エピローグ
大洋の波は、小さな船底を撫でるように揺すり、海上の風は、その帆を照り付ける日差しのごとく強く押した。小さなアベベ号は、大きな海を、マストを軋ませながら軽快に進んだ。
五週間後、マルコはこの自分たちの船で、再び例の島に戻ってきた。海図に載っていないその小さな島の位置を、さすが水先案内人のマルコは、正確に把握していたのだ。
マルコは船員に小舟を降ろさせ、クンタを連れて、あの小さな砂浜に漕ぎ着けた。
「ワタシたちの島」
クンタはポツリと言った。そして上陸後、マルコが一直線に向かったのは、大きな椰子の木だった。ここに漂着した日、その下で穏やかな眠りについた、例の椰子の木である。
「また “ここ” に、戻ってきた」
「ここは?」
クンタが訊いた。
「 “ここ” で僕たちの冒険は、始まっていたんだ」
「ここ、何がある?」
「あの嘘っぱちの地図。“ここ” には真実が埋まってるはずだ」
そして、マルコが指差した “ここ” こそが、あの赤い✘印の場所だった。
「 “ここ” ・・・」
「そうだ」
この時、マルコは確信していた。この木の下に財宝が埋まっていると。なぜならあの日、夢の中で見た金貨の山が、マルコにそう思わせたのではなく、あの時、夢の中で聞いた音、
『★グァッチャンッ!!!』
椰子の実が砂に落ちたにしては不可解な音。夢の中での勘違いだと思っていたのだが。
「 “ここ” を掘れ」
マルコはクンタにその下を掘らせた。するとすぐに、古い重厚な木箱が顔を出した。二人はさらに掘ると、それはいくつもいくつも。
「キャプテン・モローの隠し財宝だ。これでフランコに対抗できる」
そう言うとマルコは、木箱を斧で叩き割った。あの夢の時と同じように。
そこには国が買えるほどの、大量の金貨が入っていた。
おわり




