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その断罪、すでに三回目です  作者: あめとおと


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1



王城の大広間は、やけに静かだった。


ざわめきはある。

だが、それは熱ではなく――冷えた視線の集まり。


「レティシア・フォン・アルヴェイン」


名を呼ばれ、私は一歩前へ出る。


視線の先にいるのは、婚約者である王太子。


その隣には――見知らぬ少女。


「貴様の罪は明白である」


ああ、来たのね。


「毒の混入、侍女への暴行、そして聖女への嫌がらせ」


どれも、初めて聞く罪状だった。


けれど私は驚かない。


ただ、ゆっくりと首を傾げる。


「証拠は?」


「証人ならここにいる」


王太子が少女の肩を抱く。


少女は震えながら、私を指差した。


「この人が……やりました……っ」


……なるほど。


“そういう筋書き”なのね。


「他にも証言はある。お前の側近すら――」


「もう結構ですわ」


言葉を遮ると、場の空気が揺れた。


私は一歩、前へ。


そして――微笑む。


「その断罪、見事ですわ」


「……何?」


「よくできています。少なくとも、“初見”なら騙されますもの」


ざわめきが強くなる。


王太子の眉が寄る。


「何を言っている?」


「ですから」


私は、彼をまっすぐ見つめた。


「その流れ、三回目なんですの」


――沈黙。


誰も、理解できていない。


それでいい。


「一度目は、何も分からず処刑されました」


一歩、また一歩と進む。


「二度目は、逃げました。でも無駄でした」


王太子の顔色が変わる。


「そして三度目」


私は、静かに頭を下げる。


「ようやく“配役”が分かりましたわ」


顔を上げる。


その時にはもう、笑っていなかった。


「次は――こちらの番です」


その瞬間。


床が、光った。


魔法陣。


誰かが息を呑む。


「なっ――」


「安心なさって」


私はドレスの裾を摘み、優雅に礼をする。


「今回は、きちんと終わらせますから」


光が、すべてを飲み込んだ。


――そして。


次に目を開けた時。


私は、知っている時間に立っていた。





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