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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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第40話

総PVが50000を超えました!

読んで下さった皆さんに感謝ですm(__)m

一人、迷宮主のいるハズの部屋で紅茶(推定)を楽しむ紳士(変態)

カップから湯気が出ている処を見るとおそらく容れたて、いや、よく見れば、テーブルの上にポットが置いてある!

って事は、自分で容れたって事か?


しかも、周りを見渡してみれば、この部屋かなり魔改造してあるのが分かる。


まず壁面だが、ここまでの通路は只の土を固めただけみたいな感じの赤茶けた材質だったのだが、この部屋は、白っぽい石?の様な材質でコーティングされている様だ。非常に清潔感が有る。

更に、よく見るとテーブルセットだけでなく、本棚や箪笥、奥の方にはキッチンまで見える。

……ココ、ダンジョンだったよな?


こちらが衝撃で固まっていると、扉が開いた音か、はたまたこちらの気配に気付いたのか、こちらに顔を向ける紳士(変態)


人が来るとは思ってなかったのか、驚いて(雰囲気的に)固まる紳士。

その視線はバッチリ俺とぶつかってしまっている。

その視線に『戸惑い』や『驚愕』の色は伺えるが、『敵意』や『悪意』、『殺意』の類いは感じられない。


「「……………………」」


俺からも、相手からも、言葉が出てこないし、視線も反らせない。

暫くそのままの沈黙が続いたが、喉元を僅かに動かして、唾液を飲み下した紳士が口を開く。


「……えー、失礼。お客さん……ですかな?」


客……客なぁ……。有る意味そうとも言える……か?


「……そんな感じ、ですかね?」


思わず疑問形に成るが、仕方あるまい。


その答えを聞き、カップを持っていなかった方の手を顎に当て、「フム?」と呟いて首を傾げながら考え込む紳士。


少しの間そのまま固まっていたが、何かを思い付いたのか、カップをソーサーに戻し、立ち上がってこちらに歩み寄りながら話し掛けてくる。


「『お客さん』と言うことならば、お入りなさい。玄関先で女性を立ちっぱなしにしておくのも、お客をもてなさないのも『紳士的』とは言えないですからね。出来れば、お茶を飲みながら外の話など聞かせていただけませんか?

さぁ、中へどうぞ」


そう言いながら、入り口まで出てきて、俺達を中へと招く紳士。

結局、俺達は中でお茶をご馳走に成る事になったのである。





******





「ハハハハハハ!!やはり、中々に愉快な方だな、『ジョン殿』は!」


「ハハッ!いやいや、そう言う『メフィスト』の方こそ中々に!」


あれから俺達は、お茶(非常に美味)をご馳走になりながら、自己紹介から始まり、色々な事をお喋りしていた。

その中で、俺と紳士、もとい彼『メフィストフェレス』は意気投合してしまい、互いに名前で呼び合う程度には仲良くなっていた。


「しっかし、『悪魔』なんて本当にいたんだな?初めて知ったよ」


「いやいや、それを言うならば『異世界』からの『転生者』、その上スケルトンのままで、かの『不死者ノ王(リッチ・ロード)』に至る存在がいた方が驚きますよ?絶対」


既に素性の類いも話した後だ。

もちろんお互いにだけど。


それによると、彼の種族(?)である『悪魔』とは魔物の様な存在である……らしい。

何故『らしい』のかと言えば、本人達が良く分かって無いのだそうな。

まぁ、そもそもが、この世界の存在じゃあ無いらしいし。

彼曰く『《この世界》と連結し、しかし少しだけずれた多層世界』出身の『精神体のみで構成された生物』なのだそうな。(現在の体は、魔力とスキルで構築しているのだとか。)

……正直良くわからん。

ちなみに、似たような存在で『天使』もいるんだって。……遭遇したら、俺、浄化されんじゃね?


まぁ、本来の姿や身体能力等から鑑みても、100%『人間』では無いし、レベルの上限も有り、更に進化する(『騎士』から始まり、『男爵』、『子爵』と上がって行くらしい。ちなみに、彼は『侯爵』だとか)事から、この世界の法則に当て嵌めると、どうやら魔物に分類される……らしい、との事。

おまけに、一応種族として『悪魔』を名乗っているけど、どちらかと言うと『分類』に近い表現に成るのだとか。(『獣人族』だとか『人族』みたいな括りではなく、どちらかと言うと『人間』みたいな表現なのだとか)


で、何でそんな存在である彼が、こんな穴蔵にいるのかと言うと、『移住してきた』からだそうな。


なんでも、彼が元いた世界での、権力闘争や領土戦争に飽き飽きしたので、以前から興味が有り、色々と調査をしていた、こちらの世界に渡って来たのだとか。

まぁ、もっとも彼ランクの存在は、基本的にこっちの世界には興味が無いし、この世界に渡ろうとするようなのは、基本的に大した事が無いので、あまり気にしなくても大丈夫なのだそうな。


それで、ココ(ダンジョン)に住み着いている理由だが、たまたま近くに来たときにココを見つけて、気に入ったから迷宮主(ダンジョン・マスター)を蹴散らした上で改装し、住居にしたんだと。迷宮核(ダンジョン・コア)は湯沸かし等の為のエネルギー源として利用しているのだとか。

……なんでもアリだな……。


「しかし、存在感で言えば、彼女達も素晴らしいモノが有る様ですね。流石に戦えば負けはしないと思いますが、片手間に戦える様な相手では無いでしょうな。寧ろ戦わずに済ませられるならば、それに超したことは無い様に感じられますよ」


「そいつはどうも。後で伝えておくよ。

……なら、俺は?」


「勝てるかどうか分からないので、可能ならばあまり戦いたくは無いですね。最悪、死にかねませんし」


あらま、意外と高評価。

ちなみに、現在この場に居ない女性陣は、迷宮核給湯システムによるお風呂にて入浴中なう。


「しかし、貴方達が面白そうな事をしようとしているみたいですし、私もそろそろ外に出てみますかね?」


彼の世界での戦争はぶっちゃけゲームと変わらなかったので、つまらなかったのだそうな。

……興味も持たれているし、そこそこ仲良く成った自信も有るから、もしかしたらイケるかな?



……良し!スカウトするか!



「なぁ、メフィスト」


「ん?何ですかな?ジョン殿」




「俺の、いや俺達の仲間になって、一緒に色々やらないか?今なら友人としての同行も可だよ?」




ストレートに勧誘してみた。

これで乗ってくれれば万々歳なのだけど……。


「良いですよ?」


……へ?


「……良いのか?」


「『良いのか?』もなにも、誘ったのは貴方でしょうに。それに、貴方がやろうとしている事は、面白そうだったので付いて行きたかったのですが、どう切り出したモノかと悩んでいたので、正直有り難かったですしね?

それと、『仲間に』と言ってくれた事は、本当に嬉しかったんですよ?向こうだと、『部下に~』だとかは結構有りましたけど、対等に『仲間にならないか?』とは、初めてです。良い響きですね、『仲間』って」


……アカン、何か涙込み上げて来た……。


「ついでに、アレも済ませてしまいましょうか」


ん?アレってなんぞ?


そのままメフィストは、帽子を脱ぎ、手に持った状態で胸に当て、完璧な所作でこちらにお辞儀する。


「私こと悪魔侯爵メフィストフェレス、真名ファウストは魔王ジョン・ドウ殿に部下として仕え、仲間として支え、そして友人として共に歩む事を誓わせていただきます。

ちなみに、悪魔の契約は絶対ですので、どうぞよろしくお願いしますね?」


「……でも良いのか?アレだけ嫌だと言っていた『部下』って枠になりかねないけど?」


「そこは、貴方ならば良いかと思えますのでね。ちなみに、契約の対価には茶葉をお願いしますね?まだストックは有りますが、そこまで有る訳では無いので、出来るだけ早めにお願いします」


ちゃっかり対価まで要求してくるとは、やはり悪魔かこいつ。

まぁ、こんな奴が一人位いた方が面白くなるか……。


「なら、よろしく頼むよ?ファウスト君?」


「仰せのままに、我が主(マイ・ロード)



【『ファウスト』との《主従契約》が結ばれました】





******





こうして、 『メフィスト』(『ファウスト』ではなく、こちらで呼んで欲しいと本人からの希望)を仲間に引き込んだ俺達だったが、あのまま一泊し、次の朝になってから地上に出て、現在はゆっくりと歩いて帰路に着いている。


こんなにゆっくりしているのには、一応理由が有る。

一つは、ガルムとウシュムさんにお願いした件。

コレは、成功しても、失敗しても、どの道時間が掛かるので、それまでの暇潰しも兼ねている。

早めに戻っても、また変な依頼を押し付けられるかもしれないし、それははっきり言って面倒だ。


もう一つは、ある種の『観光』。

メフィストは、あのダンジョン付近はそこそこ詳しいらしいのだが、これから向かうイストの街近辺はさっぱりらしいので、説明ついでに道沿いを色々と見て回っているのである。


「……しかし、良いのですか?話を聞くだけでも、悪意を持って誰かが貴方を襲うつもりなのは、明らかでしょうに。いかが為さる予定なのですか?ジョン殿」


「まぁ、罠なんぞ食い破ってなんぼだしね?それに、わざと嵌まってやれば、油断して色々とゲロってくれるかもしれないじゃん?」


敵の準備が進もうが、それごと叩き潰すだけなのだから、大した問題ではあるまいて?


そんな訳で、来る時は数時間程度で到着した所から、今度は数日かけて移動してきたのだが、どうやら俺はツキが来ているらしい。

成功した場合の待機場所として、指定しておいた所にガルムの反応と、ウシュムさんの反応がそれぞれ有る。

それはつまり、二人とも成功したと言う事だ。(当たり前である。)

どれ、一応報告聞いておくとするか。


『あー、テステス、こちらジョン。ガルム聞こえてますか?どうぞ』


『あ!主殿!自分、お使い成功させて、無事に戻ったであります!』


『私も戻っていましてよ?旦那様♪』


『ん、二人ともご苦労様。分かってはいるけど、一応報告お願いね?』


『では、自分から。数・質共に予想を上回る事になっているであります。コレなら、どんな状況でも、そうそう失敗・敗北は無いかと思われるであります!』


『私の方も、予想より多く連れて(・・・)来る事が出来ました。これで懸念はほぼ無くなったと見れると思います』


『ほう?そいつは嬉しい誤算だな。こっちでも、面白い奴を新しく仲間に出来たことだし、そろそろ本格的に動くとするか。ちなみに、こっちに合流出来そうか?』


『新しい仲間は気になるでありますが、自分が抜けるのは少々厳しいので、合流は無理そうであります』


『私も無理そうですね』


『そうか。じゃあ、()が起きたら呼ぶから、行動出来る様にしておいてくれよ?』


『了解であります!合流したら新入りさんの紹介お願いするであります!』


『私も了解です。こちらにも紹介お願いしますね?旦那様?』


『意志疎通』を解除すると、突然黙り込んだ俺にメフィストが声をかける。


「ジョン殿?いかが為された?」


「いや、大したことじゃぁ無いさ。別行動している仲間から連絡が有っただけさね。一応、お前さんが仲間入りした事も伝えておいたけどね?」


「ほう?それでなんと?」


「お使い成功、新入りは後で紹介よろしく、だとさ」


それを聞いて笑い声を漏らすメフィスト。


「フフフッ!やはり、ジョン殿のお仲間だけあって、その方達も面白そうだ」


「一応、お前さんもその枠の内側にいる事忘れるなよ?」


そうでした、と笑いながら返すメフィスト。


さて、こちらの細工は十分。後は野となれ山となれ。そちらはどうかな?名も知らないどこぞの貴族さん?




******




イストの街のとある建物の中は、慌ただしい雰囲気に包まれていた。


「ターゲットが監視ポイントを通過したと報告が有ったぞ!」


「クソッ!早すぎないか?」


「そうも言ってられん。まだ時間をかけて手勢を集めたかったが仕方ない。準備を急がせろ!」


そんな中、一人椅子に腰掛け、何もせずにいた人物が声をかける。


「監視ポイントからであれば、到着は夕刻になるであろう。ならば、呼び出しは明日にした方が警戒されまい。決行は明日だ!!」


「「「了解!!」」」


その号令で、更に慌ただしさを増す工作員(裏方)達。

そんな彼らを横目に、ワインを傾ける貴族(首謀者)


「……明日、我等は全てを手にする訳だ。クククッ!笑いが止まらないではないか!!ハハハハハハ!!!」


……全てを知っていれば、決して出来なかったで有ろう高笑いを発し、酔いしれる貴族だが、その一杯が、人生で最後の一杯になる事を彼はまだ知らない。

変態仮面紳士が仲間に加わった!

ちなみに、彼の戦闘力としては、ガルム以上主人公と同格って感じです。

次回から、主人公が本格的に『魔王』としての活動を開始する予定です。

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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