ノースタウンのダンジョン
ダンジョンの街ノースタウンに向かうため乗り合い場所を利用したが、ジャネット親子と知り合いになった。ジャネットの夫リチャードは冒険者としてダンジョンに向かったらしい。リチャードの無事が確認され、全員が安堵していた。そして、ケン達一行はダンジョンに向かうのだった。
「ケン。よかったにゃ。」
「そうだね。リチャードさんが生きてることが分かったんだから。」
「ケン。ダンジョンにはどのくらい潜るつもりなの?」
「ああ、そうか。何も考えてなかったよ。少し食糧でも買い込んでおくかな。」
「ケン兄。果物多めでおねが~い。」
「ローザちゃん。やはりここはお肉多めでしょう。ダンジョンは体力を使いますから。ケン様。お肉多めでお願いします。」
「ローザもドリエも心配しなくても大丈夫だよ。空間収納に買い込んでいくから。」
「そうだにゃ。ケンの空間収納は無敵にゃ。」
みんなで笑いながら市場にやって来た。目の前にはたくさんの食材が並んでいる。オレは、どれくらい必要かわからなかったので、果物・野菜・お肉を大量に買い込んだ。
「さあ、これで準備万端だ。さて、じゃあダンジョンに行くよ!」
「うん。」
オレ達がダンジョンに向かおうとすると、目の前を冒険者風の男性が血相を変えて走って行った。何やら嫌な胸騒ぎがする。
「みんな。何かあったのかもしれない。ギルドに戻るよ。」
「わかったわ。」
オレ達も急いでギルドに戻った。ギルドに着くと、先ほど見かけた男性が体格のいい冒険者と話をしていた。恐らく、ギルドマスターだろう。オレ達を見て、受付の女性とジャネット親子が駆け寄って来た。
「ケンさん。戻ってきていただいてよかったです。」
「ジャネットさん。何かあったんですか?」
「はい。ダンジョンから魔物が溢れ出ているようなんです。ダンジョンの中にいた冒険者達も一斉に外に逃げたらしいのですが、中にはまだダンジョン内に取り残されている人もいるようなんです。」
「リチャードさんは?」
「わかりません。」
すると、受付の女性が話しかけてきた。
「思い出したんですが、あなた、先ほどダンデライオン伯爵とか呼ばれていませんでしたか?」
「ええ。オレがケン=ダンデライオンですが。」
「やはりそうだったんですね。少しお待ちください。」
すると、受付の女性がギルドマスターを連れてやって来た。
「君があの『ワールドジャスティス』のケン殿か?」
「はい。」
「急で悪いが、お願いしたいんだが。」
「ダンジョンの件ですよね?」
「そうだ!」
「大規模なスタンピードになる前にオレ達が何とかしますよ。」
「そうか。行ってくれるか。」
「はい。国王陛下とジミー公爵にも頼まれてますから。」
「そうだったのか。ありがたい。では、俺もすぐに支度をするから少し待っていてくれ。」
「ああ、すみません。オレ達だけで行きたいんで。」
「俺は足手まといか?」
「はい。」
「はっきり言うやつだな。わかった。ならば、俺は他の冒険者を集めて、後から駆け付けることにしよう。」
オレ達は新しく発見されたダンジョンの場所を聞いて、その場所まで急いで向かった。オレの頭の中のマップにはダンジョンから溢れ出る魔物の反応が続いていた。ダンジョンに近づくにつれて、怪我をした冒険者を多く見かけるようになった。
「ミサキ。」
「わかってる。この人達を治癒したら私も向かうわ。」
「いつも悪いな。」
「大丈夫よ。それより、ミレイもローザちゃんもドリエちゃんも私の分まで頑張ってね。」
「わかってるよ。ミサキ姉。」
ミサキが怪我をした冒険者の治療にあたる。オレ達4人はダンジョンへと向かった。ダンジョンに近づくと、冒険者達が魔物達と必死に交戦していた。魔物はゴブリン、オーク、オーガが中心だ。だが、ゴブリンの中にはホブゴブリンやゴブリンキングがいる。オークの中にもオークジェネラルやオークキングがいた。
「ミレイ。ローザ。ドリエ。まずはダンジョンの外に出た魔物を殲滅するから。」
「了解にゃ。」
ミレイは剣に炎の魔法を付与して斬りこんだ。ドリエも剣に雷魔法を付与して戦い始める。ローザは弓矢に魔法を付与して遠距離攻撃だ。オレも剣を右手に持って斬りこんでいく。オレ達の凄まじい戦いぶりを見て、冒険者達は後ろで傍観していたが、オレが近づくと声をかけてきた。
「おい。君達は何者なんだ?」
「オレ達は『ワールドジャスティス』さ。危ないから少し下がっててくれるかな。」
今まで戦っていた冒険者達が後ろに下がった。目の前にはまだたくさんの魔物達がいる。正直言って限がない。
「ミレイ、ローザ、ドリエ! ちょっとそこをどいて!」
「わかった。」
みんなが退避したのを確認して、オレは魔法を発動する。
『シャイニングアロー』
他の人間でも、光属性があれば同じような魔法を発動できるだろう。だが、オレの魔法はその威力が桁違いだ。上空に燦燦と輝く巨大な光の矢が無数に現れる。オレが手を下ろすと光の矢が魔物に向かって飛んでいった。辺り一帯は土埃が舞い上がり何も見えない。生き物の焼ける匂いだけが漂ってくる。
「おい。見たか? 今の魔法!」
「あの威力はなんなんだ? ありえないぞ!」
「さすがSランクパーティーだ!」
土煙がおさまると、そこには魔物の死体が転がっていた。やはり、普通のダンジョンの中の魔物と違うようだ。光の粒子となって消えないのだ。
「ケン。やっぱりおかしいにゃ。」
「ああ。この魔物達はダンジョンの魔物じゃないな。」
「ケン様。どういうことですか?」
「ケン兄。もしかして、この魔物達は誰かがここに連れてきたってこと?」
「多分な。ダンジョンの中に転移装置か何かがあるんだろうな。」
「転移装置?」
「そうさ。転移できる存在なら作れるだろうさ。」
「ケン様。やはり魔族ですか?」
「でも、目的はなんにゃ?」
「犯人を見つければわかるかもしれないな。」
「なら、早く行こうよ。ケン兄。」
「ミサキが来てから行くよ。それより、先にリチャードさんを探さないと。」




