00 再びの邂逅
「英雄は異世界で再び勇者と邂逅す」の改訂版の小説になります。話の大筋は変えていませんが細かい設定などが変わっています。この小説では登場人物の細かい心理や物事の裏側などを書いていきたいと思っています。その為話が進まない、ぐだぐだしているなど感じることがあるかもしれないことはご了承下さい。
初めましての方も以前読んで頂いた方も楽しんで頂けたら幸いです。
ではどうぞ。
こんな日がくるなんて、夢にも思わなかった。
“彼”を失ったあの時から、もう二年以上の月日が流れた。
この世界に召喚された時からいつも隣にあって、時には背を預けて、当たり前のように傍らにあった存在。
この世界でただ一人、同じ世界を知っている存在。
心から安心して寄り添い、自分の全てを受け入れ、そして全てを許してくれるたった一人だけの存在。
言葉では表現できない、唯一無二の人だった。
そんな人を失った。
失ってから、まだ二年しか経っていない。
されど二年。
長すぎる二年だった。
彼を失って出来た心の空虚は、常に傍にいてくれる愛する人や仲間達では埋められない。
それほどに俺にとって、彼の存在は大きかったんだ。
彼は、いつも傍に居てくれた。楽しい時も、嬉しい時も、悲しい時も、辛い時も、大変な時も、泣きたい時でさえ、彼は当たり前に隣に居てくれた。
けれど俺は、“あの時”、彼の傍らに居なかった。
傍らに在りたかったのに。
“彼”は、それを許してはくれなかった。
相対するように少し距離を置いて立つ、殺気のような壮絶な闘気を放つ相手を前に、俺は聖剣を手に静かに心を落ち着かせ、集中する。
努めて冷静でいなければ、“彼”に向かって叫んでいる心が暴れだしそうだから。
“彼”だ。
確かに、“彼”だ。
俺が間違えるわけがない。
目深に被ったフードと仮面で顔は見えないけれど、楽しそうに不敵に笑う口元も、綺麗な声なのに存外に悪い口調も、秀麗な上品さと野暮ったさを併せ持つ仕種も、誰よりも上に立つその剣技も、暖かくて大きな背中も、全てが“彼”であると示している。
伸ばせば手が届く場所に“彼”がいる。
どうして?どうして君が此処にいるの?君は死んだはず。俺の目の前で、確かに君は死んだ。なのにどうして、君は今其処にいるの?
ねぇ、どうして⁉
俺の心が叫んでいる。
きっと“彼”なら、耳を澄ませば俺の心の声が聴こえていただろう。
「………久し振りだね、僕の勇者」
ああ、本当に君なんだね。
「………おかえり、俺の英雄」
今再び此処に、英雄と勇者の邂逅が果たされる―――
読んで頂いてありがとうございました。
短いプロローグでした。
次からは過去についてです。




