人魚の国
みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
(閑話になります。)
こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
said ある人魚の少女???
兄が外の世界を見たいと国を飛び出してそろそろ30年。今頃どうしているのかしら。あのお気楽な腑抜けた顔もすでに記憶がおぼろげだわ。
元気だった父母も前回の戦で亡くなってしまった。人間の国ほどではなくても、海の中にも魔物はいるし、水属性の魔族たちの争いもある。
人魚は足を生やして人間のフリもできるし、陸でも生きてはいけるからほかの海の魔族からは距離を置かれやすい。
それにどこか楽天的というか、あるい享楽的というか、とにかく人魚という種はわたしには無計画な人たちに思えるの。
人口がある程度いるから国力を保てているけれど、なんだか不安でならない。海の中も混沌とした世界だ。そして武力や魔力の強い者でないと住みにくい。
けれど海は広大で、大いなる恵みを平等に生きるものすべてにもたらす。厳しくてやさしくてわたしは海から離れるつもりはない。
兄は何にでも興味を持つ子供のように無邪気で人懐っこい性格で、一族の皆に可愛がられていたのに出て行ってしまった。
父も母も愛する息子のやることは止めないが、寂しく思っていたはずだ。もともと束縛を嫌う自由な人魚の中でも兄は好奇心という性質まで持ってしまったのがよかったのか悪かったのか。
海では昼も夜もない。人間と違って毎日働く者もいないし。生まれて子をなし老いて死ぬ、弱ければ早く死に、強ければたくさんの子をなして長生きするだけ。
シンプルで自由なのが海の生き物。
わたしも子をなさないといけないのに、同族にはまるっきり心を惹かれない。なぜなんだろう。兄のように陸に行きたいわけでもないのに。
わたしは父母の眠るこの海で、帰ってくるかもしれない兄を待ちながら年老いて行くのだろうか?父母のために一度は兄に戻ってきてほしい。
できたらそのとき、兄に伴侶がいればわたしも安心できるのに。人魚にも番いを持つ者がいる。番い同士だと双方の種を偏らずなせるらしい。
番いは半身、だから番いを持てば人魚が必ず生まれる。その時里帰りする場所くらいは守ってあげたい。
あの呑気な兄は国に妹がいたことさえ忘れているかもしれないけれど、そのかわりにわたしは忘れないでいてあげよう。
できればそのときにはわたしも伴侶がいたらいいのに。いくら人魚が長生きでいつまでたっても若い見た目のままとはいえ、わたしの気分はかなりのおばあちゃんだ。
ほかの人魚は見た目のままに若々しいことを当然のように受け入れているのに、周りからは頭がかたいとか、変わり者と思われている。
魔族ならば力を示さないとならない。王様がつぎの戦も勝てれば、また少し平和が保たれる。つぎの戦にはわたしも呼ばれるだろうか?
同族のため、故郷を守るため、父祖の眠る地を守るため、わたしも戦う、そして生き残る。お帰りなさいと言ってあげるために。
たくさんの作品がある中で
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