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告白の、その後

「なんかもう頭が痛くなってきた。とにかく一旦考えさせてくれ…」


190cm佐藤先輩が長い体を丸め、頭を抑えたまま力なくそう告げる。


充分です!


だってさっきまでは単に断る気満々だったのが、ちょっとは検討しようかな…ってとこまで来たんだし。むしろ大昇格ですよ!


「はい!ゆっくり考えて下さい!お友達さんも、ありがとうございました!」


満面の笑顔でハキハキ答え、ついでにお友達さんにも勢い良く頭を下げた。先輩が譲歩してくれたのも、お友達さんのお力添えあっての事だし。


一瞬ポカンとした顔をして、お友達さんはまたも笑い始める。私よりもさらに笑いの沸点が低い人みたいだ。190cm佐藤先輩はそれを呆れたように一瞥して「ほら、もう行くぞ」と促した。


待った!


まだ行かれては困る!肝心の確約が何もとれてないじゃないか!残った気力を全て振り絞り、私は全力で叫んだ。









そしてあれから1ヶ月。


私は望み通り190cm佐藤先輩と登下校を共にさせていただいている。ただしお友達さんも一緒の仲良し3人登下校だ。


「まだ『考え中』かぁ?図体の割にハッキリしねぇヤツだな」


「図体は関係ないだろう。…ていうか、なんかお前に似過ぎてて彼女って気がしない」


というかなり微妙な理由で今だ色良いお返事はもらえていない。そんな私の今のポジションはあの時お願いした「可愛い後輩ポジション」だ。


「そんなに気に入ったならむしろお前が付き合え」


「俺には毎日ユキちゃんを爆笑させられる程の天然スキルはねぇよ。残念だがユキちゃんの期待に応えられるのはお前だけだ!」


そう、190cm佐藤先輩はさすがだった。


昨日だって車がはねた泥水を一人だけなぜか見事にかぶり、避難した先のコンビニで滑ったあげくに商品棚を一部損壊し、さらにはそれに驚いて転んだ女の子を助け起こそうとしてギャン泣きされる、という三連コンボを成し遂げていた。


「いや、天然期待されても嬉しくねぇよ」


「まったまたぁ!満更でもねぇくせに!お前この頃よく笑うようになったぜぇ?」


あ、それ私もそう思う!

出会った頃は何かハプニングがある度に真っ赤になって恥ずかしそうだったのに(それもツボでしたが!)この頃は私やお友達さんが爆笑していると、つられて笑いだす事があるんだよね!


「それは、彼女につられて…」


190cm佐藤先輩が気まずそうに口ごもる。


「あんまり、楽しそうだから…」


「だよなー!お前らお似合いだって!」


頑張れお友達さん!もう一押し!


心の中で盛大にエールを送りつつ、幸せな気分で帰途につく。このままでも充分楽しいんだけど、一生190cm佐藤先輩のお側にいたいから、いつかは彼女になれるといいなぁ…。


ふわふわとそんな事を考えていたら、お友達さんがこっそりウインクしてくれた。なっちゃん曰く、このお友達さんだけは大事にしないといけないらしい。


うん、全力で応援してくれるありがたい人だもん、そりゃあもう大事にしますよ!


「ほらユキちゃん!もっとガーっとアプローチしないと!こいつ意外と押しに弱いから!」


「ラジャーです!」


飛び付こうとしたら避けられました…。

しかしそこで終わらないのが190cm佐藤先輩。避けた拍子に買い食い中のアイスが綺麗な弧を描いて飛んでいき、何故か路上のゴミ箱にジャストミート!


………ダメだ、楽しい!


悲しそうな瞳も含め、やっぱりどストライクですよ190cm佐藤先輩!!


いい雰囲気とかなりそうな予感は一切ないけどもういいや。一生お側にいられますように!

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