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ちょとつ!@異世界にて  作者: 月蝕いくり
第二章~ルール無用のオヴェーション~
19/112

第1話 戦闘前はヴィヴェンテで

2021/03/26大規模修正。

本日二つ目の更新です。

 駆け引きも知らぬ貴族科の劣等生達が、お嬢様の地位と美貌に目が眩み暴走。

 無謀にも幼い相方を盾に言うことを聞かせようと試みた。

 そこに現れたシルヴィ嬢だが、護衛対象を盾にされては動けない。

 我が身を犠牲にお嬢様が隙を作ったことで、何とかこの状況を打破。

 件の大事件、対外的な発表はこの様になった。

 絶対安静、高熱と激痛に苦しんだ二週間。

 だと言うのに先述の口裏合わせを意識に刷り込んでおかねばならない。

 高熱の中走り回って倒れた時より、下手に意識があるぶん辛かった。

 すごく真剣な顔で美貌と言われた時は口から魂が抜けるかと思った。

 維持のために日々努力しているのは確かですが、十一歳です!


「さて、この度ようやく魔法科の図書館から出てきた仲間だ! もう顔を合わせている面子もいるが、改めて自己紹介を!」


 お嬢様の授業復帰と同時に掛けられたクラス招集。

 その内容は至極単純、ルゼイア・ファウルの紹介だ。

 何せ編入生紹介の時には場におらず、その後一週間の授業で存在を聞いたことすらなかった。

 とは言えお嬢様が退院するまでの間に他の編入生も顔を合わせているだろう。

 公式の場で自己紹介という形式的なものだ。


「改めましてご紹介に預かりましたルゼイア・ファウルです。レフス帝国からの留学生で、魔法科にも籍を置かせて頂いてます。爵位とは程遠いただの平民です、無礼、非礼はご容赦を。」


 ぱちり、ぱちりと拍手の音。

 編入時のそれとは比べられぬほど拍手は小さい。

 在学生の再紹介に過ぎないのだからこんなものだろう。

 カール氏に至ってはルゼイアの立場が平民なので、拍手をするつもりもなさそうだ。


「相方が居ませんが、はぐれと言うやつです。気になさらないで下さい。」


 彼の境遇も関係していたらしい。

 竜人は相方と共に育ってゆく。

 だが稀に卵の獲得に失敗したり、不慮の事故で相方が居なくなってしまうこともある。

 この総称が『はぐれ』、同格が居ないもの、家族を喪ったもの。

 今更ながら彼との初遭遇から、一度も竜を見ていないことに気がついた。

 ――あの事件でもしかしたらお嬢様も相方を喪うところだった。

 隣に居る片割れが居ないというのはどれほどの喪失感なのか。

 改めて想像すると恐ろしさで歯の根が合わなくなる。

 表情を取り繕えた自信がない。


「――では、授業を、始めましょう。」


 教室の空気を変えるように、一言一言ゆっくりと発音するのはレイツォン先生。

 普段はツァーボ先生の補佐をしているが、討伐基礎知識の担当もしている。

 流石に訓練場ではなく、騎士科座学用の校舎の中だ。

 どうせ集まるのならそのまま授業を受けていけ、という先生の熱い要望だ。

 基本的に講義内容に連続性はなく、一講の中で完結している。

 二週間のロスタイムがあろうとついていけるのはありがたい。

 半すり鉢状の教室の中、最前席はカリスト嬢、カール氏、フュースト氏。

 中段席にお嬢様、シルヴィ嬢、レオン嬢、ミズール嬢、ハルト氏が散らばる。

 最後席にルゼイア、モルグ氏、ラッティ氏だ。

 紹介が終わったからか、他学科からの受講生もぽつりぽつりと入ってくる。

 と同時にかつかつと板書をはじめた。

 この先生、滅多に喋ってくれないぶん板書の速度が早い。

 皆必死にノートを取ることになるのが通例だ。


「……あ。」


「またですの。出力をもう一段階上げておきなさいな。」


 お嬢様の走らせていたペンが真ん中からへし折れたのだ。

 シルヴィ嬢が即座に新しいペンを差し出してフォロー。

 あれから力加減がまだうまく行かない。

 最大出力の魔道具で押さえ込めば問題ないのだが、頼り切るわけにもいかない。

 そのため撹乱の範囲を調整して慣れようとしているところだ。


「いっそ金属製のペンを買ったほうが……。」


 後ろの席に意識を向ける。

 丁度レフス帝国からの留学生がいるし、商人もいる。

 フェルベラント王国で流通しているのは木製のペンだ。

 粘りはあるが、今のお嬢様には脆すぎる。

 今度お忍びする時に、お勧めを聞いてみるのもいいだろう。


「――エルエルさん、魔物と、魔獣の、違いを、お願いします。」


 意識を逸らした隙をついて当てられた。

 注意力を見るのが実に上手い。

 最もそこはお嬢様、不意を付かれようとも知識の開示ならば問題はない。


「魔物とは、魔力の空白に触れたものが変質したものです。他方魔獣とは、通常の獣が魔力の使い方を身につけ、より凶悪になったものです。ですので魔物とは違い、その行動は生来のものを引き継ぎます。」


「はい、よろしい。注意を、逸らすのも、ほどほどに。」


 とは言えしっかりと釘を刺されてしまった。

 純人で動きとしては一般人よりやや上くらいだと言うのに、意識の流れに敏い。

 レイツォン先生の特技のようなものか。

 先程お嬢様が述べた通り、魔物の他に魔獣という脅威がこの世界には存在する。

 最も積極的に襲いかかってくる魔物に比べ遥かにマシ。

 対処方法さえ知っていれば危険性は低い。

 とは言え、人里におりてくる前に駆逐しなければならないこともある。

 それも騎士の仕事だからだ。


「さて、ここからは、蛇足ですが……。」


 かつかつかつと手早く魔物の下に相互矢印を入れ、レイツォン先生が珍しく講釈する。


「魔力の空白が、生物に、影響を与えるように、野生の獣が、魔力の扱いを、身につけるように、魔力そのものが、生物を変質させることも、あります。」


 それは初耳だ。

 魔力に関しては討伐対象や、脅威としての側面を強く教えられていた。

 屋敷にあった書物もそういった類が全てであり、魔力そのものによって変質する論文は、少なくともお嬢様の目が届く範囲には置いていなかった。

 セラやお母様は恐ろしいものを教えることで、それから遠ざけようとしていたのだと気付かされる。

 無言で新しいペンが差し出された。

 素直に撹乱魔道具の出力を一段回上げておく。


「神学科では、こうして生まれた生物を、聖獣と、呼んでいます。では、この特性を……カール君。」


「確かにわたし以外で答えられる者は、エルエル様とその護衛くらいでしょう。」


 一言目に他人をけなすのはいかがなものかと思う。

 だが仕草そのものに品位をまとわせているのは流石だ。

 貴族の中でも王室所属、つまり王家の者。

 その気位はとても高いのだろう。

 しかし買いかぶりだ、お嬢様でも知らないものは答えられない。

 思い込んでいただけて助かった。


「聖獣とは主に知能の低い生物が高濃度の魔力溜まりに居続けることで発生する個体、その特性は魔物と正反対。すなわち世界を慈しみ、守る事になります。」


 魔力の空白によって変質した存在が奇跡を憎むのであれば、その逆の過程を経て変質した存在は奇跡を祝福するというわけか。

 お嬢様は知らなかったが、神学科では研究が進んでいる。

 討伐対象でなければ騎士科はさほど重きを置かない。

 貴族科では、多種多様な知識が求められる、王族となればなおのこと。

 カール氏は態度と視線こそアレだが、相当に勤勉家らしい。


「変質した生物は魔力に溶け込み、しかし形を保ったまま世界の流れとして巡ります。これらを精霊と称する派閥もありますね。」


「ふむ……。」


 答え終わったカール氏は着席したが、レイツォン先生の表情は少しばかり物足りなさそうだ。

 割と知らない知識だったので解らないが、まだ何かあったのだろう。

 少しの間を置いて、最後尾で空気が動く。


「では、モルグ君。」


 挙手したのは墓所領地の鼹人。

 食いつくように答えを促すレイツォン先生。


「カールの説明で大体完結しているが……。手前らの領地でも稀にしか見られない現象だ。」


 前置きを一つ。

 先に答えたカール氏の面目を潰さないためだろう。

 すらすらとフォローを入れるさまはとても慣れた様子。


「人が亡くなった後、魂はしばらく残留する。一部の閉鎖された墓所では魔力の動きも緩やかで、自然と魔力溜まりが発生する。これに魂が焼き付くことで自意識を持った魔力、知恵ある聖獣(ナレッジビースト)が生まれる。彼らは生前の家系に祝福を授けるとか。」


 答えきっての着席。

 専門分野も専門分野、神学科の領域だ。

 その答えを求めるのはいかがなものだろうか、レイツォン先生。

 今度は満足そうに満面の笑みを浮かべている。


「……たまにああいう所あるわよね、レイツォン先生。」


「自分は先生が知りたかっただけと思われます。」


 最前列でカリスト嬢とフュースト氏がこそこそ会話をしている。

 カール氏は、ちょっと仏頂面を浮かべていそうだ。

 結構な数の座学希望者が増えた騎士科の中、この講義だけ必要人数ギリギリの理由がこれである。


 * * *


 つまり、毎日やってきてくれるこの風は精霊と呼ばれる部類らしい。

 一講目のカール氏の説明でやっと理解できた。

 風に好かれているとはそういうことか。

 彼だか彼女だかは毎度お嬢様の長い耳に心地の良い音を届けてくれ、また危険な企みを知らせてくれる。

 ついでにだが、最後尾の席に座ったとしても先生の話がよく聞こえる。


「貴方にも随分お世話になっていますね、私。」


 なんて呟いたところで明確な返事が返ってくるわけでもない。

 それでも今までの分を含めて感謝しておこう。

 続いての二講目、討伐基礎知識の二枠目だが、担当はレイツォン先生ではない。

 既に満席で、ちらちらとこちらに視線が向かってくる。

 早速認識阻害の魔道具をかけよう、出力最大で。

 見たくなる気持ちは解りましたがそういう視線はやめて下さい、背筋が凍ります。


 担当は純人の教師、確か名前は……名乗られた覚えがない。

 こっそり講義枠の紹介を確認しよう、ゼル先生らしい。

 ゼル先生は入ってくるなり表情を強張らせた。

 歩き方が上官を前にした兵士のそれだ。

 思わず隣のシルヴィ嬢に視線を向ける。


「……今回はわたくし、別に何もしていませんわ?」


 ゼル先生、初日の挨拶の時にシルヴィ嬢に思い切り威圧されたあの騎士科主任だ。

 即時お嬢様がフォローに回る、軍隊式説明で授業されても困る。


「シルヴィさんは私が抑えておきますので、気を張られずにお願いします。一度深呼吸してみてはどうでしょう。」


「あらあら、仕方ありませんわね。この時間くらい大人しくしておいてあげましょう。」


 茶々を入れない、と目に力を込めるも肩をすくめて受け流され、新しいペンを差し出された。

 はい、ありがとうございます、今日はもう出力最大にしておきますね。


「エル、今日で五本目だよそれ。」


「あれ、ルゼイア君も距離詰めるの上手だねー?」


 あとルゼイアはいつの間に後ろの席に移動してきたんですか、呆れ声で指摘しなくても数えています。

 油断しませんからね、近づかないで下さい。

 レオンさんも呼び方に乗っからないで、っていうかいつの間にすぐ隣に。

 認識阻害のおかげで少し会話したくらいなら視線は周囲へバラけてくれる。

 ちなみに他の面子も一講目からひき続き、実地研修の予習として同じ講義を入れている。

 ともあれようやくゼル先生の肩からがくーん、と力が抜けた。

 どれだけ力んでいたのだろう。


「助かります、エルエル様。では討伐基礎知識の授業を開始します。この講義では主に討伐対象となる魔獣や脅威、害獣への対処と心得を教える騎士科の共通科目になります。該当科目を受けられない生徒は速やかに退室を。」


 肩に力が入っていなければ、割と滑らかに進めてくれる。

 護衛が優秀すぎるのも良し悪しだ。

 誰かさんのお陰で右足はまだ少し痛むが、止めてもらえなければ今頃お嬢様は退学処分で屋敷へ逆戻り。

 虎視眈々と玉の輿を狙われる籠の鳥に戻っていたことだろう。

 ――なんてしたくもない想像をしてしまう。

 でっち上げた物語のお陰で貴族科の生徒を叩きのめした件は不問だった。

 喧嘩じみたことはそこそこあるし、貴族科の生徒から手を出してきたからだ。

 あれを喧嘩と一緒にされてしまうと、不信感が増してしまう。


「今日は閉所空間での傾向についてだ。閉所は魔力溜まりができやすい。そのため魔力の使い方を覚える獣が様々な種類現れる。一方で魔力の空白が人知れず生まれることもある。そういった危険を回避するために領地運営や騎士団の派遣が行われる。」


 といったところで、ちらりとシルヴィ嬢、そしてモルグ氏へ視線を向けた。

 シルヴィ嬢は騎士団であるし、モルグ氏の領土、ワーン領は墓所領地だ。

 一講目の時にも話は出たが、物理的に閉じられた箇所は色々なものが滞る。

 滞った魔力を動かし、正常に循環させることが領地運営において欠かせないが、人の手では限界もある。

 魔物の討伐に当たって強い意志と、強い力が必要。

 そのための騎士であり兵力だ。


「さて、今回は中でも有名な魔獣について――そうだな、カリストさん、三種ほど騎士科以外の皆に説明を。」


「解りました。」


 ご指名ならばと立ち上がるカリスト嬢。

 出身地であるロベリア領は田舎領地とも呼ばれ、閉所となる場所が極端に少ない。

 にもかかわらず指名されたのは基本知識を試すためだろう。

 決して身分いじりではないと願いたい。

 最前列に座っていたため、かつりと綺麗に回れ右、綺麗に踵も揃っている。

 ぎりぎり肩下までの髪ときゅっと釣り上がり気味の目尻も相まって格好いい。


「第一に、最も危険度が低い食宝獣(ジュエルビースト)。様々な鉱石の中でも貴金属、宝石の原石などを属する魔獣よ。魔力の使い方を覚えたミミズなどが転じたものと言われているわ。」


 図鑑に乗っていた食宝獣(ジュエルビースト)を思い出す。

 確か肥大し、巨大化したミミズだった。

 ……首の後がぞわっとした、ここではない世界では平気だったのに。


「牙は鋭いけれど、食事を探すことに意識を割くため、積極的に襲ってくることはないわ。もしも閉所で遭遇することがあれば、そっと離れれば追いかけて来ません。」


 三種説明する以上、食宝獣については以上らしい。

 補足説明として挙げるならば、体内から採れる鉱石類は比較的希少である。

 レフス帝国では相当な高値がつく。

 そのため冒険者に討伐依頼が回されることも少なくはない。

 ただし決して簡単な仕事ではない。


「第二に、危険度が跳ね上がる影潜み(リーパー)。こちらは魔力操作を覚えたコウモリね。私達純人では聞こえない音で風を操り、襲いかかってくるわ。安全だと歩いていた横の仲間の首がなかった、なんて逸話は事欠かないわね。下手に肝試しを企画するのはお勧めしないわ。」


 大抵同じ場所にこの魔獣が居るからだ。

 ミミズにコウモリ。

 なるほど、お嬢様と同じ手段だ。

 生活に身近なものから記憶を引っ張り出し、そこへ閉所という条件付けをする。

 

「カリストさん、いい感じに持っていってるねー、でも最後の一種浮かぶのかなあ。」


 隣の席に陣取っているレオン嬢が呟いた。

 彼女もまた、どうやって答えているのか察したらしい。

 暗闇の中であれば、他にもいくつか種類は浮かぶだろう。

 だが閉所という条件が邪魔をする。

 実際二種は即座に答えられたが、三種目の説明は始まらない。


「――うん? モルグ君、何かあるのかな」


 唐突にゼル先生の視線が最後席を向く。

 どうやら再び彼が挙手したらしい。


「魔獣の脅威を挙げるのは至極ご尤も。が、閉所におけるそれらは所詮警戒すれば何とでもなる。騎士科なら最たる脅威……代表的な魔物の話もするべきかと。」


「……ああ、確かにそうだ、その通りだったね。魔獣だけが全てではない。」


 カリスト嬢の肩が少し下がった。

 安堵の息をこっそり吐いたらしい、不気味な風貌をしているが頼りになる。

 しばしばお嬢様も助けられている、人は見かけではない。

 実際すぐ横のカール氏など無知を笑うように鼻を鳴らしているし。

 努力家なのだろうが、身分差に応じて態度が出てしまうのは彼の悪い癖だ。

 これで他学科の女子からは大人気なのだから本性を知らぬというのは恐ろしい。


「ではカリストさん、代わりに閉所における有名な魔物について説明を。」


「――墓荒らし(グレイヴン)。」


 ぴくり、とお嬢様の眉が跳ねた。

 みし、と手元で嫌な音がする。

 幸い最大まで出力を上げた撹乱魔道具のお陰で起動する魔法の規模はとても小さい。

 それでもなお黄金に染まりだした瞳を察してか、シルヴィ嬢に脚をこづかれる。

 そこ、怪我を、していた、ところ!

 悲鳴をあげるなんて無様なことはしないが、ぴしっと背筋が伸びて激痛で肩が震える。

 外側は塞がったし、内側の化膿も収まって日常生活に支障はない。

 とはいえ、流石に本職から蹴りを入れられたら治りきっていない深部まで響く。

 クラスメイト達は話題には出さないが、大まかに事件のことを知らされている。

 何をされたのか察したカリスト嬢が同情的な視線を向けてくるが、説明を中断するわけにもいかない。


「閉所における魔力の空白地に晒された存在が転じたもの。特に墓所や廃坑の奥深くで生まれ、その後目立たぬように周囲の存在を殺して変質させ、加速的に増えてゆく。一度発生したらその地の浄化に十年はかかる。こういった現象を魔災と呼ぶわ。」


 浄化、すなわち魔力の流れを正常に戻す作業。

 それを行うためには現場で魔法などを用い、大いなる魔力を流し続けなくてはならない。

 けれど墓荒らし(グレイヴン)は発見することが難しい。

 その上加速的に増えてゆくため、浄化も多大な犠牲覚悟で行われる。

 最悪と称される魔物の一種、魔災のきっかけとなりうる脅威。

 幸いなのは閉所から出てこないことだ。

 逆に言えば発生現場に遭遇すれば、どれほど強い精神の持ち主でも数の暴力に押し潰される。


「なので、閉ざされた場所では気をつけなさい。……いえ、気をつけたところで無意味ね。それが居たなら、万に一つの可能性にかけて外を目指すしかないわ。」


「ありがとう、よい説明だった。我々騎士科はこういった脅威と戦うために武を鍛えている。決して同胞を傷つけるものではないと知っておいてもらいたい。さて、ではまずこの二種の魔獣、そして魔物への基本的な対処方法だが――。」


 滞りなく授業は進む。

 ――墓荒らし(グレイヴン)、あの時お嬢様がキレる前に聞いた名称だ。

 編入初日の件といい、関係性が気になって仕方がない。

 今度こそきちんとした手を打っておくべきだろう。

なんか……次の章に入ったのに1話目も投稿してないのは寂しいかなって……。

そう思ったら前倒し的に……。

本来の次話、闘う前からアップテンポまで5話くらい追加挿入が入ります。

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