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おしりが痛い

 数回休憩を挟んだ後に、やっとウェルズ湖につくと馬車の扉が開き、アマリーはハンスにエスコートされながら馬車を降りると思い切り背伸びをした。


 そして、目の前に広がる湖の美しさに思わず言葉を失い、目は煌めく湖畔に釘付けとなった。


 ハンスはアマリーの腰に手を回し、湖畔を歩き始めた。


「今回は休暇も兼ねているから、ぜひ一緒にここでの数日を楽しんでくれ。」


 暗殺されるかもしれないというのに呑気な言葉にアマリーは苦言を呈そうかと思ったが、ハンスがテイラーや護衛の騎士らに視線を向けている事にはっとした。


 呑気なのではなく、信じているのだと分かり、アマリーも騎士らに視線を向けた。


 皆がそれぞれ役割事に動き、配置されていく様子にさすがだなと感じた。


 自分がいくら強かろうと数で来られれば負けるかもしれない。


 だが、こうやって一人一人がしっかりと考えて動けば相手はやりにくいだろう。


 だからこそ、一筋だけ、油断を作っておくのだ。


 ハンスと二人で歩いていると、ルルドが湖畔にあったボートを調べている姿が目に入った。


 手を振ると、微かに笑みを浮かべて頭を小さく下げる姿を見ると、嬉しくなる。


 ハンスはそんなアマリーの様子に、静かな口調で言った。


「アマリーは、ルルドのことをどう思う?」


 その言葉の意図がわからずに思わず首を傾げた。


「ルルド様ですか?ええっと、、、真面目でお優しい方だと、思いますが。」


「それだけか?」


「えっと、氷の貴公子と呼ばれる割には春のように温かな方だなと思います。」


 アマリーの言葉に、ハンスは目を丸くするとルルドに視線を向けた。


 ルルドはしかめっ面で指示をしており、春のようにと言われても全くそうは思えない。


「どこが春だ?」


「え?お優しくて、自分の事のように心配をして下さるものですから、、、。まぁ、あくまでも私の考えですが。」


「いやいや、ルルドは他人の心配なんてそんなする男ではないが。」


「え?でも。」


 そういったところでルルドとテイラーの声が響いて聞こえた。


「帰ってきてください。」


「一度屋敷へ入りましょう。」


 二人に手を振り返したアマリーはハンスを見上げながら言った。


「行きましょうか?」


「あ、あぁ。」


 二人がこちらに戻ってくる姿を見つめると、何故だか胸がざわつくのをルルドは感じた。


 その胸のざわめきの意味がわからないまま荷物を持ち、数日間過ごす湖畔の城の中へと運んだ。


 事前に掃除などは済ませてあり、中では執事や侍女らがせわしなく働く姿が目に入った。


「この城でこれだけの方が働いているのですか?」


 ハンスは首を横に振った。


「いや、この日の為に数日前に何人かの者をこちらへとやっただけだ。」


「なる程、そういう事ですか。」


「あぁ。貴方も疲れただろう。夕食まではまだ時間があるだろうから、ゆっくりと過ごしたらいい。」


 アマリーはその言葉に感謝すると早々に部屋へと下がった。


 実はお尻が痛くて痛くてたまらなかったのである。内心でハンスに礼を言うと侍女に案内されるのであった。


 部屋につくと全身から力を抜いてベッドへ横になった。


 いよいよ始まったのだ。


 ここからは気を引き締めていかなければならないのだ。


 

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