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白豚聖女と蔑んだのは貴方でしょうに。  作者: 結城 からく


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2/2

後編

 三年後、私は王都の城にいた。

 第一王子レンフォードが呪いを受けて寝たきりになっているのだという。

 それで私に浄化任務が下ったのだ。


 私は城の廊下を駆け足で進む。

 ところがレンフォードの部屋に辿り着く直前、立ちはだかる兵士に止められてしまった。


「どいてください!」


「これより先の立ち入りは許可されていない」


「レンフォード様の治療に来たのです!」


「報告は受けていない。帰れ」


 兵士は頑なに行く手を阻んでくる。

 任務で来たというのにどういうことなのだろう。

 明らかに私の来訪が通達されていない様子だった。


(まさか誰かが妨害している……?)


 私はその可能性を訝しむ。

 同時に背後から怒鳴り声が発せられた。


「一体何の騒ぎだ!」


 やってきたのは第二王子クリスだった。

 三年前より背が伸びて逞しくなっているが、意地悪そうな表情は当時のままである。

 兵士はクリスに報告をする。


「この者がレンフォード様の治療に来たと言っているのですが……」


「ほう」


 クリスが私をじろじろと観察してくる。

 その目つきに嫌なものを感じた。

 彼は下卑た欲を隠さず私に提案する。


「聖女にしておくには勿体ないな。俺の愛人になるか」


「…………」


 この三年で私は大幅に痩せた。

 過酷な鍛錬を乗り越えて、聖力を使いこなせるようになり、贅肉が付かなくなったのだ。

 それがクリスの好みだったらしい。


 嫌悪感を覚えながら、私は無言でクリスに詰め寄る。

 クリスは感心した様子で微笑んだ。


「ふむ、素直だな。いいだろう、特別に――」


 次の瞬間、私は渾身の力でクリスをぶん殴った。

 クリスは鼻血を噴き出しながら吹っ飛んで壁に頭を打つ。

 私は驚愕する兵士を押し退けると、そのままレンフォードの部屋へと突入する。


 レンフォードはベッドで静かに横たわっていた。

 意識はなく、ただ苦しそうに呼吸を繰り返している。


 私はすぐさま駆け寄って浄化を開始した。

 レンフォードの顔に手を添えて聖力を注ぎ込むと、彼の表情が次第に良くなっていく。

 やがて彼は目を開けて私を見つめた。

 安堵した私は優しく声をかける。


「レンフォード様、あなたは……」


 刹那、レンフォードが私を抱きしめた。

 彼は振り絞るような声で言う。


「ありがとう。君のおかげで目覚められた」


「聖女として当然のことをしただけです」


「そんなことはない。君は見違えた。初めて会ったあの時から途方もない努力を積んだのだろう。単なる外見ではない……内面の成長を感じる」


 彼の言葉に私は驚く。


「あの時と別人なのに……私だと分かったのですね」


「間違えるものか。今も昔も君は美しい」


 部屋の扉が乱暴に開かれた。

 顔面蒼白のクリスがふらつきながら室内に入ってくる。

 彼は憎々しげにこちらを睨んでいた。


「ぐぅっ、貴様……呪いを……!」


「呪詛返し……犯人は貴方だったようですね」


 私は冷淡に指摘する。

 浄化の際、私は呪いの発生源を辿った。

 それによってクリスの企みであることが分かったのだ。

 彼は懐に呪物を隠し持っていた。


 ベッドから起き上がったレンフォードは悲しげに問いかける。


「クリス……なぜ私を……」


「貴様を殺せば、俺が王になる……! せっかくの計画が、すべて台無しだッ!」


 そう叫んだクリスは吐血して倒れた。

 逆流した呪いで苦しむ彼は、ぎろりと私を見て命じる。


「おいお前っ! 俺の呪いを、早く浄化しろ!」


「お断りします」


「な、なぜだ!?」


 激昂するクリスに対し、私は静かに言い返した。


「白豚聖女と蔑んだのは貴方でしょうに」

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