4個目のオーブ回収
そして、いよいよ授賞式の日が来た。スチュワートの議長就任式もオレ達の授賞式も議事堂で行われる。議事堂内には議員だけでなく、各地方の行政官や近隣の国からの外交官も参加している。
「では、これよりこの国の救世主『ワールドジャスティス』の皆さんの『栄誉賞』の授与を行います。」
議長に就任したばかりのスチュワートが壇上に上がった。そして、オレ達も壇上に呼ばれ、一人一人の首にメダルがかけられた。会場には拍手と歓声が鳴り響く。ローザ以外は全員が緊張していた。オレも緊張した。緊張したせいか、神経が研ぎ澄まされオーブの反応が感じられた。
“リン。オーブだ。この議事堂のどこかにオーブがあるよ。”
“この議事堂は元々王城です。オーブがあることは十分考えられます。”
式典のすべてが終了した後、祝賀会が始まった。すると、スチュワートがオレ達のところにやってきた。
「ケン殿。本当にありがとうございました。あの場所でケン殿達と出会ったのは神の救いだったのかもしれません。」
言われてみれば確かにそうだ。もしかしたらエリーヌ様がオレ達を引き合わせたのか知れない。
「スチュワートさん。オレ達、旅をしながら探し物をしているんですが、どうやらこの議事堂のどこかにオレ達の探し物があるようなんです。議事堂内を見て回ってもいいですか?」
「ええ。いいですよ。なら、祝賀会が終了したらご案内しますよ。」
その後、祝賀会が盛大に行われた。オレ達は当然ジュースだ。いろいろな人達が挨拶に来る。軍部大臣のゲルトと副大臣のカルバンがやってきた。
「ケン殿よろしいですかな。」
「ああ、ゲルトさんにカルバンさん。どうしたんですか?」
「まだちゃんとお礼を言ってなかったものですから。この国を救っていただいて本当にありがとうございました。」
「まさか元侯爵が魔族だとは思いもしませんでした。ですが、最初から魔族だったんですかね~?」
「わかりませんが、恐らく本物の元侯爵はかなり以前に殺され、魔族が成り済ましたんでしょうね。」
「私もそう思います。確かに以前から野心を持っている方でしたが、あそこまでではありませんでしたから。それに、私が言うのもなんですが、あの方は本来小心者でしたから、あのような大胆な行動をとれる方ではありません。よくよく考えれば不自然でした。」
「もしかすると、カルバンさんも他の方々も催眠をかけられていたかもしれませんね。」
「なるほど! それならば納得です。」
「ところで、ケン殿の身体から神々しい光が出た時に、背中から純白の翼が出たように見えたのですが、ケン殿は天使様なのですか? それとも神の使者様とか?」
すると隣にいたローザが2人に言った。
「ケン兄は人間だよ。昔の記憶をなくしてるけどね。」
「そうなんですか?」
「ええ。ローザの言う通りです。気が付いたらアルメデス王国の草原に倒れていたんです。」
そうこうしているうちに祝賀会もお開きになった。時間も遅くなったので、翌日議事堂内を案内してもらうことになった。そして翌日、オレ達は亜空間の家から議事堂にやって来た。
「おはようございます。皆さん。」
「おはようございます。スチュワートさん。」
「では、早速議事堂内を案内しましょう。この建物は、昔は王城だったので地下にも部屋があります。地下から参りましょう。」
「地下室ってなんかワクワクするにゃ!」
「私は地下室は嫌いです!」
「ごめんにゃ。ドリエにゃんは帝国の地下室に捕まってたんだったにゃ。」
「ドリエ姉! ケン兄がいるから大丈夫だよ!」
オレは体内の中心に神経を集中し、オーブの反応を感じ取るようにしている。地下に続く階段には、様々なものが展示してあった。すると、目ざといミサキが何かを見つけたようだ。
「ねえ、見て! これって何かしら?」
すると、ドリエが大きな声で叫んだ。
「これは古代竜様の鱗です!」
「古代竜って?」
「この世界の誕生から存在し、この世界の平和を守ってこられたお方です。私達竜人族の始祖に当たるお方です。」
「ドリエ姉! その古代竜様って、今もいるの?」
「わかりません。伝説の存在ですから。」
「でも、古代竜の鱗が何でこの場所にあるのかな~?」
するとスチュワートが教えてくれた。
「私も言い伝えでしか知りませんが、太古の時代に大きな戦争があって、古代竜がその戦いを収めたと聞いたことがあります。恐らく、その時の古代竜の鱗が剥がれ落ち、それをこの国の王族だった者が手に入れたのでしょう。」
「なら、他にも同じようなものがありそうにゃ。」
「はい。竜人の里にも同じものが祭られています。」
そんな話をしながら階段を下りて行くと、いくつか部屋があった。1番奥の部屋から強い反応を感じた。
「スチュワートさん。あの一番奥の部屋は何ですか?」
「あそこは宝物庫です。この国の王族達が長年集めた物が収納されています。」
「見せていただいてもいいですか?」
「もちろんです。」
宝物庫に入ると、磁器や武器、絵画に置物などが所狭しと並んでいた。そして、一番奥に水晶でできた竜の頭が飾られ、その口には光る球が咥えられていた。
「スチュワートさん! ありました! オレが探していたのはこの球です。」
「ありましたか。良かったです。」
「ケン兄。やっぱりあったね。」
「さすがケンにゃ!」
「ところで、その球は何なんですか?」
「これですか。これ、オーブっていうんですよ。」
「オーブ?」
「ええ。世界を維持するために神が10個のオーブを作ったんですけど、先ほど話に出た太古の大戦で世界中に散らばってしまったんです。だから、オレが回収してるんですよ。」
「もしかして、やはりケン殿は神の使者なのか?」
「違いますよ。ただ、この世界の平和のためにと思っただけですよ。」
女子4人衆がオレの顔を見ている。なぜ本当のことを言わないのか不思議なのだろう。オレはオーブを回収して空間収納に仕舞った。今回のオーブは『和』のオーブだ。これで世界樹のオーブも含めて5個は確保できた。残りは5個だ。もしかすると、すでに魔族にいくつか渡ってしまったかもしれない。そう考えると、気持ちが焦ってしまう。
「スチュワートさん。ありがとうございました。オレ達、また旅に出ますので、何かあったらこれで連絡してください。」
オレは通信用の水晶をスチュワートに渡して議事堂を後にした。
読んでくれて嬉しいにゃ!
ケン兄! なんか毎日、凄く読んでもらってるよ!
ケンは徹夜で疲れてるにゃ!




