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空気(ぼく)たちの町においで  作者: うえぽん
94章 イベントはしっかり楽しみたいな。
794/846

786 2回目だからコッソリ。*3/20

3月20日 水曜(晩春、誘ってくれるのを待っていたんだよ)

イベント全部拾うってつもりだったけど、グルンワルドでイベントしたら

誘ってくれるかなって期待したの。鬼さんだし。

去年はよく分からなくなっていて一応やったって感じだったけど

成果は、ちゃんとあったんだよ。

 自由だからヒマそうって思っているのが多い感じがするんだけど、村でやっていた仕事量やお世話は変わらないのに作業者は僕だけ。実作業はオトモダチがしてくれるし、僕のオサカナはシャチが獲ってきてくれてる。

 人がいたときでも全部は見せていないし興味は持たれなかった。隠すつもりはなかったけど、ゴハンの他は興味ないんだろうね。

 動物達は自分のことは何でも出来るし、おトイレしてくれるのでお部屋は汚さない。ワラの交換も少なくて済むし、お風呂嫌いはいないから助かるよ。

 自動洗浄で洗浄剤はもちろん無添加、それぞれ身体の大きさが違うし、毛質とかを感知して洗い方もちょっと違う。

 自分で水を跳ね飛ばせるのと飛ばせないのがいるし、毛も長短あって、フワフワツヤツヤに乾かす仕組みは苦労した。

 おトイレとか、搾乳のとか、このお風呂とかには検査機があって健康状態を個々調べている。食べる位置は決まっているからクスリや栄養剤を分からないようにゴハンにマゼマゼしちゃう仕組み。品種改良もしているから変化はとても大事。

 将来的には(おとろ)えた(きざ)しが出たらお肉にする。家族みたいなフリしているけど産業動物という線引きはしてるし、そうなったときに躊躇(ちゅうちょ)はしない。

 一昨年(おととし)までは夜間飛行っていうのもあったし、時間がないってトンボ返りする時も多かったから、実はヒマなのかもってそんなことないか。

 夜はほぼ眠れるし、寝落ちっていうのもほとんどない。ずっと夜空を見上げていたかつてのような(さび)しさは今はないの。


 もう間に合っているので友達は求めてない。人は裏切りがデフォルトなんだから契約にしないと任せられない。だいたいのルールでは住む場所を与えてゴハンと家を用意したら所有になるらしい。だから村はどこも僕のになるんだって。

 それには有効期限があって、それが続く限りというのは当然だろう。

 住む場所っていうのは地域の安全を意味しているし、土地を豊かにして生活に困らないようにしないと認められない。人あっての土地なんだから法律とか慣習とかを民の幸せありきにしないなら、永遠の所有が出来ると考えてはいけないよ。

 管理を託されているだけなんだから、人が税を払うのは管理の費用を(まかな)うためだけで生活を犠牲にしてまでではない。生活が苦しいならそれはハンドリングが悪いってことで管理能力が足りないんだから次の人に変わるべきだろう。

 もちろん贅沢(ぜいたく)させるためでも見栄を張らせるためでもない。その費用は当然自分で稼ぐべきで養ってもらうとか人権を無視してもとか有り得ない。


 里の時は僕に交代を突きつけた。もう用はないって。

 悲しいけど皆がそういう気持ちなら出ていくしかない。失敗した管理者がいつまでもいたらジャマなだけ。

 だけど里は維持されなかったんだから、僕ではなくみんなの方を追い出すべきだったんだろう。土地の所有者だからしてた。勝手したい人のためではない。

 また誰もいなくなったあの場所はいつか戻るときのために眠りについている。

 ミコの始まりの土地。そして僕の失望の地。定住の場所と思えるところがドコにもなくて、アチコチに手を出しているだけになってる。

 僕には心が無いから頭で考えるんだけど、何をしたら人は幸せと思うのだろう。

 追い出すばかりで純化していったら、また誰もいなくなる気がするから逃げたいけど分かるまではガマンってことにしてる。


 西でアレコレ画策していたり、ただ見ていたりだったんだから、戻って来ないでやることがあったんだけどね。

 それがスパイスの村「キャッシー」と原っぱの村「ピレーヌ」で誘われ待ち。

 そんなことあるわけないのに待っていた。

 (こよみ)をずっとチラチラして遠くに用事を作ったりウロウロしたり。

 さすがに気になるので見に行くことにした。記念日を作らないし祝わないというのは定住が出来なかったからなんだろうけど、季節やそこで起きる変化に気を留めて心をゆらゆらさせてって。

 人を繋ぎ留める事はできないけど、一緒しなくても同じを感じることはできる。

 それが季節で分かりやすくお花をモチーフに使っている。この花が咲いたら春でこっちは夏だよって感じにね。

 仲良しが欲しいはずなのに人を覚えることができない。裏切られたくないけど予定されたことなら仕方ないから、せめてステキは共有したいって、もっとなことを考えてて知らないうちに僕と繋がるなんて恐ろしい計画でしょ。


 キャッシーは密林の中にあって普通な人では来ることは出来ない。まして行き来というのはムリだろう。磁石の石があちこちにあって方向が定まらないし、上が閉ざされて星が見えない。木をスパンして年輪を見てもきっと方角は分からない。生木は切りにくかったのにおつかれ。

 さらに外へって誘導されるんだから残念でしたってことになるよ。

 それをものともしないで爆走するのがラミアって種族で、荷物運搬と子ども(さら)いが大事なお仕事。異種族は女性の方が優秀なことが多くて、男の人は家にいてチマチマとしてる。それが有名なのがドワーフって種族で、その辺にいるし()りがちなのはドワーフっていうイメージ。見かけ一緒なので女の人も男って思われてる。ヒゲ生えてるし。

 それでドワーフには男だけとかラミアが女だけとかって言われる。それでは種族が維持出来ないよ。だからって男を(さら)って繁殖に使うマンイーターとかって話が飛躍し過ぎだし、実際のそういう時ってちゃんとラブがあったはず・・かなあ。

 困っていない優等種が蛮族なことはないのに自分を棚に上げて、立場を上げるためにウソを吹聴するズルいのがニンゲンって種族。

 それが典型的な僕が嫌われなのは当然なんだけどね。


 スパイスの村はそれだけを作ってはいなくて、広い綿花畑がもっとになってゴハンの元のコメも少しある。

 前に来た時っていつだっけ。毎回広がっていて、あっちに河があるよってしたのが反対側にある。(河を越えたってこと)

 広くなった畑の維持はとても大変なはずだけどその辺に寝られるという気候なので、オベント持って畑するってしてるみたい。

 孤児たちには大変なお仕事だけど、ごろ寝は今まで通りだしゴハンがあって服が新品で臭くないし蹴られることもない。グルリが終われば家で身体を洗ってフカフカなベッドに寝る。しばらくはオベンキョしながら部屋の中で内職っていうのをする。

 ポカンと何もしないお休みがあって最初の頃はお仕事をするとコラ〜ってされるし、夜働きもそう。それに慣れるってことを最初は苦労してる。

 僕には大きいだけの動物たちだけど、ナワバリに侵入してくるのをゴハンにするのは知ってる。

 ただ「よろしくね」しただけで時々ウロウロして安全にしてくれている。

 その辺にあるのをパクンしても良いけど残さず食べて後始末もしてねってしただけだし、トイレの場所も決めたところにしてくれてる。

 お腹が減ったらって用意もちゃんとあるというか、クスリや調整剤飲ませるために食べてもらえるように美味しいのを調合(そういうレシピもある)。

 自然界では肉は生肉だし、草は青草だけ。どっちも熟成や発酵を経たのは美味しいし、果実や穀物、サカナや虫まで加わった調整ゴハンには食事の喜びっていう新しい世界がある。

 お願いはキッカケなだけで関係を繋ぐには双方の歩み寄りが必要で美味しいはとても分かりやすい。

 強い種だって眠る時や育児は(すき)になるから安住は大事なことだし、来てるのは小さいのもいる。安住の地は誰もに必要なもの。

 トリやちびっ子には好ましくない虫とかネズミを見つけて駆除してもらって、虫たちにも受粉とかやっぱり害虫退治とかしてもらってる。

 病気には農薬も使うから、ここの地域はしばらく近寄らないでって合図するという生活のルールがいくつか。


 イヌに言葉が通じているように誤解しちゃうし、そう思い込んでいる人は多いようだけど、あれは芸を覚えるのと一緒で反応を返しているだけ。分かりやすい感情は伝わるかもだけどね。

 動物たちに僕の言葉だけ伝わっているわけではなくて、オトモダチがそう刷り込んでいるんじゃないかって思ってる。決して言葉が通じることはないの。

 お話では自分よりも賢くて(たしな)めたりして言葉だけ話せませ〜んな設定がよく出てくるんだけど、そういうのに慣れちゃうとイヌが頭を下げただけで「うなずいた!」って感激するという現実との境目があやふやな人のできあがり。


 トラが背に乗せてくれるのは好意からではなくて、ごはんで上下関係を植え込まれたからだと思う。見た通り明らかに弱いけど群れのリーダーで食べ物や安全をくれる存在、であれば低くして背に乗せるし、怒りの感情があれば耳を下げて伏せるのは当然となる。

 強さは分かりやすいから力量を見せ合うのは分かりやすいけれど、リーダーに求めるものは縄張りという餌場(えさば)を維持できるかで、そっちの方が重要だろう。

 鼻の長い大きいもの、小さいけれど群れて狩りをする油断できないもの、エサとなるものが村にはいる。

 それが全て従っていて、()でられることに歓喜の気持ちが浮かぶ。きっとそんな感じになっているんじゃないかな。

 だから理解し合えてるなんて思ったりしない。ただゲタをはかしてもらっているだけでしかないの。それでもそういう反応を返してくれるのはすごく嬉しい。気持ちがつながっていないって分かっていても、その事にすごくありがとうする。


 スパイスの村は色んな動物がいて楽しい。暑くて緑が濃いってことは良くないとしている虫や病気の動物達がいて、みんなそういうのを抱えてて苦しんでいた。

 今のところ既知のものだから排除の設定はできるけど、既に中にいるものをナシにすることはできない。結界というのは膜のようなものなので排除するには通過する必要があるんだよ。

 猟の時に身体の調子が悪かったのに戻るとそれがなくなる。それを何度かして経験でそれを理解。1頭だけコンチハしたはずだったけど、いつの間にか群れになっていたから森へ10KMくらい拡大はした。

 体調と栄養とそのバランスが改善したからなのか、春の出産でちびっ子がいっぱいいたんだよ。どうして見せに来るのかは分からないけどすごく可愛いね。

 村人達には触らせないみたいで何人か見に来て(うらや)ましそうにしてる。


 前回人の居る方に近寄らなかったのは、お祭りしてねって屋台と食材を持ち込んだときに「あっちいけ」って子ども達に石投げされたから。

 大人もそれを止めない。嫌われる覚えはないんだけど、知らないうちにイライラさせているのかもしれない。

 ここは隠れて、いちおう自治してた地域で飛び地って感じの所で、深い森の中にあるから行き来はどうしているんだろうって。

 場所はだいたい分かっていて何度か空路で行き来する時にマップ用に録った画像を分析して見つけていて、ちょうど近所に鬼さん達の拠点を造るからご挨拶(あいさつ)って突撃お家訪問をした。

 もちろん人材として何人か来てくれないかなあというお誘いはした。農業を大々的にするつもりだから人手はいっぱい要る。

 農業はスパイスづくりで取りあえず僕が使える分が欲しかった。

 計画では海の方にあるスパイス貿易で盛んな場所にいるだろう不遇な扱いを受けている子達を保護して労働力にするつもりでね。地元ではない鬼さんしかいないし、僕の本の知識がそのままうまくいかないだろうから、試しながらしていくという行き当たりばったり計画。

 だったんだけど、贈り物が良かったのか村全部で来てくれるってことになった。

 前のは森に溶け込むような感じになっていて位置を聞いていてアタリが付いていなかったら見つけることは出来なかった。

 畑も狭かったから食べものは森頼み・・ってこともなく、毛皮製品とか肉とか木の実とかを街で売ってそんなに不自由はしていなかったらしい。

 木の実ってスパイスだし。


 行き来が難しそうだけどって思ったら、ラミアに変身して難なくスルスルと抜けて行く、だけじゃなくて、すっごく速い。感じとしては勇車の倍くらいでもっと。

 完全変身が出来ているから気付かれないし、(たか)ってくるのがいたら強力な尻尾でナイナイするのだろう。

 この辺にあるナーガ信仰やラミアのウワサの元ネタだろうで、恐ろしいが反転してしばしば(あが)められるってことはよくある。貴族のような階層差別社会に権力者や男性に都合の良い宗教、意味の分からない動物差別とかが好きじゃない。

 この辺はスパイスの産地で東の方は良くない草が(やみ)で栽培されている。理不尽を受け入れて変えようとは思わない人達だから興味はないんだけど、気候と植生はとても素晴らしい。

 二つの大河から引き込んで水源を確保すれば綿花だって生産できる。

 少しずつ栽培方法を模索して、働き手の子ども達が大きくなる頃にはスパイスの育成方法を知って色んな種類を集めて、ここを大産地にって計画だった。


 そしたら隠れ村の人達が知っているっていうの。

 ただ採取していたと思ったら、日陰がいいのとか日向が良いとかを経験と情報収集で知っていて、日陰なのが希少だからってそれ多めに作っていたからああいう村になったらしい。

 僕は植え替えしたり、生産出来るくらいまで成長させたりするのは得意だから、アチコチから拝借したり育ててねしたりして種類がいっぱい欲しかったし、やってみないとどうなるかっていうのはあるものでしょう。

 気候を選ぶオリーブみたいなのもある。ズルするといつか僕がいなくなった時に破綻が起きることにもなるから、そういうのは百島(ももしま)でしかしていない。

 多くのものを栽培してきたし、性質を見つける方法みたいなのもいくつか知っているから、それで品種改良もいっぱいして効率の良い方法や害虫のことやその駆除方法をアチコチでも収集している。

 初めての草があると、それに対応している初めての害虫とか病気やカビや微生物とかいて興味深い。結界に設定するには深く知らないといけない。

 時々パクンして、死にそうな目に()うというのは良くあるんだけど必要な事だから当たり前にしてる。

 そういうのを繰り返して知識を貯めて何でも試して経験も蓄積する。それが友達作りのためって思っていたけどそうではなかったみたい。

 いつもそばにいてくれて助けてくれる。僕のために何でもしてくれて、動物達との間もしたいことも手を貸してくれるオトモダチにいっぱいお返しをしたい。

 彼らは万能で強大だけど大好きな笑顔を作り出すのは人だけだから、そのためにみんなを幸せにしているんだろうって、言い訳みたいだけどオトモダチでいられるようにガンバルことにしているんだよ。

スパイスの村は最初から僕には、よそよそしい。

それであんまり寄りつかなかったというのはある。

できると思っているんなら任せた方が良いことだしね。

それでも美味しいゴハンのためには重要な場所だもの。

仲良くはさせたいし、したいんだけどね。

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