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第十九話

「これは一体何の騒ぎだ?」


 その声が聞こえてきた瞬間、私は厄介で面倒な事になったと思った。

 私たちの騒ぎを聞きつけて、また妙な正義感を燃やして首を突っ込みに来たのだろう。

 声の主は、食堂の二階から姿を現した金髪碧眼の美形な男。そう、マルグリット様とナタリーさんにとっての鬼門、アルベルト・アイオリス殿下その人だ。


「アルベルト殿下‼殿下、聞いてくださいませ‼またお姉さまがナタリーさんを……」

「何だと⁉」


 ローラの媚びた甘い呼びかけに対して、アルベルト殿下はマルグリット様への怒りを身体全体から溢れさせながら、階段を下りてくる。そんなアルベルト殿下の後ろには、将来の側近候補たちである方々が付いてきている。

 伯爵家の生まれで、ブラウンの髪にブラウンの瞳のワイルド系イケメン男子。アイオリス王国魔法師団長の息子であり、本人も優秀な魔法使いであるセドリック・ピエール。

 侯爵家の生まれで、ブルーの髪にレッドの瞳の知的なイケメンメガネ男子。アイオリス王国宰相の息子であり、親譲りの理性的な性格や考えで周囲を観察し、殿下をサポートする優秀な側近であるフレデリック・ランドン。

 マルグリット様やローラと同じプラチナブロンドの髪に、綺麗に輝くエメラルドの瞳の、可愛らしい顔立ちをした童顔男子。アイオリス王国カルフォン公爵家の長男であり、運動神経抜群・成績優秀な文武両道の才人であるマルク・カルフォン。

 それぞれ婚約者の女性がいるくせに、どいつもこいつもナタリーにホの字のアホ共。


(また面倒な連中が来たわね。いえ、……もしかしたらわざと?)


 私がふと思った事の確信を得るため、ローラの顔をチラリと見てみると、その口元が僅かに歪んでいるのが見えた。

 その瞬間、この茶番のような言い合いが、ローラによって仕組まれたものだと確信出来た。私たちが二人に接触してからは大人しくしていたが、痺れを切らして仕掛けてきたという事か。

 そうこうしている内に、アルベルト殿下を含めた四人が怒気を溢れさせながら、こちらへと近づいてくる。その怒りに満ちた姿から、四人の怒りの度合いがどのくらいのものなのかは、見ただけ分かるほどだ。

 ズンズンと四人がこちらに近づき、私たちのいるテーブルに到着する。


(さて、まずは第一声で何と言うのか聞かせてもらいましょう。内容によっては…………フフフ)


 私の内心の思いが身体から滲み出ていたのか、四人共一斉に身体をビクリとさせる。さらには、ローラやクララまでもがビクリと身体を震わす。


(ローラはまだしも、クララはそんな反応しなくてもいいじゃないの)


 クララの反応にほんの少しだけショックを受けながらも、アルベルト殿下の第一声をしっかりと聞こうと集中する。


「マルグリット‼またナタリーに何かしたのか‼早くナタリーに頭を下げて謝るんだ‼」


 アルベルト殿下の口から発せられたのは、マルグリット様の名を(けが)す非常に不愉快な言葉であった。

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