後日談・三話
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『……それで(モグモグ)、結局のところ(モゴモゴ)、どうなったの(ゴックン)……?』
俺から話を聞いている間に夕食の準備が完了し、そのまま食事となった為に中途半端な状態となっていた処の事を、ある意味『関係者』であり、ねだった本人でもあるムシュマヘーが俺へも問い掛けて来る。
それに対して俺は、上げ掛けていた匙を皿へと下ろし、まるで苦虫でも噛み潰したかの様な顔へと表情を変化させてしまう。
それを見た今日の料理当番であったガルム(出産を機に家事を習得。今ではそれなりの腕となっている)が、慌てた様に調理工程を思い返したり、使った材料が劣化していなかったか、等を必死に考え始める。
そんなガルムに対して軽く手を振ってやり、今の表情と料理とには特に因果関係は無いとの事を表明しておく。
「……あぁ、大丈夫大丈夫。夕飯は確り美味しいから、そんなに心配しないで良いよ」
「……でも、突然表情を変えられたのでありますから、不安にもなると言うモノでありますよ?」
「まぁ、そこはゴメンね?ただ、ちょっとアレな記憶が、ね……」
そう言葉を切ると、言い出しっぺのムシュマヘーや心配していたガルム以外の面子も、その場にいて観戦していたウシュムさん以外は興味を持ったのか、視線にて続きを催促してきた。
「……いや、さ?あのガルグイユのじい様との戦闘を思い出しちゃって、ね?」
そんな風に口ごもった俺に対して、思わぬ方向からの攻撃が炸裂する。
「……そう言えば、確かその父さんとガルグイユ郷長との戦いってあの『神龍大戦』の事でしたよね?『七日七晩戦いが続き、その末に神たる魔王が勝利した』ってなってましたけど、それって本当だったんですか?」
……グリーアンよ、君は一体何処からそんな情報を拾って来たのかね……?
そんな、俺の心の突っ込み虚しく、その発言によって全員の好奇心に火を着けてしまったらしく、だんまりを決め込む事は難しそうだ。
なら、傷を浅く済ませる為にも、さっさと答えてしまうとするか……?
「……一応は、本当だよ?と言っても、君らにも語った様に、最初の処で既にウシュムさんとの許可は貰っていたから、後の殆どはノッちゃったじい様に付き合って、の部分が大きかったんだけどね?」
「……本当にそうですか……?話を聞く限りだと、本気も本気で全力を出されたのでしょう?父さんの戦闘力なら、この世の大概の存在はそれだけで消し飛びそうなモノでしょう?なのに、何でそんなに掛かったんですか?」
不思議そうに訊ねて来るグリーアンに対して、この日一番苦い顔をする俺。
「……実は、これは戦闘が終わってから判明したこと何だけどね?あのじい様、自分でも言っていた様に無駄に長生きしていたらしくてね?その結果として、俺達とは別のプロセスにて自力での『神性』獲得に成功していたらしくて、ね?
得ていた『神性』自体は最低級のモノでしかなかったみたいなんだけど、それでも獲得してからかなりの年月を掛けて習熟や経験を積んでいた関係で、『神性』としては最高級に相当している俺相手でも、なりたての相手だったら互角以上の戦いが出来た、って事らしいんだ」
へー、と皆からの返事が重なる中、先程口に含んでいたモノを飲み下していたムシュマヘーが、次の一口を口へと運びながら新な爆弾を投下する。
『……でも、じいちゃんからは、父ちゃんもノリノリで戦っていた、って聞いたけど?その時の戦場で、今は湖になっているって処に遊びに行った時に、何だか乾いた笑顔で言っていたけど?モグモグ』
……あの爺、一体何を抜かしてくれとるのかね!?
そんな思いと共に、今回の爆弾をどう処分したものか、と頭を悩ませるのであった。
******
「では~、とうとう私の番ですよね~?」
夕食の席における諸々の追撃をどうにか振り切り、子供達と入浴していると、唐突にウカさんとの子供であるイナが、湯船の中で俺へと凭れ掛かりつつ上目遣いに俺の顔を覗き込みながら、そう言ってくる。
「……イナの番?何の順番だったっけ?」
本当は分かっているのだが、最近何かとからかってくると言うか、何やらおませな事ばかりを仕掛けて来るこの娘に悪戯心が刺激され、わざと惚けて見せる。
それに対してイナは、俺が分かっていて惚けている、と瞬時に見抜いたらしく、頬を膨らませて不満を表明しながら、水に濡れても不思議とフサッとした触感を失わない九本の尻尾で、俺の胸板やら腹筋やらをペチペチと叩いてきたり、俺の首筋やら頬やらを、まるで誘い掛けるかの様に先端で撫でてきたりと反撃してきた。
……うん、やはり、ウカさんの娘なだけあって、意地悪した時の反応が同じだね。
まぁ、ウカさんの場合、その後に『凄いこと』されちゃうんだけど、そこは似ないで良いからね?
そんな風にイナと戯れていると、それまで身体や頭を洗っていたリオンとケレルが泡を流し、湯船へと入って来ると、俺の膝の上はイナに占拠されていた為か、両サイドに陣取ってイナと同じ様に凭れ掛かってくる。
……あぁ、後どのくらい、こうして俺と一緒にお風呂に入る!って言ってくれるんだろうなぁ……。
なんて、感慨深く思っていると、イナだけでなくリオンとケレル、それとムシュマヘーやグリーアン(追加で入ってきた)からも催促が入り、流石に惚けて倒す事が出来なくなってしまう。
まぁ、最初から踏み倒すつもりは無かったけどね?
「分かった分かった!ちゃんと話してやるけど、お風呂から上がってからだ!じゃないと湯冷めして、風邪を引くことになっちゃうからね?」
「「「「『はーい!』」」」」
そう、元気良く返事をして各々湯船から上がり、脱衣場の方へと駆けて行く子供達を見て、随分と楽しみにされているんだな、と自分の過去に興味を持ってもらった事に嬉しい半分、でも聞き付けた噂が黒歴史であった割合が高い事に恥ずかしさ半分、と言った、何とも言えない様な感情を抱くのであった。
と言う訳で、次のイナからねだられた過去話一本と、その締めの後日談で一旦終了とする予定です。
多分、後十話位にて終わる予定なので、それまでお付き合い頂けると大変ありがたいですm(_ _)m
一応、次の話にて意外と人気の出たアルヴの今後についてが出てくる予定です。ご期待下さい?
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