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第9話 太陽と月

勝利の夜


ヒナタは夜空を眺めていた

月明かりが村を照らす中、妖精と見間違うような綺麗な女の子がヒナタに声をかけた


「ヒナタさん…ちょっといい?」

「ル、ルナさん?うん、僕なら大丈夫…。どうしたの…?」

声をかけてきたルナに、ヒナタが問う


「ちょっと…夜風に当たりたくなって…ヒナタさんは…?」

「僕も同じかな、よくレオンと…クレアとトータと…こうして月を見るのが好きだった…」

「月は…こっちでも綺麗なんだね…」

ヒナタは感慨深く夜空の月を見上げている


「…………」

ルナはその横顔から目を離せずにいた

高まる感情の正体が掴めないまま、顔を逸らす

そして、問いかけた


「ヒナタさんは…どうして旅をしているの?」

「僕?僕は…」

「この幻想世界を…救うためかな…」

そうヒナタは答えた


「幻想世界を救うって…やっぱり!あなたは…?」

「手合わせしてみたでしょ?僕に勇者なんて称号は重いよ」

ルナはそれを聞いて目を落とす


「でもね、知っちゃったから…」

「この世界には…まだ僕が知らないことがたくさんある…そして、僕にはできることがある」

「そう思ったら…じっとしてるなんて出来ない…」

「例え、戦う力が無くても…僕にできることがあるなら…僕は…」


「みんなが笑って暮らせる世の中にしたい!」


ヒナタは自分の理想を語った


「……………………」

かつての自分の姿とは、似ているようで違う

ルナはただ、まばゆい彼の瞳に魅入られていた


「あれ…あ!やっぱり、世の中甘く見過ぎかな…?」

「うん、それはそうかも…」

出会った頃を思い出し、申し訳なさそうにするヒナタと、それをあっさり肯定するルナ


「でも…あなたの言葉は、まるで…魔法がかかってるみたい…」

ルナは夜空を見上げる

そして、ヒナタに向き直った


「ヒナタさん…ごめんなさい…」

ルナは頭を下げる


「初めて会ったとき、キツイことを言ってしまって…」

「最初、あなたは昔のわたしと同じだと思ってた」

「わたしがずっと欲して…妥協して…でも、捨てて…ようやく諦められたものをあなたは持ってる」

「だから、早く挫折して…わたしと同じところに来ればいいって…そんな捻くれた考えを持ってたの…」

頭を下げ続けるルナの言葉を黙って聞くヒナタ


「でも、あなたはどんな理不尽に曝されようと、折れなかった」

「それどころか…みんなの心を照らしてくれる…」


「あなたの心は…まるで、太陽みたい…」


「……………」

月明かりに照らされたルナの表情に目を奪われるヒナタ


「そ、それだけ!言いたかったのは…」

ルナは顔を赤くして、ヒナタから顔を背ける


「じゃあ、また明日ね!おやすみなさい!」

そうして、ルナは宿に戻っていった

月の妖精に魅せられたかのような…気持ちになり、少し微睡むヒナタ


するとふと、思った


「そういえば…レオンは…」

「ここにいるぞ、薄情者め」

後ろの窓にいた


「薄情者って…遊び相手で済んでよかったじゃないか…」

「そのおかげで俺のプライドはもはや跡形もなく砕け散った…」

「そ、そんなに…エルム村の子どもたち恐るべし…」

利用する相手を間違えたレオンに同情する


「それで、何を黄昏ている?」

「うーん…これからどうしようかと思ってさ」

「この地を離れるに決まってるだろう…っとそうか…どう切り出すか、悩んでいるのか」

「まあ、そんなとこ」

色んなことを思い出すヒナタ


「色々あったよねぇ…」

「そうだな…」


しばし、沈黙が流れ


「俺は…ヒナタのことを利用するつもりだった…」

「えっ?」


ヒナタは耳を疑う


「俺は…ヒナタに課せられた使命よりも大切なものがある」

「それが…宿願?」

レオン個人に目的があったことを思い出すヒナタ


「ああ、そうだ。その前にお前には話しておこう…この世界の成り立ちを」

「俺の目的は…レオニア族を…神獣たちをこの幻想世界に呼び戻すことだ」

レオンは語り出す


「呼び戻す…でもなんで…神獣は…」

「そうだ。なぜ、神獣がこの幻想世界から居なくなっていると思う?」

「それは………ごめん、思いつかないや」


レオンは一呼吸した後、言葉を発した


「人が…我らを追いやったのだ」


「えっ…」

衝撃の真実を聞かされるヒナタ


「なんで…人間はそんなことを…」

「まず、人間は我らを頼った…自らを脅かす『魔族』を退治して欲しいと

「『魔族』……」

ヒナタの聞きなれない言葉だった夜


ヒナタは夜空を眺めていた

月明かりが村を照らす中、妖精と見間違うような綺麗な女の子がヒナタに声をかけた


「ヒナタさん…ちょっといい?」

「ル、ルナさん?うん、僕なら大丈夫…。どうしたの…?」

声をかけてきたルナに、ヒナタが問う


「ちょっと…夜風に当たりたくなって…ヒナタさんは…?」

「僕も同じかな、よくレオンと…クレアとトータと…こうして月を見るのが好きだった…」

「月は…こっちでも綺麗なんだね…」

ヒナタは感慨深く夜空の月を見上げている


「…………」

ルナはその横顔から目を離せずにいた

高まる感情の正体が掴めないまま、顔を逸らす

そして、問いかけた


「ヒナタさんは…どうして旅をしているの?」

「僕?僕は…」

「この幻想世界を…救うためかな…」

そうヒナタは答えた


「幻想世界を救うって…やっぱり!あなたは…?」

「手合わせしてみたでしょ?僕に勇者なんて称号は重いよ」

ルナはそれを聞いて目を落とす


「でもね、知っちゃったから…」

「この世界には…まだ僕が知らないことがたくさんある…そして、僕にはできることがある」

「そう思ったら…じっとしてるなんて出来ない…」

「例え、戦う力が無くても…僕にできることがあるなら…僕は…」


「みんなが笑って暮らせる世の中にしたい!」


ヒナタは自分の理想を語った


「……………………」

かつての自分の姿とは、似ているようで違う

ルナはただ、まばゆい彼の瞳に魅入られていた


「あれ…あ!やっぱり、世の中甘く見過ぎかな…?」

「うん、それはそうかも…」


出会った頃を思い出し、申し訳なさそうにするヒナタと、それをあっさり肯定するルナ


「でも…あなたの言葉は、まるで…魔法がかかってるみたい…」

ルナは夜空を見上げる

そして、ヒナタに向き直った


「ヒナタさん…ごめんなさい…」

ルナは頭を下げる


「初めて会ったとき、キツイことを言ってしまって…」

「最初、あなたは昔のわたしと同じだと思ってた」

「わたしがずっと欲して…妥協して…でも、捨てて…ようやく諦められたものをあなたは持ってる」

「だから、早く挫折して…わたしと同じところに来ればいいって…そんな捻くれた考えを持ってたの…」

頭を下げ続けるルナの言葉を黙って聞いているヒナタ


「でも、あなたはどんな理不尽に曝されようと、折れなかった」

「それどころか…みんなの心を照らしてくれる…」


「あなたの心は…まるで、太陽みたい…」


「……………」

月明かりに照らされたルナの表情に目を奪われるヒナタ


「そ、それだけ!言いたかったのは…」

ルナは顔を赤くして、ヒナタから顔を背ける


「じゃあ、また明日ね!おやすみなさい!」

そうして、ルナは宿に戻っていった

月の妖精に魅せられたかのような…気持ちになり、少し微睡むヒナタ


するとふと、思った


「そういえば…レオンは…」

「ここにいるぞ、薄情者め」

後ろの窓にいた


「薄情者って…遊び相手で済んでよかったじゃないか…」

「そのおかげで俺のプライドはもはや跡形もなく砕け散った…」

「そ、そんなに…エルム村の子どもたち恐るべし…」

利用する相手を間違えたレオンに同情する


「それで、何を黄昏ている?」

「うーん…これからどうしようかと思ってさ」

「この地を離れるに決まってるだろう…っとそうか…どう切り出すか、悩んでいるのか」

「まあ、そんなとこ」

色んなことを思い出すヒナタ


「色々あったよねぇ…」

「そうだな…」


しばし、沈黙が流れ


「俺は…ヒナタのことを利用するつもりだった…」

「えっ?」


ヒナタは耳を疑う


「俺は…ヒナタに課せられた使命よりも大切なものがある」

「それが…宿願?」

レオン個人に目的があったことを思い出すヒナタ


「ああ、そうだ。その前にお前には話しておこう…この世界の成り立ちを」

レオンは語り出した

自らの目的を…この世界の成り立ちを



「同胞を…神獣を呼び戻す…でもなんで…神獣は…」

ヒナタは当然の疑問を抱く


レオンは一呼吸した後、言葉を発した



「人が…我らを追いやったのだ」



「えっ…」

衝撃の真実を聞かされるヒナタ


「なんで…人間はそんなことを…」

ヒナタの目が沈んでいく


レオンは神妙に言葉を紡いだ


「まず、人間は我らを頼った…自らを脅かす『魔族』を退治して欲しいと」

「『魔族』……」

ヒナタの聞きなれない言葉だった


レオン曰く

魔族はモンスター達を統べる存在

そして、人間と共通の敵だったため神獣はその『魔族』を退治し、幻想世界に平穏をもたらしたのだという

だが、これでは人が追いやった話に繋がらない

きっと続きがあるのだと、黙って聞くヒナタ


長く生きたレオンですら忘れてしまうほどの…気が遠くなる年月が経った

人の世では、神獣は伝説となり、その伝説すら消えかかっていた頃…

神獣を、幻想世界を汚すモンスターだ、という醜聞が立てられた


「モンスター…そんな…」

ヒナタは人の身勝手な行動に俯く


神獣にも知り得ない力を付けた一部の人間たちは、神獣が滅せないことを知ると、幻想世界の外へ追いやった…のだという


――だから、レオンはあんなに人間が嫌いだったんだ…でも、それならもっと…

ヒナタは、自分たち人間を恨んでいるのでは…と思ってしまった


「話にはまだ続きがある。俺の先代を務めたレオニア族が…勇者と呼ばれる人間に付き従い、醜聞を立てた人間たちを討ったのだ」

「そうか…!ルナさんが言ってた伝承って…!」

ヒナタの前に勇者を務めた者がそのまま伝承になった、とレオンは推測している


「だが、俺たちは幻想世界には戻れなかった…」

「それは…どうして?」

嫌な予感がした


「勇者が…討たれたのだ…強大な力を恐れる人間にな」


「!?」


ヒナタの体に電流が走ったかのような衝撃が走る


「元凶は滅ぼしても、世は変わらなかった…そして、俺たちは…まだ、世界の外を彷徨っている」

レオンは夜空を見上げて、


――そう…だったのか…

――そんなこともあれば…人間を嫌いになるのも無理はないよね…僕…酷いこと言っちゃったかな…


「今更、自分の発言を気にしているようだが、その心配は杞憂だぞ」

表情に出てバレバレだったヒナタ


「心に踏み込むには、ときに鋭い言葉を使わなければならん…優しいだけでは…"勇気"は成立しない」

「それでも、最後に必要なのは、お前の言う優しさなのだろう…その初心を…俺は忘れていた…」

「そっか…ありがとね、気を遣ってくれて…」

ヒナタはレオンに微笑む


「気にするな…だが、全ての人間を許したわけではない」

「うん…それは当たり前だよ…」

しばらく夜空を見上げて佇む二人


すると、レオンが再び口を開く


「弱さだけが人の全てではない…」

「我々も、力ある傲慢さ故に、人に恐れられた可能性は十分にある…もう少し、俺たちにも歩み寄る心があれば…歴史は違ったのかもしれん」

レオンは俯く


「これからは…大丈夫だよ、きっと…」

「過去を見て間違いに気付いた…なら、今から直していけばいい」

「今を変えていけば、未来は少しずつ…変えられるはず…僕らだけじゃない…人と神獣が…」


「そうか…!」


ヒナタは何か思い立ったように飛び上がった


「どうしたのだ?」


――これは…レオンにとっては気が進まない事かもしれない…

――もしかしたら…神獣も望まない未来かもしれない…

――それでも!僕は…


「わかったよ!この幻想世界を救うって意味を!」

「世界を乱す元凶を倒すことじゃないのか?」

「過程でそうなることはあるかもね、でもそれは目標じゃない!」

「僕が目指すのは…そう!」


「人と…神獣が手を取り合って…笑って暮らせる世界…!」


「過去の人や神獣たちが実現しようとして、出来なかったことを…僕が…僕たちがやるんだ!」


ヒナタは決意を込めた表情でそう言った


「俺たちが…か…」


――人を見下していた俺に果たしてそんなことが可能なのか…?

そう思い、ヒナタの目を見る

友の目は、輝いていた

憧れだけではない

それが本当に実現すれば、世の中は幸せになると信じている

レオンはそう感じ取った


――そうだな…可能不可能ではない…

――俺も…見てみたいのだ…同胞たちがかつて掴めなかった未来を掴む…

――そんな夢を…


「悪くないかもしれん…」

「いいだろう…誓いは曲げん…最後まで共に行こう…」

「我が友…ヒナタよ…」

「うん!ありがとう!レオン!」


ヒナタは笑顔で頷く

そして、ぬいぐるみのレオンと握手をした


彼らを観察する小さな影は呟く


「彼ならば…きっと…この先の闇を払い…"慈愛"をもたらす先導者になれる…」

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