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第四十一話

 老舗の服屋での楽しいお買い物を終え、次の目的地へに向かうために馬車に乗り込む。

 服屋で購入した服や下着、それからアクセサリーなどの小物類は、カノッサ公爵家の屋敷へと送ってもらう事にした。


「あの、本当にイザベラ様のお屋敷で預かってもらって宜しいんですか?」


 マルグリット様が、申し訳なさそうな雰囲気で私にそう言う。

 それに対して、私は全然大丈夫だと笑って答える。


「屋敷には使ってない部屋が幾つかあるから。それに、クララとナタリーさんは学院の寮暮らしだし、マルグリット様のご実家にはあの子がいるでしょ。だから、そういった事に余裕のある我が家が引き受けるわ」


 私の言葉にクララがその通りと続く。


「そうそう。持つ者に頼れるのなら思いきり頼るべきよ」

「ですが…………」

「気を遣わせてしまって申し訳ありません」


 私たちが大丈夫だと言っても、マルグリット様は申し訳なさそうな雰囲気のまま。

 さらには、ナタリーさんまで申し訳ないと頭を下げてくる。

 そんな二人に、クララが優しい笑みを浮かべて言う。


「私たちは友達なんだから、素直にありがとうでいいの。大事な友達が困っているなら、私たちは手を差し伸べて助けるわ」

「「イザベラ様、ありがとうございます」」

「どういたしまして」


 二人の謝意に、私は笑顔でそれに答える。

 そんな私の笑顔を見て、二人とも笑顔になってくれた。二人が申し訳なさそうに俯いているよりも、こうして笑顔でいてくれた方が私たちも嬉しい。

 クララとナタリーさんは、学院の傍に建てられている寮に住んでいる。

 この寮に住んでいるのは、主に遠方の領から王都へ来た生徒たち。

 しかし、ここにも貴族優遇という学院の悪しき習慣が残っている。なんと驚く事に、学院の傍に建てられている学生寮が二つあるのだ。

 それも、貴族用と平民用の二つ。

 これだけで、食堂の時と同じ理由であるというのが簡単に予想出来た。そして、当然のように学生寮においても待遇がもの凄く違う。

 貴族用の学生寮には、一流の使用人から寮専属の一流料理人たちまで揃えられており、実家の屋敷に近い環境になっている。

 さらに、凄腕の護衛たちが二十四時間体制で警備をしてくれているという充実ぶり。

 それに対して平民用の学生寮はといえば、当然ながら使用人などいないし、一流の専属料理人もいない。

 ただ、平民用の学生寮にも料理人はいる。しかし、料理人と言っても食堂のオバちゃんたち同様、一般家庭の主婦たちばかり。

 そして、当然の事ながら、凄腕の護衛たちによる二十四時間体制の警備も存在しない。

 クララとナタリーさんは貴族の令嬢なので、至れり尽くせりの貴族用の学生寮に住んでいるが、部屋が大きい訳ではない。

 なので、購入した大量の服や下着、アクセサリーなどの小物類を部屋の中に全部入れてしまうと、いくら部屋が広いといえども場所をとってしまう。

 そうなるくらいなら、部屋が余っている私の屋敷で預かっておけばいい。

 そして、マルグリット様の方にも問題がある。

 ベルナール公爵家の者たちやローラが、屋敷に届けられた大量の服や下着、アクセサリーなどの小物類を見れば、どういった行動をとるのか容易に想像出来る。


(大方、両親を味方につけてからマルグリット様に難癖を付け、全部奪い取ろうとするでしょうね)


 そうなる事が分かっていて、ベルナール公爵家に送ってもらうなんてあり得ない。

 マルグリット様が悲しむくらいなら、クララとナタリーさんの分と同じく私の屋敷で預かり、大切に保管していた方が何倍もマシだ。

 それに、今回の件でローラが難癖をつけようとしても、ベルナール公爵家と同列であるカノッサ公爵家が相手だと分かれば、いくら馬鹿なローラでも躊躇するだろう。

 それでもこちらへ矛を向けてくるのならば、私たちカノッサ公爵家は一切の慈悲もなく、持てる力の全てを使い、ベルナール公爵家と貴女の人生を徹底的に潰してやる。

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