その2
「これが、我が話せる全てだ」
情けないだろうと活力を無くした相手に出会って間もないが破天荒にダダをこねるクロウの方が俺としては気がラクである。い、一応言っておくが決してマゾではないので誤解して欲しくないのでここは率直な言葉を彼女に話すべきだな。
「すげーな」
「•••っ!どこが凄いと言う? 我をバカにしているのか」
「バカにしてないさ。勇者が万全の準備をしてようやく捕えられたわけだ。クロウはすげー強いだよ。もっと自分に自信持って胸を張ってもいいと思うぞ」
「•••っ‼️」
頬を赤らめ耳をぴょこぴょこと動く。
褒められるのに耐性がないのかそわそわと身を捩り動揺するクロウに後押しする
「クロウは強い!よぉ、勇者が恐る災禍の黎獣‼️」
「ふっふーん! そうじゃあ。我こそ勇者も脅威するクロウ様であるぞ!」
自信が無さげなクロウが吹っ切れたのか手のひら返しで上機嫌になりかわる。
「存分に我を称えるがいい」
「流石はワガママな黒狼だ!」
「そう我こそワガママの黒狼!•••••ってなわけあるかぁ——ぁ!」
近場のペットボトルを投げつけられる。
勢いで言ってみたが駄目だったようでクロウと小競り合いの末食べ物で釣る手段を取るほかなかった。
その後。疲労か食後の消化による血糖値の低下か強力な眠気がやってきたのかクロウがあくびをもらす。
「ふぁ〜〜〜••••ねむぃ•••••」
目蓋をしばしば閉じ出し始めふらふらと体を揺らす。
「ちょっと待ってろ。すぐに寝具を用意すからな」
美少女化したクロウを地べたで寝かせるのは気が引け颯爽と枕と寝袋を取り出す。
「ふとん?うどんの一種か何かか?我はもう食べる気はせんぞ」
「布団は食べ物じゃあない。が、寝るには最適なアイテムだ。これの上で寝ると気持ちぞ」
平な地面に用意してクロウを誘導する。
「おお、ふかふかで気持ちいのう」
クロウが使っているクッション製の布団は好評でだった。
ゴロゴロと動くとピタリと止まり、数秒足らずで熟睡状態である。
「••••••すぅー、すっ」
「寝るのはや!」
静かな吐息を漏らす。
マシュマロのようなほっぺを突きたくなるような無防備で可愛い寝顔。ちょっかいかけたら怒られそうなので我慢する。
「俺もそろそろ寝るか。おやすみクロウ」
「ふにふにぁ——、もうたべられぇ〜ん」
ランプの灯を消すと真っ暗になり岩石のせいで星空は見えない。
なので、異世界に来て初めての夜には少し物足りないが安全な場所と頼りなる相棒がいるおかげで緊張せずに寝るれそうだ。
「やめ、それぁはぃ——•••••うっ。もう、これぃじょ•••••はいらん♪」
「(ね、寝れねぇ——え‼️)」
クロウから艶かしい唸り声に健二は妙なテンションになりそうでしばらく寝付けないまま時間だけが過ぎていく。




