鳥人さん拗ねる
私はせっせと井戸の水を運び続ける
帰ってもいいと言われたけど運び続ける
今の私は水運ぶマンなのだ
「ふぅ~、ノルマ完了! 実に清々しい気分だ」
2時間ほど水を運ぶとその日のノルマを終えたのでいそいそ帰り支度を始める
私がいざ帰ろうとするとノイマンさんが駆け足で私を追ってきた
「今日は上がっていいと言ったんだけどな。けど、助かったのは事実だ。ありがとう!」
そう言うとノイマンさんは私に大銅貨2枚を握らせてくれた
いつものおっさんなら断るところだが、今はとにかく金がない。レイにピンハネせずに貰える大銅貨2枚はとてつもなく大きいのだ
「助かります、お疲れさまでした」
「ああ、おつかれ。気を付けてな」
時間はだいたい午後の2時ごろだ。日課となりつつある森へのお散歩へおっさんは向かうことにした
外に出る門に辿り着くと、そこにいたのは村に来た初日にいた片羽の鳥人ダグラスさんだった
「外にお散歩に行きたいので通してください」
「・・・・・・」
無視かい、表情から見て察するに何か私に思う所があるようだ
あいにく私は読心術などは持ち合わせていなくてね、言いたい事があるなら相手が言うまで待つことにする
「・・・・・・」
「・・・・・・」
互いに黙って相手の顔を見つめあい30秒ほど経ったころだろうか。痺れを切らしてダグラスが閉ざした口を開きはじめた
「リザには鶏肉の差し入れをしたようだな? 好評だったみたいだぞ。オレにも鶏肉のスープを持ってくると聞いていたはずなんだがな」
どうやらチーターの門番には差し入れをしたのに、約束をしたはずの自分には差し入れがない事にお冠のようだ
でもねぇ、金も時間も余裕がないからわざわざスープを作って持ってくるなんて現状する気にならないんだ
「すまんな、家無しやってくらいだからスープを作ってる暇がないんだ。まあ厳密にはまったく作る暇がないわけじゃないんだけど、気分が乗らないんだよね」
「不公平だ、女か、女だからなのか。いつもそうだ、リザばっかり差し入れや何だを貰ってオレは貧乏くじだ。あいつは要領がいいから。森に出たけりゃ勝手にすればいいだろ」
彼はそう言うとプイッっと横を向いてしまった
拗ねてしまった
不満が溜まってたんだなぁ
ちょっと気の毒だ
「ごめんよ、でも勘違いしないでくれ。私は男女平等主義だから。力仕事は女にさせないとかの適材適所はするけど、差別はするつもりないから」
おっさんの友人の男友達は、男とメールする時は文章で必要最低限な事だけを書くのに、女性にメールを書くときは絵文字や顔文字をバンバン使って媚びを売る奴が多かった
おっさんなそれが大嫌いだったんだ、何か蔑ろにされてるような気がしてな
男友達に嫉妬するとは、おっさんの器はドブ川なみに狭いんだ
「お皿あるなら出してもらえる?」
「おお! 待ってろ!」
彼はバッグから木でできた皿を持ってきて渡してきた
「準備するからちょっと待っててね」
私はそう言うと皿を受け取り、彼から少し離れたところでコンビニアプリを起動する
から揚げを渡すだけのつもりだったけど、少し不幸な身の上話を聞いて同情してしまったのだ
少しだけ良いものを食わしてやることにしよう
ノイマンさんから貰った大銅貨の臨時収入もあるしな、少しだけ無理ができるんだ
始めに刻みネギとマヨネーズを合わせて300円で購入する
レトルトのご飯3Pを350円で購入して2つを電子レンジ機能で温める
アツアツのご飯を皿の上に敷いて、その上にから揚げを6個乗せる
上から刻みネギをパラパラと振りかけて、マヨネーズをたっぷりタラせば完成だ
から揚げの鳥マヨ丼だ!
「ほら、これ差し入れな。あんま拗ねんなよ」
「おお、なんかよくわかんないのができたな。でも匂いはいいな。この白いのはソースか? 白いソースなんて見た事ないぞ」
「私の故郷では有名なんだけどね、マヨネーズだ」
彼は物珍し気に料理を少し見ると、豪快にスプーンで鳥マヨ丼を口に掻き込む
「くううう~、うまい! 肉は熱々でうめえし、白いソースもしょっぱくてうめえ! 下に敷いてある白いネバネバした奴も肉とソースが絡みついて絶品だ! うめえよちくしょう」
おいしいに決まってんだろ、おっさんがよく家で作った料理だからな
刻み海苔をかけたり、うずらの玉ををかけて豆板醤かけたり可能性は無限大なんだぜそれ
「それじゃあ私は門を通らせてもらうよ」
「おう、暗くなる前には戻ってこいよ。門が閉まっちまうからな。スープの差し入れ楽しみにしてるぜ」
「差し入れはもうした筈だが?」
「約束はスープの差し入れだったはずだぜ? オレはおかしなこと言ったか?」
やれやれ、ちゃっかりしてらっしゃる




