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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
95章 夏だからやる気になったのかもね。
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796 極東はなにやら。4/12

4月12日 木曜(初夏、極東の栄華の痕跡はあるのかな)

偶然が良く作用するってことはある。それは根底に良いイメージがあるからで

どうでもいいのならもっとグチャグチャになっていくはずなんだよ。

造った瞬間からヤベ〜とか変なの〜ではやる気もなくなるというもの。

よく目にする場所なら、楽しくて美しくしたいと思うものだよね。

やっぱり僕は性善説な甘〜いことを思ってしまうんだけど、応えて欲しいな。

 極東の拠点が目立ってきちゃっているらしい。

 地域全体としてみれば広大な平原なんだし、草だけってこともなくて木が多いところ少ないところ、増えたり減ったりを気にすることはないの。

 なので草っ原に森ができたり、広い池が幾つもできたりを注目されることはないよねと思っていたんだけど、放浪する人達がいて村のことを伝えることもある。


 始まりは終わっていく村々の人道的救済で、一時的なモノだった。

 尻尾の人達を集めて経済圏をつくるイメージもあったし、何より忍者をルーツに持つ人達なら何でも出来るだろうって。

 隠れ里をみ〜つけたして、契約をした人達はまさしく忍者といえるもので、世代の差は誤差くらいに思っていたんだよ。なのに他は違うって現実。

 たかだか100年や50年程度でこんなに劣化するとは思わないでしょ。実際はその前から徐々に役割を失ってきたみたいだけど、良く活きる(すべ)は持っていたはずなのにねえ。なのに何かおかしい。

 知識というか統計化して文書化(秘伝)するのが得意みたいなのは、情報収集とかだけじゃあなく分析や戦術アドバイスって方に業務を拡大していったし、それを伝える能力も開発して諜報の種族は生き残ってきた。

 それをやり過ぎて、戦いが沈静化、情報操作で(いさか)いが終了していったせいで必要性が薄れていったんだろう。

 変容したとしても戦いがなくなることはないんだから情報のプロは大事だし、リアル争いがない時ほど必要になるのにね。

 なので僕は囲ってさらに高度化させて、世界中に散らばせようと思った。

 まあそれはうまくはいかなかったし、死にそうなのを拾ったほとんどが野犬(やけん)みたいですぐ()み付いてくる。

 しつけのなってない野良犬はい〜らないって、と〜くの原っぱにポイ。

 食料と武器と住宅用資材を置いて捨ててきたって感じ。

 何か自分とダブるんだけど気にしない。とばっちりで一緒にされた人達はかわいそうだけど、たぶん要る。


 戦いの地ではそこそこ・・でもなかったらしい。(聞き取りでは連勝って)

 実際にニンゲンのならず者と対した時にチカラでは勝てなくて、戦術という(今まではイヤイヤ覚え込まされていた)のが功を奏して押し返せたってだけ。

 ムキムキって思っていたのは自分達だけで、身体の大きさや厚みが全然足りていない。まあそれは仕方のないことで、筋肉が付きにくいのがケモノ族だからだし、贅肉はしっかり付いてオナカが多め。

 思い込みの戦好きは空想の中でだけ強かったということで修練をサボりがち。それに栄養不足で死にかけたんだよね。

 何度か負けて、でも奪われはしなかったのは染み付いていたワザがあったから。

 冬は吹きっさらしの平原はとても寒くて、高かったお鼻に鼻水の氷柱(つらら)ができた(心象イメージ)かのように打ちひしがれていたんだよ。

 ようやく援助をありがたがってくれて話を聞いてくれるようになったのは春になってだいぶ経ってから。それまでは援助を離れた場所に置いとくだけ。

 ワ〜って来られて圧力で元の場所に戻してよぉっていうのは聞くつもりはないから、いつでも逃げる体制でしてる。僕が拒否を決めた時の干渉はムリで何重にもした探知をすり抜けることはできないよ。


 いつもオススメ的な言い方はしないで「やって」する。

 やらなければ「そう」とだけして、もうやりたくない人に言ったりしない。

 命の火が消えかかっていたのを救済したのに、戦いの中に身を置きたいとか言い出して騒ぐから一応希望を叶えたことにはなっていて、おとなしく従う素振りを見せなかったのをまとめて大草原に置いた。

 死にかけたくせに大言壮語が(はなは)だしい人達だったけど、冬を越えて現実が付いてきたみたい。

 戦いの多い土地では過疎(かそ)村であっても自分達より強い人達ばかりで、知恵を駆使しないと無理って(お鼻がポキンして)早々に認識をした。

 それでいつまでも助けてくれる(と思ってる)僕に(すが)ったんじゃないかな。

 (なつ)いてくれるなら援助はする。目的はあるんだからそれの足がかりにしたい。

 あそこに送ったのはあの人達の希望(戦いの環境)に合うからと昔あった巨大国の書物が手に入らないかなあというのがチラッとある。

 聖国からは遠すぎだし、影響受けた国と国交がなかったこともあって書物がほとんど入ってこなかったみたいなんだけど極少ない蔵書が優秀だった。

 薬学関係のだけは他の国にも提供しなかったみたいで、ウワサだけある「薬学全集」とか「医術大全」とかを探している。

 火薬とかは伝聞から再現できたし、他の技術の伝え聞いたのもそう。

 東のクスリに興味を持ったのはそんなに前じゃない。知らない事ばかりで資料を収拾中ですごくワクワクする。

 芸術はねえ。計算でどうのっていうのくらいしか分からない。あれには心が必要なものだもの。感覚的なことには答えがないよ。


 たぶん頼られたしね。村に必要なものって考えて街の雑踏からハミ出した者を送っている。僕だし()ずは畑・・ではなくて工作や料理が出来る人達。

 畑作りは時間が掛かるものだし、戦いより生活を優先することにしたんだから文化的な生活をとにかくする方が良いだろうからね。

 それで食べ物は時々ドサッと持って行ってる。あと野っ原だったのを森を広々と作ったり、畑はいずれ要るだろうからって耕して緑肥してミミズしたり、小さな生き物したりしてね。

 夏はヒマワリやエンバクやソルガムに豆をして、秋はみんなでエ〜ンヤコラって耕してムギを植えた。

 何度かフミフミするのが楽しいし手間が掛からないから「面倒ではない」印象を最初に付けておくの。翌年からは青々としたムギが色づいてとてもキレイで、麦刈りをして水を入れてコメを育てたり、色んな野菜を植えるようにした。

 この年からは出来たムギを()いて、パンやうどんを作ったりは一緒だけど、自分達が育てたってところが大きく違う。

 最初の収穫は少ないんだけど、満足度はとてもあったはず。


 コメの時に拡張して、またセッセと緑肥をして秋に入った頃にちょっとムキムキのをどうぞってしたの。

 新天地にいた人達で巡り巡ってやって来た。なんやかやさせて身体を動かすことに適性があったみたいで、難しい事は考えないでひたすら労働力するのが楽しいと分かるまでに、まあ色々あったね。

 今まではかなり僕がしていたんだけど、これからは村の人達だけでかなりできると思うってことで、緑肥していたところをさっそく耕してもらって2毛作するところと合わせて広々になった。

 誰がウワサしているのか分からないんだけど、困窮(こんきゅう)してま〜すというのが次々とやってきていて大きくなっていって、そのうちに戦いをしたことのある部族も加わったりした。


 ここで「負けていない」って事が重要になっている。

 内容はともかく無敗だしね。ごはんをいっぱい食べて、口ばっかりではなく鍛錬の大事さを知ってしまえば、元々戦いに特化した種族だからね。

 鍛錬用の道具はあげるし、筋肉を作るプロテインなんかもあるし、そういう補助のクスリ(ちょうどいい治験になる)もドサリと提供した。

 合流した時にはタイマンでは勝てたはずの尻尾の人達が二回りくらい大きくなっていて、技もあって勝てなくなっていたんだよ。

 森はケモノを育てる場所でもあるけど、忍者な人達には鍛錬の場でもある。

 ちょこっと作った程度の森で生き物が急に増えることはないので、当分狩りは禁止にしてて、加工肉ばっかりだった。

 飼育は最初にトリが登場して、ブタにヒツジ、ウシはそろそろかなあ。

 人が増えていて畑を増やしているんだけど、当分需要には追いつかないし飼料も作らないといけない。なので支援はずっとしていて、服とか雑貨品がアチコチ回って残ったのがここに来る。それでちょっと統一性のない服とか揃わない食器とかになってる。

 家も訓練の一環で建て替えしたりしてステキな村になりつつある。

 最初のバラック村だったときにすき間風の寒さが身に沁みたし、僕もそういうのを建てた結果がどうなるというのをアチコチで目にしてきた。

 家は環境に合わせて建てないと()たないし、快適にはならない。

 それは強度っていう点でもね。当たり前が違っていたり、良かれが大きな勘違いだったりはよくある。

 気が付かなかったことも大災害は弱点を広げて(もろ)いところを示してくる。

 考えながら生きるというのは疲れることかもしれないけど、それは意欲いっぱいにしていくことでもあるの。

 最初の学びというものはそれのやり方を教えるモノだし、楽しい事なんだよ。


 極東の村人が意識改革を起こす前からポツリポツリって人が送られていて、それは大事な事で変わった事を受け入れざるを得なかった。

 こんな辺鄙(へんぴ)なところはイヤって騒いだりするんだけど、今までだってそれは大して変わらないことのはず。

 先住していつまでも「俺たちには戦に備える役目がある」してて、いいところ見せようとして、タダの体力勝負(耕作競争)をして負けちゃう。

 これは本家の忍者な人達のピンポイント移住ってヤツで、越冬で()りたはずの口ばっかり達にトドメを刺してしてもらった。

 働かずに送られて来るゴハンが少ないとはいえ、生活が最低限保障されている状態は夏の間は良かったんだけど、冬は寒さに耐えるためと季節柄オナカがやたら減るっていうのを知っていたのに何も備えをしていなかった。

 放ったってカタチだもの自主的に動いてくれないとやりようがないんだよ。


 追い込まれれば動くって思ったんだけど、怠惰(たいだ)して死にかけた人達を野放しにしていたら、こうなるよねえ。

 粗暴さは冬を越えて現実をみたからか消えたし、人がやって来る事に関しては力不足を痛感したから(こば)まないんだけどっていう消極的な理由だろう。

 そこに付け込んでチョコチョコと必要な人達を入れて「戦いを求める」という根拠のないのを現実で追い込んで少しずつニゲが出来ないようにしてる。

 いちおうそういうことにしているんだからそれに気付いてはダメ。

 ホントはね。甘〜い人達を「やらないと飢える」くらいの厳しい場所に置いたってことで、人と人のつながりが薄い人は働かない人達に無償で与えるという事はできない。自分達こそ(らく)がしたいんだもの。

 そういう切羽詰まった状況が自分を閉じ込めていた(かせ)(はず)して、村人は自分達に出来ないことをして焦るって図式。何かワナにハマったっぽいんだけど意図してはいないことで、何となくそうした方が良いと思ってポイってしただけ。

 回りくどいことをして「理解」させようとしているのは、村作りって多様な人達がいないといつまでも変わらないし、歩み寄らないと町にならないことを知ったからかもしれない。


 あの人達は戦いを諦めたことにして真面目なフリで村作りしてる。

 僕としては地域を騒がせて、宣言したとおりにそういう勢力を集めるくらいのことはして欲しいなあと。

 ペラペラ言い回るのを封印して、内を燃やして未来を考え準備をする、本来の忍者な人達になって欲しいんだよ。今のままでは援助ありきって気持ちがあるし、自活も出来ていないのに良い顔をしたいから全部受け入れてる。その中には間者がいて村の情報が筒抜けなんだよねっていうのは、スポットの人に聞いた。

 筒抜けのつもりで村の防護が出来るように構築する。それで懐柔をして、何か弱みを握られているのなら取り払って二重スパイにするくらいは当然する。

 忍者なんでしょってドンドン課題を積み上げてウ〜ンって、かつてしていたアレコレをみんなでひねり出そうね。

 ずっと先のためにも一気に農地を拡大して食料を商材に出来るように組んだし、防護できるように堀や塀の作り方を示して材料も提供した。

 今のままでは危ないよって(あせ)らせたから作付けが始まる前にセッセと壁を造っているはずで、一気に拡大したから大変だろうね。

 情報収集の仕方を何とか思い出して、ワナや調略で戦いの先手を取る。護りをするには畑を拡張しすぎて広すぎなんだし、たぶん塀作りは終わっていないんだから、ここに攻め込まれた時点でアウトだろう。

 数年で冷静に考えられるようになったみたいだし、様々な職種の人達と相談できるようにもなった。


 ウワサを聞いて狙っている部族が結構あるみたいっていう情報は掴んでいたみたいだから、鬼さんとかも協力して空からも観察をしているのかもしれない。

 冬がかなり冷えるこの場所だから、行軍してきたら野営地を襲撃するとかして簡単に討ち取れるだろうとか、大きな部族はそこまでバカではない。

 一度は争った周辺の部族までごはんで取り込んで、そうでないところもゴハンはとっても有効になる。尻尾の人達は自ら戦うよりも策謀を巡らせる方が得意だからマトモに戦っちゃダメとだけアドバイスした。

 いくら訓練をした強い兵士や何年も戦って経験豊富なフットボールの選手であっても

策謀を巡らせたニワカな弱者達にアッサリ負けちゃう。

 更にゴハンとか武具作りとかで強化して、戦い方訓練をすれば何倍も強い兵隊が出来上がるというわけで、弱々でビクビクしていた部族は生活力がとてもある。

 それに付加する何か良い服や日用品、上下水道インフラにクルクルお尻拭きのカミもある。文化ってヤツを護るためにって理由は悪くないでしょ。


 ついこの前はお肉(家畜)を提供したし、トリは卵を産む。チーズを作り始めさせて調味料も持ち込んだ。

 意欲はMAXになっているはず。情報では春に襲ってきそうなところがあるというのは分かっていたから村作りをしながらワナを設置したり、こっそり調略とか作戦を練って村に到達する前に撃破って計画をしてて、もうじき接敵する。

 忍び込んで水に下剤を放り込んで、朝食が終わった頃にワ〜っと押し寄せる。う〜んう〜んってしているところに網で文字通り一網打尽にした。

 武装を取り上げて放置。その間に相手の村に押し寄せて勝利って感じだった。

 次々やって来たけど、ワ〜ってするだけで作戦がないの。金属の加工技術がやっと銅器ってレベルだもの。こっちの防具には通らないよ。

 薄い革底の靴では針山シートが虫捕りみたいになってた。

 勝って嬉しいしても略奪はしない。これから田植えだし傘下にして畑作業させる人員にしてもいいな。


 出会った全部がハラペコなんだもの。ごはんどうぞすれば喜んで働いてくれる。

 かつての最先端だった巨大な国の未来がこんなモノで勢力を広げるのがとても簡単とか逆に心配になっているんだけどね。

 アッサリ負かしたし大けがしているのもいないから遺恨(いこん)的なものはなくて村の最初の時みたいな戦いで村をまとめていた勢力がごはんに負けることになった。

 負けた事実と文化の香りでオカンが主導権を握るようになるというのは予想していて、尻を蹴る役目をお願いして男連中を働かせるし学びを導入するにした。チカラでの頭の悪い支配では簡単に負けてしまうだけだし、一向に生活は良くならないって強く印象付けた。

 大きな策謀を巡らせるのはまだずっと先だと思うから、このままズレが起きないように見とくだけって、今までと変わらない。

 リーダーは作るけど統治するのは置かないで狭い範囲でそれぞれで一所懸命にするってことをする。


 騎馬で大国を粉砕した人達は西に移動したんだけど、その時に全部のウマを持っていったし、ウシもいない・・はずなので、移動が人力だからこのダレた作戦でも通じたってこと。ヒツジとウシとブタにトリは持ち込んだけど、ウマはしなかった。

 育てるっていうのはヤギくらいだったから、どちらかというと穀物中心の食生活のようなのにこの時期に来て畑を襲うっていうのはオバカサンなんだって男連中を責めるように誘導した。

 畑を焼き討ちする計画だったみたいだし、得たいのは何だったんだろうねってそれぞれの村の人達に問いかけた。自分達で答えに気付いて怒って、男連中に任せて置けないって思う事が大事。

 男の人達はチカラが強いし護っていると思っていたんだけど、そもそもハラペコの原因が無計画な行動ってことだもの。

 発展しない生活で良いとは思わないのが大多数だし、戦いの村は女性の方が多いんだから結託すれば勝てない。当分は「負けたくせに」って畑をさせて越冬の食料を作らせれば良いんだよ。

勢いと数で戦いが何とかなっていた地域に、スポーツみたく作戦を持ち込む。

情報は内部に入り込んで筒抜けだし、動向も把握してしまえば案外・・

どころかアッサリ勝って拍子抜けだった。

それで押さえるのにいちいち送り込んで統治って上下が出来る事はしない。

内部のチカラ関係を変えてしまえば、うまくいくっていうのは経験したこと。

今はごはんを食べられれば何とかなる。その先は当分大丈夫だろう。

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