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治療院の見習い1/2

みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

side ある治療院の見習い???


 あたたかい。


 わたしが島にきてはじめて感じたことだ。ついさっきまではジメジメした小屋の中の寝台に寝ていたのに。本当に違う場所に来たんだ。


 わたしがさっきまでいたのは、貧民街にある廃屋だ。一応住まいだから小屋といっているが、屋根は傷んでところどころ隙間が空いていて、晴れている時は光が入る。


 でもそれって雨の時は雨漏りするってことでもあるし、雪の日は床に雪が積もることになる。

 

 壁も床もやっぱり傷んでいるから、隙間があったり床が抜けていたりする。でもわたしだけが特にひどい家に住んでいるわけではない。


 貧民街の住人は似たり寄ったりだと思う。それにまったく雨風が凌げないことに比べたら、ずっとずっと恵まれている。


 どんなに傷んでいてもここには屋根も壁もある。野晒しで木に身体を寄せてふるえる日々を過ごしたこともある。


 母と一緒にスラムに身を寄せて13年たつ。村が魔物の被害で全滅し、わたしは両脚を食いちぎられた。母に背負われて王都に流れてきてからは、物乞いをしながら生きてきた。


 毎日母が捨ててあった壊れかけた荷車にわたしをのせて物乞いをする。そんな日々でもわたしの身体がマシな間は母と2人まだ幸せだった。


 でも去年あたりからわたしの脚の怪我が悪化した。古傷から病気が入ったのか、痛むようになり動くこともままならなくなった。


 母は1人で物乞いをしながらわたしの看病までしてくれた。でも母はどんどん痩せ細り、わたしは母にどうか殺してくれと頼んだ。


 母はわたしに生きていてくれるだけでいいと、物乞いを続けた。わたしは正直死にたかった。わたしのために母が死んでしまうと思った。でも痛みで身体も思うように動かない中、ついに母が亡くなった。


 母がスラムの人たちに頼んだのか、時々スラムの人が世話をしてくれる。でも、母の亡き今スラムの人たちにまで世話をかけるなんて耐えられない。


 そう思っていた時に宝珠がわたしのところに現れた。


 痛みで思うようにならない中、必死で宝珠の語りかけてくる言葉を聞き縋るような思いで願った。


 まさか本当に回復するなんて。


 もうお荷物は嫌だった。歩けなくなって長い。何度死にたいと願ったかわからない。母はわたしを生かしたかった。今生きているわたしはどうしたらいいんだろう。


 そんなふうに少しぼんやりしていたら、声をかけられた。集会所?に集まるようにと。


 わたしは歩けるか不安になったがちゃんと脚が動いて歩くことができた。視界が違う。なんだかクラクラする。こんなふうに移動すると見えているものが変わる。速度が違う。


 他の人にとっては当たり前の景色がわたしには未知の世界。土の感触。いざって移動するのとは違う、擦れるような痛さじゃない。足の裏の土を踏む痛さがこれか。


 他の人のように歩きたいと思っていた。立っている人がこわかった、大きいから。でも今見ていると立っている人があまりこわく見えない。


 集会所につくと、皆どうしたらいいのか不安そうにしている。わたしだけじゃない。皆不安なんだ、そう思うとホッとした。


 この場所の説明は明日の朝してくれるらしい。今日は疲れただろうからと毛布を渡された。1人で毛布を抱えて立っていると、休む場所の希望を聞かれた。


 今日まで1人だったから、いきなり人に囲まれたら落ち着かないかもと思い1人を希望した。


 小さな小屋で寝るように言われた。横になっても夜空は見えない。なぜなら屋根に穴が空いていないから。隙間風もない。寒くないってどうしたらいいんだろう。


 結局、床に毛布を敷いて寝た。まったく寒くなかったから、ボロのままでも平気だった。

 

 


 

 

 

たくさんの作品がある中で

お忙しい中お読みいただきありがとうございます。

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