第125話
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微妙に能力検証回?
「……まぁ、当然有るんだろうな、とは思っていたけど、予想から少しも外れずにこうして仕掛けられると、それはそれで何だか詰まらないなぁ……」
グチャッ!バキッ!ブシュッ!!
「フッフッフッ!確かに、予想から毛先程のズレもしてくれない程に詰まらない連中ですが、まぁ、何も無いよりは遥かにマシなのではないでしょうか?どの道、この手のごm……ならず者をどうにかするのも目的の一つだったのですから、こうして自分から駆除されに来てくれると楽で良いではないですか?」
ゴリッ!メキメキッ!?パキュンッ!!?
「……それはそうなんだが、こうまで意外性の欠片も無いとなると、なぁ……」
ヒギッ!止めっ……!?助けて……!!?
俺とメフィストとで連れ立ってダンジョンへと入った直後、後ろから追い掛けて来る気配と、入り口から見て最初の分岐路の左右から迫ってくる気配。それと、ある程度進んだ先、残された分岐の奥にて待ち構える様に集まっていた気配がそれなりの数居る事が、進化して強化されたと思われる『気配掌握』のお陰で問題なく把握出来てしまう。
そこで俺達は、わざとそれらに気が付かないフリをして奥まで進んでやり、この辺りに残っている阿呆共を根刮ぎにしてやるのも面白そうじゃないか?との結論に至り(当然、『意志疎通』と『思考超加速』のコンボによる短時間無音声での対話にて)、故意的に罠に嵌まってやる事で阿呆共の現状を探ってみようと試みたのである。
これでも一応は『優しい魔王様』で通っていた(人族……?ナニソレ美味しいの?)ので、生活に貧窮して~、だとか、大変な事があってヤケクソに~、だとかの事情が有れば、まぁ、お仕置きするにも多少の手心を加えてやったり?ジョシュアさん辺りに報告しておいて、少しずつでも環境を改善させておこうかなぁ?と考えての事だったのだけど、いざ嵌まってやり、通路の奥で阿呆共に囲まれながら聞いてみた俺に返って来たのは、あからさまにソレと分かる嘲笑と、ただ楽に稼げて殺される連中の顔が面白いからだ!との、見下げ果てた答えだったので、救う価値無し、と判断した俺達によって、こうして蹂躙されている訳なのである。
まぁ、でも、仕方ないよね?
あれだけ派手な引退会見(少し違う気もするが)をやった上に、魔王直々に『自重しようね?』と呼び掛けておいたのにも関わらず、こうして自分の欲望を果たす事しか考えていない様な行動を取るって事は、その行動がイコールで俺に対して喧嘩を売っている、って言う事なんだから、こうして蹂躙されても仕方がないよね?
「神代魔法『ジャッジメント』『パニッシュメント』!」
だから、使い方や効果は解っていても、まだ試した事の無いスキルや魔法の実験台にされたとしても、それは『仕方の無い事』だよね?
俺が発動させた、『神代魔法【光】』による『ジャッジメント』と、『神代魔法【闇】』による『パニッシュメント』が、血気に早って俺達へと襲い掛かり、呆気なく無力化された数名の阿呆を呆然としながら眺めていた他の連中へと降り注ぐ。
まずは先に詠唱が終わっていた『ジャッジメント』の方が発動したらしく、眩い光が阿呆共の上空で炸裂する。
そして、その光が収まった時にはその光の発生していた所に、俺が元居た世界の裁判官と良く似た服装をした、男女の区別が上手く付けられない存在が、これまた裁判官席に良く似たモノに腰掛ける状態で出現していた。
【これより裁きを開始する】
そう、厳かながらも無機的な声で告げたソレが、手に持っていた槌にて裁判官席を一つ叩くと、呆然としていた阿呆共の身体が何処からともかく現れた鎖によって拘束される。
口々に驚きの声を挙げる阿呆共を尻目に、裁判官の様なそれが手を一振りすると、阿呆共の頭の上に半透明なパネルの様なモノが浮かび上がる。
そこにはどうやら、それぞれが犯してきた犯罪の経歴やらその結果やらが列挙されているらしく、それを見た阿呆共は少々怪訝そうな顔をし始める。
たったこれだけなのか?
そう言いたげな顔をする阿呆共に、裁判官の様なソレは温度を感じさせない声で冷徹に告げる。
【……本来であれば、罪に応じた罰を与えるまでが私の仕事であり、喚び出された以上はそれを完遂する事こそ我が使命であるが、今回は貴様らに罰を与えるのは私の役目ではない様だ。精々、情けを請うと良い。あの者は、私とは違って慈悲の心を持ち合わせてはいないからな】
その視線の先には、俺の手から放たれた闇属性の魔力が凝固して紫黒色の門になると、そこから『パニッシュメント』によって喚び出された高位次元体がその姿を顕にする。
ソレは、俺が神としての姿を顕にした時の姿と酷似しているが、俺との相違点としてはその身体に錆びに覆われた鎖が絡み付いている事と、そいつからは『感情』やら『意思』と言うモノが感じられない点だろう。
【……断罪、開始……】
唐突にソレが顎と歯をぶつけ合わせている様なカタカタと言う音を立てながら、耳を澄ませれば辛うじて聞こえただろう程度の音量で告げると、突然その手に携えていた大鎌を振り上げ手近に居た阿呆の一人へと振り下ろす。
【……罪状、殺人・強盗・強姦・恐喝、その他十三の罪科により、冥府にて百年の苛疫刑に処す……】
そうして大鎌を振り下ろされた阿呆は真っ二つに切り裂かれるも、その叫びを挙げ続ける口や、ソレに対する恐怖と自身の状態に対する不安によって忙しなく動かされている事から、どうやっているのかはふめいだが何らかの手段によって致命傷を受けながらも生かされている事が分かる。
そして、その振り下ろした大鎌によってその両断された阿呆の首を跳ねると、鎌の石突き部分を胴体に挿し込み、器用に心臓を取り出して共に腰の部分へと括り付ける。
その後、手近な者から片っ端に罪状を告げながらある者は縦に、ある者は横にとその大鎌によって両断され、その首と心臓を回収されて行く。
時折、両断されてその場で殺されるだけの者だったり、四肢を落とされるだけで両断まではされなかったりする者もおり、その時は告げられる罪状が軽いモノだったりだとか、少ない者だったりする事が観察していると容易に理解する事が出来た。
そして、一通りの阿呆共を処断し終えると、その死神の様な風貌のソレは急に俺の方へと視線を送ると、それまでのお世辞にも素早い動きとは言い難い動作からは考えられない程の速度で俺へと接近し、一切の躊躇いをみせる事の無いままにその大鎌を振り下ろさんとしてくる。
だが、それとほぼ同時に、その全身に絡み付いていた鎖が引き寄せられ、俺に向かって振り下ろされたようとしていた大鎌の湾曲した刃を、俺に当たる寸前でピタリと静止させてしまう。
【……大罪、裁けぬ、無念……】
未だに俺へとその刃を食い込ませようと力を込め続けているのか、細かく刃が震え続けているのが近距離故に良く見えるが、そんな事はお構い無しとばかりに、俺が作り出した紫黒色の門の向こう側へと引っ張られて行く。
【……断罪、終了……】
そんな呟きを残してその門へと死神が引きずり込まれると、それも時を同じくして裁判官も登場した時と同じ様に光に包まれ、それが消えると既にそこにはいなくなっていた。
そしてその場に残されていたのは、両断され、首と心臓とを持ち去られた死体の山と、極少数の辛うじて生き残っている阿呆共、自身が作り出したあまりの惨劇に唖然とする俺と、それらの光景がツボに嵌まったのか腹を抱えて爆笑するメフィストのみであった。
その後、死神の断罪を免れた、本人曰く新入りで今回が初仕事とか言う奴に
『次にまた同じような事をしようとした場合、アレよりももっと苛烈な連中を喚び出すからそのつもりで居ろよ?』
と軽く脅しを掛け、ここで何があったのかを結果だけ破落戸共に広める事を条件に、この場は見逃してやる事にし、俺の気が変わる前にダンジョンの出口方向へと放逐してやってから、俺達は本来の目的の一つであったダンジョンの攻略を果たすために、下の階層へと繋がる階段を求めて歩き出すのであった。
因みに、あくまでも『神代魔法』は『神が身近に居た時代の魔法』ではなく、『神だからこそ使用出来る魔法』となっております。
主人公「何でそんなに分かりにくい名前に?」
ヘルプ「女神様の趣味ですね」
主人公「……おのれ駄女神!」
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