小話 習慣というか癖?
ちょっとした小話なので凄く短いです。すみません。
ではどうぞ。
「芋虫だ――‼」
「うわぁぁ!」
凄い勢いで自分の方に飛んできた芋虫を、シンはなんとか身体をずらし回避することに成功した。
「って、芋虫を投げないで下さいよ!」
「ああ……ごめん、つい」
「つい⁉」
「うん、そう、つい」
じと目で見てくるシンに、瑠華はにっこり笑顔で答える。
今いる場所は、炎獄のダンジョンの七階層。
ここまで獣系や鳥系の魔物しかいなかったが、七階層で虫系が出始めた。カマキリに似たものやミミズ、ムカデといった気色の悪いもの(みんなデカい)など様々だ。
その中で赤い芋虫が出てきた時、瑠華が唐突に芋虫を鷲掴みにしてシンへと投げつけたのである。
至極楽しそうに。
「ついってなんですか……ついって………」
シンは瑠華にはなにを言っても無駄だと諦めたのか、ブツブツと小声で文句を言っていた。
「いや、ごめんって、シン。なんというか習慣というか、癖なんだよ」
「………癖?」
「そ。芋虫を見ると投げつけたくなる癖」
「…………どんな癖ですか?それ」
本気で呆れたような視線を向けてくるシンに対して、瑠華はやはりにっこり笑顔を返す。
ちなみに“誰に”投げつけたくなるかは、秘密。
「すまないな、シン。主には後でキツく言っておくから、許してやってくれ」
見かねたテトが、シンに優しく語りかける。シンはそんなテトに、小さく頭を下げながらお願いをした。
「分かりました。よろしくお願いしますね、テト」
えぇ~、テトの小言も説教も勘弁なんですけどぉ~。
「主の自業自得ね。諦めなさい」
まるで心を読んだかのようなタイミングのリトの言葉に、瑠華は肩を竦めて忘却の彼方へ、記憶を投げ捨てる。
「さて、先に進みますか!」
こういうことは、あやふやにしてしまうのが一番です。
読んで頂いてありがとうございました。




