピリピりが、ほっとした空気になって良かったって思っていて、その中のふわふわ金髪の人が町長さんだって認証具で分かったので、ぴゅ〜っと。
髪や服をすぐ戻しちゃうって思ってた。
「汚してたり、適当なの着てると周りに怒られるから、仕方なくなんだぞ」
うんうんって頷いている人いっぱい。
たぶん、そうなると思ってたからプレゼントあるのって、お姉さん達ががっちり腕を取る。何人か人魚さん達も連れて行かれるのは、着付けを教えるためかなあ。
荷物にお酒があるのを目敏く見つけた人魚さん達が運ぶのを手伝ってくれる。
みんながワラワラ降りてくると前の休みの時に仲良しになったらしい人達が再会を喜んでいる。いっぱいいる取り残された感じの人達がこの前、寝て過ごした人達なのだろう。起きてて良かった。今日は始まったばかりだよ。
王たちが取り囲まれている。すごい人気だなあ。この前の質問してきたことをやりたいなんて言ってくれてると良いな。今日僕達が来た理由でもあって、どう言って連れだそうなんて嵐の時に相談していたの。
みんなで漁をしなくても大丈夫になったから、無理はしなくなってケガがあっても擦り傷程度で済んでいる。時々ある、漁に集中して襲われたり、危険なものに触ったりや、子供が速い流れに持って行かれることも無くなったのは、イルカ達のおかげ。世話とか無駄なことをさせられてるってのが結構いて、あの子に謝るって言っていたり、養殖の意味に少し気がついたり、この前のお土産の意味を聞かされたりした、5日間だった。それなのに、また出遅れたあ。
ここじゃ、如何に役に立つって見せるのが大事なんだ。子供だってそう。出来ることを見せるために無理して流されるのが時々出る。この辺は良い漁場なんだが、危ないところがかなりあって、身体の出来ていない子供には無理だし、最近ヒレが出せるようになっただけじゃ、オトナだっていっても、ずっとヒレだった子供より危ない。
そのための入江だけや陸の仕事なんだろう。こういう「与えられる」仕事を嫌うのが多い中で、受け入れられるのばかりを見つけていて、そこから仕事が広がってる。
スゴイ事できるのに明らかに弱いとしか思えないから、とりあえずやってみるんだけど面白いって思うし、出来ちゃってるよって聞く。
この前来たのは森にいて何もしていない。子供達に働らかせて食べ物を買ってるって、クズなヤツら。
オレはそいつらとは違う。じゃあ聞きに行くかって。まて何をだ。「オレに出来る仕事は何ですか」とでも言うつもりか。
いやその通りだが、漁は負けない自信があるが他がよく分からんからなあ。なんてモヤモヤして、集まっているところに行くと名前を呼ばれて、ホラよって渡されたのは、この前のお土産とかの水着ってやつの改良版だそうだ。腕のところにでっかく俺の名前が入ってるから専用?ってことか。
聞くと、これをもらったのは200人だそうで、外洋担当用の特別製で「お前はタイチョウ」って言われる。タイは何人で何組とか色々・・・。
「うらやましいぜ! エース」ってバンって背中を叩かれる。
その時は何だかよく分からなかったんだが、後でまた説明があって。
こっそりガッツポーズをした。
パパパ〜ンって音に誘われて、ワラワラと集まると役所から、カード王にエスコートされたキレイな人が出てきたって町長?!! うわあ〜って歓声が上がる。
「これからはヒメだからね」なんて小っさいのが言うと、ヒメコ〜ルが上がる。
「ヒメ言う、もごっ」
真っ赤になって何か言おうとしたところで口を塞がれて、ヒメさがりま〜すって連れて行かれる。
僕はポ〜っとなっている男連中とか、キラキラ目を輝かせている女の子たちが嬉しかった。見つけたときには、生きることで頭がいっぱいだった人達が、キレイに心を動かされてる。
人魚の国だったら王だけど、ここは町。アイドルは必要だしってことで人魚姫。
よろしくぅ!
全部新しいんだから、こうあるべきっていうのは要らないの。
どちらかというと希望、概念的な。
がんばろうの具現化みたいなものがいいの。
また見てね。




