ドラゴン
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こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
side 主人公
よく見ると青い竜を周りが囲んでいるように見える。前に出ている黒い竜は青い竜が飛び出さないように気をつけているようだ。
気になってこちらの様子も確認すると、連れてきた魔族たちは微かに震えている。なんで?と思って狼さんとハーピーさんを見ると、竜種の威圧は結構キツいんだという。
そうなのか、と魔法障壁を強化して魔族たちを後ろにさげさせた。ただ番いの人にはより前に出てもらった。そしてわたしが一番前にでて話すことにした。
「あのう、攻撃はしないでくださ〜い。この方の番いの方ですよね。攫われた番いの女性をお国に返そうと送って来ました。警戒されているのは分かりますが、あやしい者ではありませんよー。」
ハーピーさんと狼さんがなぜか同じように、手で顔をおおってため息をついている。えっ、ひどい。ほかになんて言うのさ。彼女の意見を聞こう、当事者だし。
「番いの方がいらしているということは、あなたを探していたのだと思うのですが、どうしますか?あなたの希望なら送るのはここまででもいいですよ。せっかくですから番いの方と一緒にお帰りになるのもいいでしょう。」
竜人の彼女は、頷くと前に出て青い竜に手を伸ばした。
「もう2度とお会いできないと覚悟しておりましたが、こうしてあなたの元に帰って来ることができました。この方々がここまで連れてきてくださったのです。」
青い竜は一瞬で人間サイズになると彼女を抱擁した。泣いているようにも見える。竜人の女性は恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうにしている。
周りの竜たちは一応ホッとした様子だが完全に警戒を解いてはいない。まぁこのメンバーを見るだけで不審に思うのも無理はない。
後ろから白い竜が前に出てくると、友人の番いを連れてきてくれてありがとう、と礼を述べられた。
「感謝はもちろんしているが、あまりにも不可解なので、説明をしてほしい。我ら竜種が一度得た番いを失うことほどの悲劇はない。だから絶望と思われた番いの生存は、彼だけでなく種族としても喜ばしいことなのだ。」
「分かりました、ご説明はしますがお時間はありますか?こちらの魔族の方々も同様にひどい目にあわれたのです。あとは人魚の方を家に送って行けばいいのですが、ここまで来るにもそれなりに時間がかかりましたので、半日くらいはお時間のある時の方がいいと思います。」
分かったと白い竜は言い、他の竜たちと話し合う。その時、青い竜と一緒にその番いの女性がどうか竜人の里によってほしい、どうか家族からの礼を受けてほしいと言う。
青い竜も助けられた礼をしないなどありえぬ、と同意しているようなので、わたしは人魚の男性に帰宅が遅れても平気かたずねた。
すると、気ままに飛び出した自分の帰りなど家族は誰も気にしていないだろう。それこそどこかでのたれ死んでいると思っているかもしれないそうだ。
なのでお邪魔することになった。ここからそう遠くないらしく、竜たち曰く10分くらい飛べばつくそうだ。
飛び始めてすぐ気になった。番いを抱えた青い竜が遅れがちなのだ。皆に声をかけて立ち止まった(空中で)。
青い竜にたずねると、かわりに黒い竜が答えた。コイツは番いをろくに眠らず食わずで探していて体力が落ちているんだと。
うわー、そりゃお友だちも心配するわ。そんな体力、気力、判断力がみな落ちていたら悪いことに巻き込まれかねないもの。
青い竜はさすが竜種、とても麗しい姿をしていた。うすい水色から濃い紺色のグラデーションになった長い髪、とろりとした蜂蜜色の瞳、逞しい大きな身体と、どれをとっても一級品で思わず我を忘れて血迷う人が出てもおかしくない。
わたしはとりあえず、青い竜に回復魔法をかけ肉を差し出した、食えと。魔獣一体だが竜の本体を考えれば、ほんの一口だろう。
青い竜はしばし躊躇したが、本体の姿になりバクバク食べてくれた。わたしは問答無用で青い竜ごと魔法の中に取り込むと、先程の竜たちくらいの速度で飛ぶ。
しかしすぐに竜たちが先程よりもスピードをあげて飛ぶのでそれに合わせて速度を上げる。どうやら竜たちは青い竜のためにゆっくり飛んでいたらしい。
青い竜を気にしなくていい分どんどん飛ばす。あっという間に到着したのでホッとした。やっぱりボロボロの竜を見ていると早く休ませてあげたいもの。
竜人の里では、お祭りか!というくらい歓迎された。番いの女性の家では、それこそ下にも置かぬもてなしぶりだ。
家には怪我をしている兄の人、ほかにも怪我人が目についた。なぜ怪我をしているか聞くと襲撃された時に彼女を守ろうと戦い負傷したそうだ。
里には怪我人が多かった。なのでもう広場に集まってもらい皆に回復魔法をかけた。そのあとは彼女の家にもどりもてなしを受ける。
彼女の家はところどころ戦闘の跡を残していたが、住むには問題ないようだった。歓迎ぶりは本当だが、里にはどこか元気がないようで番いの女性も気にしていて理由は食糧不足らしい。
なんでも、有力な家の庇護のもと取り引きをしていたが、有力な家が潰れて力関係が弱くなったために十分な取り引きが出来ていないそうなのだ。
有力な家が潰れたのは自業自得なのだが、なんとか強い後ろ盾が必要で番いの夫である青い竜に期待が集まっているとのこと。
彼らにとっては番いの女性の婚姻が里全体の存亡にまで関わっているということだ。やれやれ。とはいえ、このままでは食べ物もままならない様子に放ってもおけず、肉をガンガンと提供する。
庭に積み上がった20体もの魔獣の肉に里人が皆びっくりしている。これで少しはなんとかなるといいけど。
たくさんの作品がある中で
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