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やがて魔王へと至る最弱魔物《スケルトン》  作者: 久遠


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後日談・零話

予定通り最終話です


―かくして彼の魔王は、神々との契約に従い、哀れなる人族達を魔境たる西部へ追い立て、大陸中央部から追放する事となった。


そして、その神々からの願いを叶えた対価として、彼の魔王は亡者を統べる『神』へと至る事となる。


かくして神へと至りし彼の魔王は、人族と亜人種達との全てに片を着けると、予てから婚約者達との約束であった、婚約者の方達との世界で初めての『結婚式』を上げる事になる。

これにより、彼の魔王の偉業や、奥方達との仲に肖り、結婚の際に『結婚式』を開くことが慣例となるのだが、それは別の話であろう。


そして、この地に生きたる我等とは、文字の通りに存在の『格』が異なる存在と至ってしまった彼の魔王は、元より人ならざる身ではあったが、こうなってしまっては統治も容易ではあるまい、と自身の国である『魔王国』の王位を返還し、次なる王へと魔王国の宰相であり、友でもあったアルヴを指名し、我等に対して次の様に言い残して奥方達と側近たるメフィストフェレス殿のみを連れて姿を隠される。



「増えよ、栄えよ、地に満ちよ。されども、『自重』を心掛けよ。なれば、我は何処かにて諸君らを見守り、危機が訪れる事有れば、全力にて諸君を助ける事を約束しよう。……なれど、『自重』を忘れ彼の人族達と同じ存在へと堕ちた時、我は諸君らを彼の人族と同じ様に刈り取る事となるであろう。

……努々忘れる事無き様に心掛けよ」



それ以来、我等はその言葉に従い、常に自らを律する事を心に留め置いた上で、人族の流刑地となった西部を除いた大陸全土へとその版図を広げ、繁栄する事となったのである。


そして、彼の魔王が姿を消してから、まだ約10年の月日しか流れていないが、それでも彼の魔王はこの世界を見守り続けて下さっていると言われている。


一説に依れば、実は彼の魔王は神々の住む神域ではなく、まだこの世界の何処かにいるのではないか?とも言われているが、まだそれを確認した者はおらず、彼の魔王が何処に居るのかは、誰も知らない。





******





……そう締め括られた本を閉じて、俺は、その本の筆者と思われる、何処か興奮した様子の男と、その筆者をわざわざここへと連れてきた、ある意味俺の縁者とも言える目の前の男へと声を掛ける。


「……まぁ、確認も何も、殆どそのまんまの史実が書かれている訳何だが、何故にわざわざ俺の処まで持って来たんだ?別に、確認するだけならば、お前さんでも大丈夫だろうに?実際に見ていたんだから」


そう言ってやると、俺達が表舞台から一応姿を消した事になってから10年は経っているのに、全く老けた様子の無いその無駄なイケメン顔へと、笑みを浮かべながらこう宣う。


「まぁ、そう言われてしまえば、その通りなのですが、さすがにそれでは、あまりにも面白く無いでしょう?コレはあくまで貴方のお話。主人公は貴方なのですから、その本人に確認が取れるならば、そちらの方が良いでしょう?ねぇ、教官殿(・・・)?」


「へいへい、そいつはごもっともな事で。まったく、ジョシュア(・・・・・)さんも大分言うようになったじゃないの……」


そう、俺の前にいる、この無駄にイケメンなエルフは、俺が過去に直接鍛えた事もあるジョシュアさんだ。

流石にエルフ族なだけあって、10年前から全くと言っても間違いはない位に老けている様には見えない。

……もっとも、年に一度は、当時(対人族戦時)の関係者達で集まる様にはしているので、たまには会ってはいたのだけどね。


しかし、そうやって顔合わせ自体はやっていたので、今回のジョシュアさんの行動には、疑問が残る。


「しかし、何でまたわざわざここまで来たんだ?こっちから許可しなければ、あの結界抜けてくるのって結構面倒だったんじゃ無いのか?」


俺達が今居る場所自体は、旧イストの街にある、あの木造建築なのだが、そこに入るまでの道にメフィストとウシュムさんとが、邪魔な連中が入ってこない様に、と空間魔法によって、結界を張ってあったのだ。

それを抜けてここまで辿り着こうと思うと、俺達側から許可を貰うか、無理やり抜けてくるかの二択なのだが、今回のジョシュアさんの訪問は、本当に突然のモノであり、俺達からの許可は出していないので、必然的に後者の方法で抜けて来ているハズなのだ。


「まぁ、許可を取ることも考えたのですが、同行者である彼がいたので、頑張って抜けてきました。大変でしたけど、初回はこうしないと駄目だ、と言っていたのは、教官殿だったでしょう?」


……だったっけ?

……あぁ、思い出した。

この拠点を隠蔽した時に、新顔を連れてくる場合は、結界を抜けられる程度の技量・力量を持っている事が最低限の資格だ!とか言っていた様な気がする。

最初の1~2年位しか発生しなかったから、すっかり忘れていたわぃ。


あちゃー、と思いながら、頭の後ろを掻いていると、それまで興奮気味ではあったが、俺とジョシュアさんが会話していた為に、黙って待っていたと思われる、同行者の青年?(エルフ族につき年齢不詳)が、その目をキラキラと輝かせながら口を開く。


「その!本の方はどうでしたか?!当時を知る人や、残されていた人族側の文献等から書き起こしたモノですが、自分的にはまあまあ良い出来だと思うのですけど、ご本人としてはどうでしょうか?あ、自分、その本を書かせて頂いたシェイドと申します!陛下のファンです!良かったら、握手お願いします!!」


いきなり、その種族特有の無駄に整ったイケメンフェイスを近付けながら、息を切って食い気味に発せられた言葉にタジタジとしながらも、ファンだと言われてしまっては俺も悪い気はしないので、誠実に答えることにする。


「お、おぅ、よろしくシェイド君。本は……そうだね。基本的には大丈夫だと思うよ?パッと見た感じは、確りと史実の通りに書かれていたし、当時の裏話的なエピソードも盛り込まれている。当事者しか知り得なかった事も混じっていた処を見ると、確りと裏付けも取っているみたいだから、大丈夫じゃないかな?まぁ、売れるかは保証出来ないけど」


そう答えつつ、差し出されていた手を握って握手して上げると、ガッツポーズをしてとても喜びつつ「ありがとうございます!」と、頭を下げていた。


「フフッ、良かったですね?シェイド君」


微笑みながら、彼に声を掛けたジョシュアさんが、今度はこちらに対して口を開く。


「……と、まぁ、彼を連れてきたのは、こんな訳でして。それに、コレはある意味教官殿の事を書いた様なモノですので、本人の許可なしに発行するのは、流石に不味いでしょう?」


まぁ、それはそうだろうね。

無許可発行はいく無い。



そんな感じで話は進み、大方の話題が出尽くしたと思われた頃だった。

ジョシュアさんとシェイド君が、二人で目配せをしながら、二人共が俺に真剣な眼差しを向けてきたのだ。


「教官殿、実は、一つお願いが有るのですが……」


「ん?何ぞ?シェイド君のメンバー入りなら、別段構わんけど?」


「いえ、それはそれで嬉しいのですが、実はこの本、まだタイトルが決まっていないんです。なので、出来れば陛下に着けて頂きたいのですが……」


……おいおい、それは筆者が考えておけよ。

でもまぁ、構わないっちゃ構わないんだよな。

……一層の事、以前から、自分で書く事が有れば、このタイトルにしよう、と暖めていたアレを提案してみるかね?


「……何か、候補的なのは有るのかね?」


「……一応、『魔王伝』だとか、『覇王史』だとか、『神へと至る道』だとかは考えたのですが、今一しっくり来なくて……」


そう、落ち込みながら答えるシェイド君に、俺は一つ提案することにした。



「だったら、これなんてどうだろうか?


『やがて魔王へと至る最弱魔物(スケルトン)


ってさ」

はい、どうにか完結まで持ってこれました。

それは一重に、こんな設定ガバガハであっちに行ったりこっちに行ったりを繰り返す様なこの作品を、ここまで読んで下さった皆さんのお陰ですm(__)m

『もっと続けて欲しい』との声も頂いた事も有りましたが、自分の中ではここまでしか物語を考えていなかったので、今のところは続ける予定はございません。ご了承下さいm(__)m

また、番外編等に関しては、『もしかしたら』書く……かも?程度には考えていなくもないので、期待しないで待っていて下さると有難いです。

最後になりましたが、400件近いブックマーク登録ありがとうございました。大変励みになりました。

では、次回お会いするのが、番外編になるか、別作品になるのかは未定ですが、いつかまた何処かでお会いしましょう。ノシ

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新作始めてみました クラス丸ごと異世界転移~無人島から始まる異世界冒険譚~ 宜しければ、こちらもお願いしますm(__)m
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