閑話 捕まってしまった
「間抜けじゃのう」
「……言い返せないな」
ローラント城の謁見の間にベインはいた。
ベインは軽く辺りに視線を走らせる。
広さも高さも一般家庭の倍以上。
白を基調とした内壁に真っ赤な絨毯が敷かれ、兵士たちがずらりと並んでいる。
兵士たちはいずれも背に大きな翼を持つものばかり。
しかも武器を構え、こちらに向けている。
「……とりあえず、”これ”外してくれないか」
ベインの足には輪っかが取り付けられ、それを中心に魔法陣が広がっていた。
とても強力な拘束用のものだ。
「分かっておろう。それはできぬ相談じゃ」
部屋の最奥。数段の階段の上にある玉座には老けた竜人が座している。
赤い眼に赤い髪、顔に深く刻まれた皺は相当高齢であることを示す。
「はぁ……俺も悪かったが、まさか”裏口”にトラップがあるとは思わなかったもんでな。
それもスコールが仕掛けておいた、特別性対レイズ用の最高級の拘束魔道具とか」
「あやつは何を考えてかようなものを置いたものか。そしてそれは儂らの武具では破壊できぬ。
さきほどの兵たちの攻撃でさえ無傷なのじゃ」
「だろうな。もういい、これはこのまま放っておくとする」
あっさりと諦めたベインは、その場にドサッと腰を下ろした。
これを誰も咎めはしない。
この場にいるのは皆個人的な知り合いであり友人だ。
「飛空艇を貸してくれないか? アルハザードまで行きたい」
「タダとは言わんぞ」
「対価はなんだ」
「儂の孫娘を連れ戻してくれんか。紅龍隊などという野蛮な者どもを連れ遊びまわっとるらしいんでのう」
ベインは少しばかり考え、それにあたる人物を思い出した。
「ああ、クレナイか。あいつ、王位継承権第何位だっけ?」
「それは儂らの事じゃ。言えぬ」
「そうか、それととっても大事な事なんだが、”これ”がある限り俺はここから動けないわけだが」
自身の足に付けられた輪っかを指さしながら言う。
対レイズ用なだけあって耐久性は折り紙付きだ。
「そうじゃったか……」
「俺としても一週間で戻るって言った手前、早く帰りたいんだが……」
謁見の間をどうしようもない沈黙が支配した。
次回更新、約2時間後です。




