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やっと王都で回復の儀

みなさんの目にとまりお読み頂ければ嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。


こちらの作品はカクヨムさんでも投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

side 主人公


 王様から教会をなんとかしてくれ、と頼まれた。もともと潜入調査するくらいだから相手をするのはいいのだが、あとから文句を言われないように言質をとりたいものだ。


 お墨付きとかでもいい!聞いてみたら、王命を無視した段階で王国は教会の庇護を取り下げ、すべての援助を打ち切ること。


 また与えていた特権を返上させ、免除していた税金を過去10年に渡り追徴課税することを決定している、というので遠慮しないでやらせてもらおう。


 ウミは全部出さないと怪我はよくならないからね。


 地下から行こうかとも思ったが、せっかく王様のお墨付きがあるので表から行ってみよう!


 門のところまで来た。立派な門だ。なんだか教会っぽくない。なんでこんなに頑丈そうなの?神の家っぽくないんだけど?


 どんどんと叩くが反応がない。


 ヒョイっと門を抜け中を見回す。中は思った通りヒドイ有様で、卒倒しそうになる。

 

 これは呪詛返しにも関わっていたということだろう。やれやれ、何人くらい無関係な人がいるかなぁ?


 ほんの少しは教会らしく清廉潔白な人物がいてほしいものだ。


 王宮がつけてくれた騎士団も顔が青い。もう一度門を閉めてもらう。この有様を住民たちが見たらパニックになりそうだ。


 建物?神殿?寺院?分類はよくわからないが神聖な感じのする建物の中にはいる。


 そこもヒドイ。何処もかしこも人が倒れている。これって、罪人か被害者の二択ってこと?


 実は王族の隷属の魔道具の騒ぎには続きがあり、主人が全員判明しているわけではないのだ。魔力を辿ったところ教会に行き着いたがその先が未確認の状態なのだ。


 さっきわたしは魔法で門を開けたが、たぶん他の人たちだと開けるのは苦労すると思う。古代の神聖魔法なのかやたら厳重でわたしは聖属性魔法で開けたから。


 とにかく中を調べないと。被害者は助けるし、昨日まとめて連れて行かれた人たちのその後が気になる。あと、スケルトンナイトたちもどこかにまとめられていたようだし。若者のことも忘れていないよ。


 それにしても、教会内部まで隷属の魔道具が使われているとは。よくこんなに数があったものだ。よほど普及しているのだろうか?


 とにかく騎士のみなさまに手伝ってもらい、広い場所に罪人と被害者にわけて寝かせてもらう。治療するにも、罪状を確認するにもなるべく全体を早めに把握した方がいい。


 地上部分は、なんとか全部見て回った。気配探査を使ったら地下がやはりとても広い。そして気配が固まっているので、早く助けに行きたいなぁ。

 

 しかし地下について何か知らないか、誰かに話を聞きたい。そのためにも話せる状態にしないと。それに地図とかあれば説明しやすいし、騎士団の人にも協力してもらえるかも。


 王都の地下にあれほどの空間が広がっており、且つ王宮もそのことを把握していないとしたら大変なことだ。


 しかも出入りし放題とか、いつ他国に占領されるかわからないではないか。早く地下の正体を掴まないとこの国が危ないよ。


 というわけで協力者をつくらねば。まぁ被害者を治癒するのはわたしには簡単だ。しかし、加害者がすぐそばにいるのなら贖罪のために使う。


 いや贖罪ではないね。わたしの力の節約だね。こんな簡単に贖罪なんてされるべきじゃないよね。


 罪人から生命エネルギーを抜きとり被害者を癒す。見るからに立派な法衣を纏った人や司教みたいな人、司祭みたいな人たちをどんどん助けていく。


 教会のためにも動ける人たちが必要だが、地下のことを調べるためにも知っていそうな人も必要だ。


 生命エネルギーをしっかり与えてこの後うんと働いてもらわないと。


 枢機卿と大司教だという人たちに、現状を簡単に説明。教会内部だけでなく、王族まで隷属の魔道具の被害を受けており反逆罪に問われていると話すと皆頭を抱えていた。


 彼らも隷属の魔道具の被害者であることは、わたしや騎士団が証言するが教会の立場が著しく失墜したのは間違いない。


 彼らは名誉?いや信頼を挽回しなければならない。しかも死に物狂いになって。


 わたしは罪人たちから搾れるだけ、情報と金品を回収するように助言する。なにしろ今なら嘘をつけないからね。


 あとスケルトンナイトたちに裏帳簿や証拠の品の場所へ案内させたり、財産?清貧とは真逆の罪人たちなのでたくさん蓄えていた、ところまで案内させたりした。


 なるべく王宮側と交渉し、罪は罪を犯した者に!と話をつけないと教会にも被害者がいるのに大変になっちゃうよと言っておく。


 それから地下についても罪人たちから聞きだした。地下には古い都の遺跡があり、かつての地下帝国の一部なのではないかということだった。


 その中でも保存状態が比較的良く、そのままでも地下神殿は利用可能で通路なども使用に耐えうるものだという。


 地下神殿の存在は教会の機密となっていたそうだが、王都の真下にある巨大空間のことをこの国に伏せたことは大きな間違いだろう。


 教会よりあとから王都ができたのか、教会があとから地下のことを知ったのかはわからないが、国か教会のどちらが管理するにしても大揉めに揉めそうだ。


 罪人たちから聞き出したことは他にもあり、教会が回復の儀の栄誉を掠め取ろうとしていたこと。つまり、教会が回復を行っているように見せかけようとしていたこと。


 そして大々的に浄化を披露し教会の威信を高め、発言力や金品を集める計画だったようだ。


 そのため王都では回復の儀を邪魔しようとしていたこと。スケルトンナイトを集めていたのもスケルトンナイトの持つ浄化の力を集めて自分たちに都合よく使うため。


 隷属の魔道具は奴隷制度の残る帝国から持ち込まれた物で、教会が貴族たちと結託して王族をすべて隷属させ、国を意のままにする予定だったようだ。


 国家転覆、紛れもない逆賊、逆臣である。教会の総本山は他の国にあるのだが、そこも一部は腐っているという。罪人を生かし、証人として罪を追及したいと枢機卿たちはいうので、罪人たちを延命しておいた。


 地下の移動方法や利用方法をさらに聞き出し、どのような輩を使役していたのか吐かせる。


 人身売買や詐欺の集団にまで影響力をもつとは聖人が聞いて呆れる。


 地下からは、昨日連れて来られた者たち以外にも多数の人が囚われており騎士団に救出された。


 スケルトンナイトたちも無事だった。

 

 余談だが、救出されたなかには国を憂える優秀な人材も含まれており、且つかなりの人々が回復の儀の対象でもあったので、事情がありそうな人々は一足早く回復を行った。


 一部こっそり島へ逃したりと、現場ごとに対応に追われたともいえる。


 地下の出入り口は、一旦古代魔法を再現し封鎖しておいた。他の国の教会の人間が入り込んだら困るから。一応、国と教会で話し合ってくれと言ってある。話がついたら出入り口を開けることにしてある。


 報告のため、多数の被害者同伴で国王陛下の元に戻ると心底呆れられた。


 そして地下神殿の件は案の定激怒していた。教会の総本山に抗議する勢いだが、まずは国内を安定させないとどうにもならないと思う。


 そして教会側の被害者の人たちのことは理解を得られた。罪人は厳罰に処すわけだが、総本山の不正を暴くまでは証人として生かさないといけない。


 貴族の腐敗のせいで領地経営も人手不足のようなので、わたしはこっそり人材派遣を提案しておいた。なにしろ島には人材がいるので、なるべく働き口をあちこちに確保しなくてはならないのだ。


 善良で真面目なのがウリです、よろしく!みたいな感じで頼んでおいた。まだ2、3日は王都にいるのでその間に連絡があればいいな、と思う。


 昨日はわたしも大変だったが、王都の人々も大変だった。


 教会の捜索のあとは、王都の外に避難していた街の人々を呼び戻したり、経済活動を再開したりと1日でも王都の混乱の影響は大きく、収集にお役人さんが走り回っていたらしい。


 まぁ、庶民層への影響はほぼなかったので、市場も商店も次の日の昼には開店できた。


 夕方には賑わいと落ち着きが戻った王都で、明日は回復の儀を昼から行う予定だ。


 王都の冒険者ギルドに顔を出したり、商業ギルドで人材募集について相談したり。職人ギルドに弟子入りの募集について確認したりと、何かと忙しく動きまわり、おかげでいい仕事がかなり見つかった。


 若者に島へ繋ぎに行ってもらったり、王都のスラムにも顔を出そうかなと思い、島の顔役の側近の人に来てもらったりしたが、いきなり行こうとするんじゃない!と叱られてしまった。


 いやぁ、王都にいるうちにいろいろやっとこうと思うと、気ばかり焦っちゃった。


 まぁ、側近の人が根回ししておくから少し時間がほしいと言われた。


 そして今日は、昼から回復の儀だ。


 若者と2人、白いマントを着て神々しく光りながら広場で回復を行う。


 当初は少ない人数の予定だったが、なんだかんだでいつも通りくらいの人数だった。


 近隣からも集まってきたようだ。


 話が伝わるのが早くちょうど間に合ったようだ。


 子供から大人まで温かな光が包む。希望が蘇る。目に光が戻る。諦めの表情が生き生きとする。


 皆がもう一度人生を取り戻す。

 


 


 


 


 


 







たくさんの作品がある中で

お忙しい中お読みいただきありがとうございます。

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