後日談 西園寺 玲奈のその後
フォルス王国神殿──
「⋯⋯え、えーっと⋯⋯ロゼリオさん、今日はその⋯⋯お暇でしたら──」
「聖女様、またですか」
ぴしゃりと冷ややかな声が割り込む。告げたのは長身の神官。表情は真剣そのもので、手にはなにやら分厚い報告書。
「あなたの言動、すべて教皇様に報告しておりますので」
「うっ⋯⋯チクったわね!? やっぱあんた陰湿系男子よね!?」
それからほどなくして、玲奈は教皇に呼び出され、涙目でこっぴどく叱られることになる。
「この世界に召喚された使命を何だと思っておる! 聖女とはっ、清らかで──!」
「清らかでネットもない生活、無理だしぃ⋯⋯」
それでも任務は果たした。
玲奈は一年、フォルス王国で聖女としての責務を──いや、ほとんど神官たちに丸投げしつつも──何とか果たしたのだ。
一年後──
「え? もう帰るのか?」
「当然でしょ。スマホもSNSもないとか人権剥奪レベルだっての」
最後まで口は悪かったが、その目にはどこか未練のような色も宿っていた。
でも、彼女はちゃんと自分で決めて、自分の世界に帰っていった。
このあと紗凪とロゼリオが噂で
「あの聖女、ほんとに帰ったんだね⋯⋯」
紗凪は窓辺に肘を着きながらロゼリオに話しかけた。
「⋯⋯なんかんだで、元気そうだったし、まぁいいか」
「⋯⋯戻ることができて、よかったのでしょう。
私は貴女と一緒なら何でもいいです。」
紗凪の後ろからソッと腕——蔦を絡めるロゼリオ。
どこまでも甘い雰囲気を漂わせるのであった。




