Battle 3 konoha075@yokohama[21]
画面に貼られたシール。格子状に切り目を入れ、剥がしても剥がしても残る、このシール。
「ええっ? あは、これ、あはは、レン君がやったの? あははは…はーっはっは、ぎゃーっはっはっは!!」
「範子、笑いすぎ」
顔を顰めて睨みつける私をよそに、この巨漢女…え? 違うか。でもMTG民界隈では巨漢女で通っている。だからそれでいい。
その巨漢女は、まだ笑い続ける。
あぁ、そうさ。レンがやったのさ。私からSNSを遠ざける手段としてやったのさっ!
何か?
「レン君、めっちゃ陰険やなぁ」
―はっ!?
陰険? そうだ。このやり方、めちゃくちゃ陰険じゃないか。
SNSに似合う男じゃないのか?
「ふふふ…、素敵な奴やろ? レンも実は悪。だから好きねん。ふっふっふ」
「サクラ…、怖」
「汗」
「うっさいわ!」
いいからスマホ見せろ、範子! アンタのアカウントで参戦するのだから。
声には出さずに威圧して、私は範子のスマホを覗き込んだ。その、香ばしいスレを。
「範子、此奴の本垢って?」
「それを探るんやんけ、ボケッ!」
「ボケぇ〜!?」
「あ、失言。すまぬ…」
「貴様、私を敵に回す気かあ?」
「せやから謝ってるやん。すまぬ」
は? 「貴様」って…?
ふと思い出したのは、O-moricha-hanの事。
奴とコノハが、「貴様」という言葉の使われ方についてバトルを繰り広げた。オーモリはコノハの深い知識を前に、太刀打ちする術を失った。
「範子っ!」
「きゃっ!!」
「何女子みたいな声出してんの!」
「女子やわいっ!」
「わいっ!ってオッサンやん、アンタ…あっはっは!」
「で、何やの?」
「コノハや。コノハのスレ、見た事ある?」
konoha075@yokohamaなる人物。コノハ。
炎上が始まると、どこからともなく現れては論破劇を披露する。しかし私は、この人物のスレッドを見た事がない。
要するにコノハは、自らはスレッドを立てず、燃え上がる場所に現れては、論破でその火を消すタイミングを計っているのだろう。
警察? 消防? 兎に角、持てる知識をひけらかして、誰も逆らえない存在に成り上がっているのだ。
「コノハとは手ぇ組めって言うたやん」
「そんなん無理やろ。此奴も悪やわ。絶対に人と手ぇ組んだりしやへんで」
「ほな、何でコノハなん?」
―ふっふっふ!
これはあくまでも推測にすぎない。だけど私は気付いた。もしコノハが裏垢で大暴れしていたとしたら。
「範子はヤシロコージから攻めて。私はコノハから攻めてみる」
「え? え? どういう事?」
「ボロを出させるねん」
「それは分かるけど、サクラ…」
範子の反応を見て、ふと気付いた。
この手に握った、私のスマホ。その情けない姿。
「そのスマホ? シール剥がすの?」
「シール…、それな」
「ぎゃっはっはっは!」
「笑うな! 貴様ー!!」
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